JPプレスにすばらしい記事がでていた。
「新パイプラインはロシアの罠」は真っ赤な嘘!
英エコノミスト誌の「作文」を鵜呑みにした日本の新聞
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55675
2019.3.7(木) 杉浦 敏広
このブログでさんざん書いているロシアとドイツのパイプライン、ロシアとトルコのパイプライン、そしてカスピ海を挟んだトルクメニスタンの資源の話と主要なお話を網羅されている。素晴らしい!
で、どうして筆者がこの記事を寄稿されたかというとThe Economistがまたまたデタラメを書き、それを日本語で翻訳されて出回っていたため、お知り合いの方たちに真偽を尋ねられたためである由。
2019年2月20日付・日本経済新聞6面に、英週刊誌エコノミストの「新パイプラインはロシアのワナ」と題する長文翻訳記事が掲載されました。
上記はこの論考の冒頭の一節です。内容は事実に反する記述が多く、曲解と偏見に満ちた記事なので論評に価せずと考え、筆者は無視しておりました。
ところがその後、多くの知人・友人から「この記事内容は本当か?」との問い合わせを受けました。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55675
日本の経済人、サラリーマンって、大方は英米の知識こそ正義だと思ってる人たちだから、日経がエコノミスト様がこのようにおっしゃっているのだと書くと信じるんでしょう。日経はそれがわかっているからわざとやってる。だって日経そのものがこのthe EconomistとFinancial Times紙というシティーのプロパガンダユニットの一員だもの。
日本のおかれた苦境はまさにここにあるといったところだと思うなぁ、私は。日本の利益とは何の関係もないところで勝手に役割を振られていることに国民が全然気づかない。国民ったって数がいるわけで、一部は気づいているだろうけど、統治機構の政策決定に関係するような層とかエライ会社のエライ人たちが、英米こそ大義の姿勢をもっちゃってるんだからどうしようもない。
それはともかく、あらためて思うのは、英米を中心とした西側深部レイヤーみたいな層の人たっちの過去40年ぐらいの目標は、カスピ海周辺を中心とした一体をソ連/ロシアから外して、そこと中東の資源をコントロールし、もって世界をコントロールするつもりだったということだったんでしょう。
- パイプライン構想
- アルカイダ構想(テロリストを使って騒ぎを作る、とにかく進入路を確保する)
- トルコ構想(トルコ系を餌に、中央アジア諸国の政治的トレンドを西側に向けさせる)
というのが中心構想で、そのお化粧として、西側各国の外交関係者が中央アジアの安定のためとかなんとか適当な名前を付けた会議だのNGOだのを作って、現地の政治家、重要人物を西側に向けさせる。当然賄賂だらけでしょう。そして、彼らはソ連時代からの賄賂の悪習がだのへちまだのという理由をつけて、他日の介入のネタを作る、と。
で、上の構想はそれぞれ
- 経済
- 軍事
- 文化
と分けてみることもでき、分けて考えりゃ、経済(パイプライン)でNord&トルコストリームを設置し、軍事(アルカイダ構想)においてはアルカイダ、IS, etc. はみんな傭兵だとプーチンにばらされ、ワッハービズムの本家のサウジが西側に言われて金出しましたと言い出したことを見ても、ロシアはくたばらなかった。
文化(トルコ系繋ぎ)の部分は、中央アジア諸国にはトルコ系が多いことから、トルコを西側化したスターみたいにして、トルコとの縁で中央アジア諸国を引っ張るというのが一つの鍵だったらしい。ところが入ってみたら、現代トルコ語と中央アジアのそれは相当違っていて、たいした親和性を生まなかった。また、政治に関係がある層はロシア帝国、ソ連時代を通じてロシア語に通じていて、それでまったく困ってないという態度で、トルコ語、英語に引っ張るのが困難だったらしい。そうしているうちにロシアが整い出したため、トルコ系を使って西側に引っ張る構想は挫折し、それどころか、トルコがロシアと急接近してしまった、という顛末であると、アメリカのあるシンクタンクのレポートに出ていた(2018年の後半)。
ということで、なんてかこう、いやほんと、世界制覇妄想の夢の跡という趣。30年か、いや違うのか、アフガニスタンにソ連をおびき寄せた当たりからの40年ぐらい、ず~っと全世界の西側化とでもいうべきプロジェクトが起動していて、日本はずっぽり参加してたなぁって感じ。
いつのまにか、ウズベキスタンが日本のメディアで「親日国」認定されていることがこうした動きの一つの証拠でしょう。日本人でウズベキスタンの位置知ってる人どれぐらいいますか?
そして得たものは、ロシアからの不信感。さらには、そうやって自国の周辺に力を注がず、わけわかめに英米のポチをやっていたことによる地位の低下といったところでしょうか。
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