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アサドの話を聞くと西側という宗教の底の浅さが見えすぎる

2019-11-16 18:49:46 | アジア情勢複雑怪奇

シリアのアサド大統領が最近RTのインタビューに応じて

「米国は自分の覇権を守るために、敵も友も攻撃する

というまさしくその通りといった発言をしていたのはこの間書いた通りなんだけど、

シリアのEU/US:敵も友も攻撃する全方位欺き作戦崩壊中

 

同時期にロシアのRUSSIA 24 and ROSSIYA SEVODNYAとのインタビューも行われており、こっちも非常に興味深い。トルコが何を狙っているのか、シリアのクルドの置かれた立場についてより具体的なことが説明されており、非常に説得力がある。

 

President al-Assad: The American presence in Syria will generate military resistance which will exact losses among the Americans, consequently force them to leave

https://sana.sy/en/?p=178449

 

トルコがシリア領内にジハード主義者をぶちこんで立場を作ろうとしていた、いる、ことをしっかり認識しているのはとても安心。エルドアンが駆け引きのためにいい加減なことを言い散らかしているのもよく見てる。

また、ISISはアメリカがシリア軍を叩くために、したがってテロリスト群と戦う勢力をくじくために作ったという点をはっきりといつものように明言している。

さらに、それら複雑に入り込んだ勢力がいる状況を受けて、

私は常に言ってます。占拠者は、その国にエージェントがいなければその国の土地を占拠することはできないんです。なぜなら、占拠者は完全に敵対的な環境で生きるのは難しいからです。

従って、直ちに取られるべき、そして最も効果的なソリューションは私たちがシリアとして、愛国者として団結するということです。これがアメリカ人を去らせることになるでしょう。彼らは石油のためでもなんのためでも、いることはできなくなります。

President Assad:  I have always said that an occupier cannot occupy a piece of land without having agents in that country, because it would be difficult for them to live in a completely hostile environment.  Therefore, the immediate and most effective solution is for us to unite as Syrians and as patriots.  This would cause the Americans to leave, and they would not be able to stay, neither for oil nor for anything else.

というボトムラインを見てるってのもわかった。だからこそ、シリア内のクルドも、シリア人でアメリカやトルコの口車に乗った人たちも出来る限り釈放していってるって話。

実際、アレッポ陥落の頃、アサドは憎い、今でも嫌いだ、でもシリアを失いたいわけじゃない、というシリア人たちがアサド側に降伏していった。

要するにこれが、いわゆるアングロの「分断統治」に対する答えでもあるし、植民地で外来勢力のために働くコンプラドールに振り回されないようにしようという発想でもある。

言えば簡単だし、いくどもトライされた話ではあるけど、でも、結局これができるnationは生き延び、できないところは分断されていくというのは今でも真理でしょう。

 

もう一つはロシアの登場をパワーの投入として正確に把握しているところも素晴らしい。この件についてはまた別途書きたい。これこそアメリカが頭で予想しても心理的にブロックしてその余波を計算できなかった何かだと思う。アレッポはスターリングラードというのは、実に実に深甚な意味を持っている。

 

西側という宗教の底の浅さが見えすぎて

これに限らず、アサド大統領というのは本当にロジカルで頭のいい人。現在こうなっている、ここから取れるオプションはこれこれ、この2手、3手先にはこうなるだろう、であれば我々はこの線を取るのがベストで、それによって・・・みたいな連鎖を考えることがとても簡単にできる人。ナチュラルにdialectical(ディアレクティカル、弁証法的という訳語がいいとは思わないのでこう書いておく)。

プーチンたちと関係が良好なのはとてもよくわかる。頭がよくて、考えていることが破壊的でない。他者の立場を理解する頭がある(だからdialecticalなわけだが)、ばくち打ちでない。

そして、もう一つ、宗教的でない。これもまた、だからdialecticalなわけが、と続けてもいいかも。

プーチンは正教徒だしアサドはアラウィー派ムスリムなのに宗教的でないとは面妖なと思う人もいるかもしれないけど、そういうことじゃない。宗教的にものを考える人でないということ。ただ、結果的に彼らの下す判断は彼らがよってたつ宗教に彩られたものとなる、ということはあるだろうが。

宗教的なものの考え方をするのは、むしろ西側の人。特にアメリカ人。アメリカは正しく、アメリカが正しいことを考えたらそれが実現するのは当然だというスタイルがすべてにおいてベースになっている。アホか、というところなんですがこれが現実だから困る。

最近、ネオコンは馬鹿だからこれこれこうなのだ、といった言辞がよく見られるけど、ネオコンじゃなくてリベラルでも同じだよ、それ、というのが私の考え。

5年前にこんなことを考えていた。

最近ますます確信を持って思うのは、「西側」というのは宗教なんだなということ。the West教なわけですね。

そしてあらゆる宗教がそうであるようにこの宗旨も、内容がよかったから入信するのではなくて、入信したからこそ内容が良いように思えるのだ、という感じ。

この言い回しは、
聖書を読んだからキリスト教徒になるのではない、キリスト教徒だから聖書を読むのだ
資本論を読んだからマルクス主義者になるのではない、マルクス主義者だから資本論を読むのだ

という組み合わせで長らく使われてきたけど、私はこれに、

自由と民主主義に目覚めたから西側教徒になるのではない、西側教徒だから「自由と民主主義」を褒め称えるのだ

を加えたい。自由と民主主義にカッコを付けたのは、冷静に考えれば、西部先生などが何度も語っている通り、歴史ある民族集団にはそれなりの秩序があって、社会にとっての自由と民主制を植え付けるとしたら、結局はその土壌の上で育つしかない、つまり、きわめて多様な自由と民主主義が存在せざるを得ないからであり、どこにも汎用型の「自由と民主主義」は存在しないからだ。普遍的な自由と民主主義は抽象概念、イデアであって、その現れは時と場合と主体民族によって異なる。

西側という宗教


で、この宗教の布教の行方についての予測も結構あたってたじゃん、などと評価してみたい。おほほ。

西側教団の根本的な間違いは、1980年あたりまでは、この布教を順次、穏やかに、入るといいことありますよ、ほら、あなたにも経済成長という現世利益が、とかいう調子でやってそれなりに成功してきたことに飽き足らなかったことではなかろうか。

冷戦構造が崩壊して以来、西側でなければ人にあらず的な無暗に積極的な拡張政策を取ったため、布教実績に陰りが見え、これまでの支持層だった先進国で支持を 失ったのみならず、市場拡大のためのターゲットとしていたインド、中東で大きく支持を落とした。さらに、最後の大市場として期待された中国市場において も、思ったほど支持が伸びない、って感じでしょうか。

西側という宗教




 

 

 


コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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Unknown (ローレライ)
2019-11-16 21:04:17
物語に酔わないアサド大統領と物語に酔い痴れて戦争する西側や日本は対象的だ。
返信する
原口 一博‏認証済みアカウント @kharaguchi · 12時間前 (宗純)
2019-11-17 14:33:08
Assad says Epstein didn't commit suicide, he was killed https://aml.ink/dZ5KX @thearabsourceより
「イプスタインは、自殺したのではない。殺されたのだ。」シリアのアサド大統領。
吐き気をもよおす程、残忍で非道な小児性愛犯罪者集団を暴き壊滅させるべき。TrumpAにも期待している。

アメリカ軍のシリア撤退(永久に終わらない対テロ戦争の終焉)と共に、色々な真実が暴かれるという話
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