ドクターリコの明日もHappy!

形成外科医リコの、美容と医療と育児と趣味のブログ。http://kitamurariko.com/

「錦」宮尾登美子

2012-06-25 18:19:00 | 読書
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若くして、京都・西陣で呉服の小売りを始めた菱村吉蔵は、斬新な織物を開発し、高い評価を得る。しかし模造品が出回り辛酸を舐めた末、元大名の茶道具の修復をきっかけに、より高度な作品を手がけるようになった。そしてついには法隆寺の錦の復元に挑む…。
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着物好きならすぐわかる、言わずと知れた龍村がモデルですね
物語の主人公は吉蔵ですが、さすが女性の描写が素晴らしい宮尾登美子さん。吉蔵をとりまく三人の女性を活き活きと描くことで、吉蔵の人生が浮かび上がって見えてきます。
ただ、今までの作品に比べると、やや激しさというか迫力に欠けるような気がするのは・・・なんとなく落ち着いてきている文体のせいなのか、宮尾登美子さんも歳をとられたということなのか・・・
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「射程」井上靖

2012-06-14 21:13:01 | 読書
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敗戦で焦土となった関西の街の中で、父親との確執を抱え、自殺に失敗した諏訪は、幼い頃に感じた、「美しいものを奪われた」悲しみを抱いたまま、それを原動力に闇屋の世界に入り込んでいく。その奪われた美しいもの、多津子との因縁めいた関係を縦軸に、戦後の日本の混乱の中で生きる男の孤独が描かれている。
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Mさんのブログの書評で読んでみたくなり、アマゾンで古書を購入(現在絶版のようです)。
「面白くて電車を乗り過ごす・・・」とのことでしたが・・・・・・納得。
服毒自殺に失敗、死に損ねた諏訪高男が、戦後の混乱の中で闇屋の世界に入り込み、どんどんのし上がっていくテンポ良い展開は文句なしに面白いそして愛する(というよりも崇拝し偶像化した)多津子との関係がそこに絡み、高男は破滅へと向かっていくわけですが・・・多津子が最初の出会い(見ただけ)から再会後もずっと「この世で最も美しいもの」「初恋の」「憧れの」「永遠の」女性であり続けるという中心軸にイマイチぴんと来ないのは私が女だから???そのあたり、したたかな多津子の言動は女性の現実的な面を感じさせて・・・
高男の回りをとりまく人物それぞれの描写も面白いし、自殺に失敗した高男がジェットコースターのような人生を生きて再び死を選ぶまで、息をつかせない展開は、確かに電車の中で読むと乗り過ごすかもしれません
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「モンスター」百田 尚樹

2012-06-11 17:36:22 | 読書
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田舎町で瀟洒なレストランを経営する絶世の美女・未帆。彼女の顔はかつて畸形的なまでに醜かった。周囲からバケモノ扱いされる悲惨な日々。思い悩んだ末にある事件を起こし、町を追われた 未帆は、整形手術に目覚め、莫大な金額をかけ完璧な美人に変身を遂げる。そのとき亡霊のように甦ってきたのは、ひとりの男への、狂おしいまでの情念だった。
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「美容整形」を描いた小説やドラマはわりとありますが・・・どれも非現実的な内容が多いです。一回の手術で見違えるほど美しくなる、とか、写真を見せて別人の顔に手術してなりすます、とか・・・
でも、この作者はちゃんと美容外科手術についてしっかり勉強されたんだろうなぁ・・・と、感じます。確かに未帆は別人のように美しくなりましたが、そこまでの過程(手術の内容、順番など)はかなり現実的です。
面白いです一気に読みました。
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「七回死んだ男」西澤 保彦

2012-05-10 09:33:51 | 読書
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どうしても殺人が防げない!?不思議な時間の「反復落し穴」で、甦る度に、また殺されてしまう、渕上零治郎(ふちがみれいじろう)老人――。「落し穴」を唯一人認識できる孫の久太郎少年は、祖父を救うためにあらゆる手を尽くす。孤軍奮闘の末、少年探偵が思いついた解決策とは!
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「リプレイもの(北村薫「ターン」とかケン・グリムウッド「リプレイ」とか)好き」???なので読んでみたかった一冊
同じ一日を繰り返す・・・というのは「リプレイもの」の定番ですが、回数が決っていて最後の一回が決定版になる、という設定は面白いラストのどんでん返し?も、しっかりヒントがちりばめられているので、あれれ?と引っかかっていたところがスッキリする、という感じで面白かったでもタネ明かしのときのもう一つのエピソードは必要なのかなとってつけたような感じがするけど
人が殺されまくる(と言っても、殺されるのは一人で毎回リセットされるわけですが)わりには暗さのない話で、軽く楽しんで読めました。他の作品も読んでみようかな
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「黄金旅風」飯嶋 和一

2012-05-01 08:18:56 | 読書
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江戸寛永年間、栄華を誇った海外貿易都市・長崎に二人の大馬鹿者が生まれた。「金屋町の放蕩息子」「平戸町の悪童」と並び称されたこの二人こそ、後に史上最大の朱印船貿易家と呼ばれた末次平左衛門と、その親友、内町火消組惣頭・平尾才介だった。代官であった平左衛門の父・末次平蔵の死をきっかけに、新たな内外の脅威が長崎を襲い始める。そのとき、卓越した政治感覚と強靱な正義感を持つかつての「大馬鹿者」二人が立ち上がった。
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FBのニュースフィールドで、どなたかがオススメされていたのを見かけて・・・表紙の雰囲気に魅かれてジャケ買い
舞台は鎖国直前の長崎、長崎代官・末次平左衛門の物語・・・・なのですが、読んでいてあれ?誰が主役だっけとなるくらいに登場人物が多く、その一人ひとりの生き様が細かく描かれます。まるで、この時代の長崎をそっくり切り取ったかのような、なんとも言えない雰囲気のある作品、私にとっては故郷への郷愁を誘う映画を観ているような気分にさせる一作でした

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