読む日々

テーマばらばらの読書日記

チッチと子

2012-12-24 | 
石田衣良「チッチと子」


なんとなく、人気のあるもの、人が飛びつくもの、に抵抗がある性格のせいか、気になりつつも手がでなかった作家さん。
表紙と書名に惹かれ、借りてみました。


ヤバい・・・・。


涙が止まりませんでした。

3年前に、妻を事故で亡くした39歳の売れない作家と、その一人息子の、賞(直木賞がモデルの直本賞)の候補になってから、次取れるまでの約1年を描いたお話なんですが、

夫の妻への思いも息子への思い
息子の、父母への思い

妻の両親の、義理の息子への思い

すべてが、これ以上ない、ってほどのリアルさで迫って来ます。

周りの人達もまたいい人ばかりで、悪人は全く出てきません・・・あ、一人いた。
息子が学校でトラぶった友達の、ヘンな母親が。

とにかくいい人づくしで、それもまた不自然じゃなくて。
よい本でした、本当に。

私も義弟を事故で亡くしています。
本の中で、作家が妻を亡くした際の心持を「重いというより軽い、体や魂がもぎ取られていって自分の存在が軽くなる(取意)」
というような事を思っているのですが、まさにそう。何が起きているのかわからない状態だったのを思い出しました。

そして親を亡くして育つ子の健気さが、甥や姪と重なってしまい、涙なくしては読めなかった。

また、作家の一人息子が、うちの子と同い年で。
それもまた、行動、言葉の一つ一つを我が子と重ねていたら、特になんでもない場面でも涙がにじんできてしまいました。

あーあんまり泣いたので疲れました


満足度300

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