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pride and vainglory -澪標のpostmortem(ブリッジ用語です)-

初歩の文書分析と論理学モドキ(メモ)

第13章ファンタジーファクトリーⅤ ❹

2021-01-10 07:50:36 | Λαβύρινθος
 社会福祉促進機構(SWDA:なかなか穿った名前をつけたものだ。)もその例外ではない。
 三年前セキュリティレベルAAAに進級したぼく1号はライブラリーの奥深くにあった一枚の資料を見つけた。
 議会の野党指導者の一人に禁制のクローン製造の疑惑があるとのレポートに対して、SWDAの次官が、有用部内極秘(開示レベル:AAA:)のラベルをつけた上処理済とした文書だった。
 日付は発見時点の15年前。当時三歳の幼児が疑惑の対象だった。個人名がトレース出来る情報は資料から徹底的に抹消されていたが、SWDAの自己保存機能ゆえ、記録その物はライブラリー奥深く、仮称名称両面宿儺の名前で登録されていた関連資料の中にあった。
 当時ヤヌスの仮称名称を与えられ、情報部内の対クローンオペレーションの次席責任者に着任していたぼく1号が、バレージサーチの最中偶然発見したのだ。
 第一次クローン戦争の教訓から、SWDA第3局(特殊治安局)における限定的オペレーションに於いてのみ許可されたはずのクローン再生が、密かに生き延びている事は承知していた。しかしそれはあくまで厳罰対象の犯罪行為であり、SWDA第2局(保安警察)の厳重な監視体制の下禁圧されているはずだった。
 しかし現実には、支配側の人間にもこの禁じられた技術に手を染めるものが後を絶たなかった。両面宿儺の名称の下で整理された100年にわたる記録の大半は、建前と異なる個人的な欲望の発露とそのもみ消しの記録だった。
 人の愚行と悲しさの記録としては意味があるものだったが、シニカルな目でみれば歴史の中で何度も繰り返されてきたドタバタ騒ぎに過ぎない。絶対的な権力は絶対的に腐敗すると言った陳腐な感想でも漏らして、ライブラリー奥に又眠らせておけばよい。
 しかしぼく1号の見つけた三歳児の記録だけはなにかおかしかった。ファイルに残ったその他の記録んは必ず附いていた事後処理の記録とSWDA第2局長の署名がなく、当時の次官の署名のある処理済、追跡調査不要との走り書きが載せられているだけだった。
 さっきも話したように、こうなると否が応でも鼻を突っ込みたくなるのが犬のさが。入念にト レースは消されていたけれども、2年ほどかけてぼく達二人(1号と2号)で調査した結果凡その事が分った。
 国立生物医学研究所の主任研究員と当時のSWDA次官そして野党の有力議員が、処理日付の3年後交通事故で死亡していた。学生時代からの友人だった彼等は何かを企んでいたのだ。
 それからはまあ簡単。主任研究員のテーマは一種の超人開発。しかも彼等3人は30年ほど前壊滅した、過激な学生組織アンドロイド・クローン開放同盟の秘密同盟員だった。
 そして議員の死後、政治的立場を異としていたとは言え、長年の友人だった与党の有力議員(なんせ現在は首相閣下だものね。)に残された二人の娘は引き取られていた。
 その内の一人はなんらかの遺伝子改造をほどこされたクローンに違いない。まあそう言う事だ。彩ちゃん。
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