読む日々

テーマばらばらの読書日記

ママの狙撃銃

2012-12-06 | 
荻原浩「ママの狙撃銃」


ギャグっぽい小説かと思って借りたら、相当シリアスだった。

アイルンド系アメリカ人の祖父に、オクラホマで育てられ、祖父亡きあと、祖母の故郷の日本へ追いやられた曜子。

平和な生活を送っていたところに、25年前、仕事を命じたKというエージェントから突然連絡が・・・。



なんと!祖父はプロの殺し屋で、その祖父の代わりにアメリカで一度だけ、祖父仕込みの腕前の銃で暗殺をしていた、という主婦が主人公。破天荒な設定なのに、ギャグじゃないのがすごい。そしてその設定に違和感なく立ち迎えている自分にびっくり。

それくらい、心理とか背景とかの描写が完璧、ってことです。

今回も家族を守る為暗殺を引き受けちゃうんだけど、人を殺すということは自分も殺して行くことになる、というラストがせつなくて。

最後は幼稚園児の息子に救われるんだけど、本当の救いじゃないしね。


小説としてはかなり面白かったです。
満足度90