読む日々

テーマばらばらの読書日記

しかたのない水

2015-08-04 | 
井上荒野「しかたのない水」

ざぶーん、と重たい空気に浸りたくて久々に井上荒野さん借りてみた。

あるフィットネスクラブに集う人々それぞれを主人公に据えた連作短編集。

U+2460手紙とカルピス
母を亡くしてからやさぐれて、女の元を短期間で渡り歩く生活をする男。母の文通相手とずっと続く手紙のやり取り。
U+2461オリビアと赤い花
3歳の女の子を持ち、夫と3人で団地に住む主婦。オリビアを言うハンドルネームで出会い系サイトに登録している。
U+2462運動靴と処女小説
作家の夢を諦め、サラリーマンとして数十年。早期退職をしてなぜか古本屋。始めたいと願う50がらみの男。
U+2463サモワールの薔薇とオニオングラタン
老いた画家の母に精神的に閉じ込められている30代の娘。
U+2464クランプトンと骨壺
産んだばかりの娘を亡くし後追い自殺した夫。遺された妻はフィットネスクラブ。受付で働く。
U+2465同じフィットネスクラブで働く妻が失踪した店舗責任者。

それぞれ、前の話に出てきた人の事情が後の話でネタバレされてて面白いな基本的に恋のお話なんだけど、純粋な恋は感じられなかった。人生の不満の捌け口を恋に求めてる人ばかり。
最後の店舗責任者には、妻への愛が感じられて、締めに相応しいお話でした。

満足度80

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