ドクターリコの明日もHappy!

形成外科医リコの、美容と医療と育児と趣味のブログ。http://kitamurariko.com/

「きもの」幸田文

2009-11-10 09:27:48 | 読書


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明治時代の終りに東京の下町に生れたるつ子は、あくまでもきものの着心地にこだわる利かん気の少女。よき相談役の祖母に助けられ、たしなみや人付き合いの心得といった暮らしの中のきまりを、“着る”ということから学んでゆく。現実的で生活に即した祖母の知恵は、関東大震災に遭っていよいよ重みを増す。大正期の女の半生をきものに寄せて描いた自伝的作品。著者最後の長編小説。
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未完の自伝的小説。上の姉の嫁入り衣装への執着、衣装はいらないからとお金だけを要求する下の姉・・・。末っ子で姉たちのお下がりを着せられていたるつ子。
裕福な友達の華やかな着物、自分よりも貧乏な家庭に育つ友達の実用性重視の着物・・・貧乏な友へ、着物をプレゼントしようとしたときに祖母の意見は???
四季折々、様々な年齢、行事の節目ごとに貧乏なりに着物を揃え、それをまた無駄なく仕立て直したり、布団にしたり・・・。
登場人物それぞれの「きもの」に対する執着や思い入れが様々で、人物像を浮かび上がらせます。

個人的には、るつ子の着物の「着心地」に対するこだわりに共感。
私もチクチクやシャラシャラ(?)が苦手で、服を買う時には、必ず首や二の腕の内側など、皮膚の柔らかいところにあててみて、感触を確かめて選んでいます


ハダカでは暮らせない民族ですから、「きもの=着るもの」が必要なのは当然として、必要十分のものがあればよい、とはならないのが不思議なところ。
贅沢な「きもの」や目まぐるしく移り変わる流行の「きもの」にはあまり興味がありませんが、自分のために、誰かのために装う楽しみや、季節感を感じること・・・なにかプラスαの余裕のある「きもの」を楽しみたいものです。
コメント
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