DEEPLY JAPAN

古い話も今の話も、それでもやっぱり、ずっと日本!
Truly, honestly, DEEPLY JAPAN!

日中間、各大本営は食い違っているようだ&TAPI

2017-06-07 12:06:30 | アジア情勢複雑怪奇

あらら、と思ったのでメモ。

大本営発の本日の見解では、

中国 安倍首相の一帯一路発言を歓迎

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170606/k10011008711000.html

安倍総理大臣が中国が提唱する経済圏構想「一帯一路」について、国際社会のルールに沿った形で実現に向かうことに期待を示したことについて、中国外務省は歓迎の意を示し、「両国がともに発展するための新たなプラットフォームになる」として協力を呼びかけました。

しかし、私が夕べ見た環球時報では、

日本は興味を示したが中国は日本の条件付きの協力を拒否する

China rejects B&R ‘conditional cooperation’as Japan shows interest
By Deng Xiaoci Source:Global Times Published: 2017/6/6 21:53:39

http://www.globaltimes.cn/content/1050308.shtml

だった。歓迎だとはいうものの、という感じ。

条件付きというのは、前日の大本営読売の記事によれば、

「(同構想が)国際社会の共通の考え方を十分に取り入れることで、環太平洋の自由で公正な経済圏に良質な形で融合し、地域と世界の平和と繁栄に貢献していくことを期待する。日本は、こうした観点からの協力をしたい」と述べた。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170606-00050001-yom-pol

と語ったこのへんでしょう。中国がリードしている一帯一路構想に、「国際社会」の共通の考え方なるものを主張し、つまりはthe Westの代理人みたいなことをいい、「環太平洋の」とは、TPPだかなんだか日本が狙ってる構想らしいものみたいなのに接続できる限り、日本は協力します、と言っていると、環球時報の筆者はそう考え、そんな条件付きならこっちも譲歩しないぜ、と言っていたということみたいだ。

China welcomes any country to join the Belt and Road initiative, but it will not make concessions to those which make demands to serve their own interests, Chinese experts said, in response to reports on Japanese Prime Minister Shinzo Abe's Monday remarks that Tokyo will consider conditional cooperation with the initiative.

http://www.globaltimes.cn/content/1050308.shtml

 

まぁ、もともと日本はthe Westと組んで、ユーラシア内部を混乱させてきた組ですから、そもそも一帯一路構想というのは、まったく真逆の取り組みともいえるでしょう。

日本の場合、ウイグルからトルコまでの道を「防共回廊」という名で自分たちの側に引き入れようとした過去があり、かつ、今でも夢冷めやらぬ人たちが実はいる。まぁ、アルカイダとお友だちだとも言えるし、CIAですか、と言ってみてもいいでしょう。

で、上海協力機構というのは、要するにそれら海側勢力が長年かき混ぜてきた陸のシルクロード側を内陸部パワー(中、露)が統治を取り返す機構だともいえる。SCOはテロ対策として域内の麻薬ディーラーの跋扈の取り締まりなんかもやってるのもこの道が何に使われていたかを表すものではあるまいか。

最近、日本人がスパイだとして中国で捕まったとかいうニュースが何回かあったし、去年はロシアはオウムを改めて摘発してきた。このへんも関連があるでしょう。

ということなので、安倍ちゃんの政治都合で表面的に何を言おうが、基本線は対立もしくは膠着のまま、といっていいんじゃないですかね。

 

■ TAPIパイプライン

ほとんど報道されていないと思うのだが、AIIBなんか馬鹿らしくてさ~という時日本が持ち出す、日本が主導する、または日本が自慢に思ってるアジア開発銀行は、このあたりでなんだか大きなというか、怪しいというか、妙なというか、素晴らしいというかというプロジェクトを組んでいる。

TAPIパイプラインというもので、トルクメニスタンの天然ガスを、アフガニスタン、パキスタン、インドへと運ぼうというスケールのデカいプロジェクト。

TAPIパイプライン社株主が投資契約に調印
https://www.adb.org/ja/news/investment-agreement-signed-tapi-pipeline
2016年4月7日

TPCLは、TAPIパイプラインの建設、所有、運営を目指しており、完成後30年間にわたり、トルクメニスタンからアフガニスタン、パキスタン、インドに年間最大330億立方メートルの天然ガスを輸送する予定である。同パイプラインはアフガニスタン・トルクメニスタンの国境からパキスタン・インドの国境まで約1,600キロメートルに及ぶ。

 

で、このプロジェクトは、2015年12月に着工したのだが、その2カ月前、安倍ちゃんはGDPが10兆円に届かない、人口500万人の国に2兆円の経済協力するとはりきって出かけていった。

ここで書いたやつ。この時点では何がなんだかわからなかった。

2兆円規模って、日本とインドの間のいろいろ含めた経済協力が3兆円規模で、それでもびっくりだったわけだけどインドというのは非常に大きい。一方、トルクメニスタンというのは、人口が500万人ぐらい、GDPが10兆円に届かない国。そこにおいて2兆円のインフラって何よ、と思った次第。

中央アジアで何をするつもりなのか

 

ほとんどこれ、国家予算あげるみたいな感じの金額だと思いましたね。

で、ネット内にもあまり筋の通った情報はないのだが、この間偶然別の話の記事の中でこのプロジェクトに言及されているものを見つけた。それによれば、プロジェクト着工の12月、日本からも大勢の関係者が出かけて行っていた由。

そして、このプロジェクトはその記事の本業の方によれば、トルクメニスタン部分以外まだルートも決まってないという代物だそうだ。

ということは、安倍ちゃんが持っていった2兆円の経済協力というのは、日本が税金使ってトルクメニスタンあたりの工事を着工させた、ってことじゃないのかな、と思ったりもする。トルクメニスタンとインドというのは、つまりこのパイプラインの始点と終点。

で、このプロジェクトそのものが、なんてかこう、禍々しいとかいったら関係者に失礼なのは重々承知なんだけど、だけど、やっぱりそう言いたくなる代物。

なぜなら、まるっきりユノカルがやろうとしていたプロジェクトじゃないの?だから。

アフガニスタンの戦争は一体何が原因で、何がしたくてあんなに長いことやっているのだかもう誰にもわからないと言われて久しいのだが、カスピ海の天然ガスをアフガン、パキスタンを経由してアラビア海に下ろすという構想もその一つだっただろうと言われている。で、それにかかわっていたのがカリフォルニアに本拠を置くユノカル社。

で、しばしば登場していたアフガニスタンのカルザイ大統領はユノカルのエライ人だったというオチで、みんなガクッと来たというのは戦争が始まって大分たってからだったような気がする。

ユノカル社はその後アフガンが混乱したので撤退したのだが、あれれと思ったらそれとまそっくりなことをアジア開発銀行がやっていて、どうも日本が金突っ込んでるようだ、という状況。上の記事は、アジア開発銀行のウェブの記事です。

こっちはTAPIパイプライン構想についての英文の記事。同じくアジ開のウェブサイトから。

https://www.adb.org/news/infographics/tapi-gas-pipeline

 

アフガン戦争を決着させることもせず何をやってるかといえばこれかよ、という気分が先に立ちますね。パイプラインの継ぎ目から血が流れてる、とか、風が吹くたび女の子の笑い声が聞こえるわ、あああれは結婚式で空爆されたあの子、あの悲しみがまだあたりを漂うのね、とか、あの村も昔は笑い声にあふれていたものだった、聞こえないかあの声を、とかいう風説がそこら中にあってもまったく驚かない。

 

というわけで、TAPIをアジア開発銀行というthe Westのツールがやっているということは、しかしながら、カスピ海沿岸の天然資源をロシアの支配から離して、西側の支配に置くという構想はまだ生きているってことですね。

別にそれはそれでいいと思うんですよ。ただ、そのために戦争をわざわざ引き起こすとか、言うことを聞く独裁者を維持しないとならないとか、正当な理由があるならいらないような理由つけて国家から支出があるとか、実に実に不都合なことが多すぎるのが、西側たらいう集団のやることだともいえるでしょう。

そういうことをやっておいて、いけしゃーしゃーと、中央アジアは、あるいはロシアや中国は野蛮だの自由がない、民主主義がない、法の支配がどうしたこうしたと、よくそういう図々しいことが言えたものだなと私は思う。各国、各民族の発展を阻害しているのは実にこの集団だと今や私は確固たる信念としてそう思うようになった。

さらに、このパイプラインの成り行きを見ると、アフガン内の反対のみならず、要するに経済合理性がないのではなかろうか。だからこそ、日本が税金使ってブーストした、と。(そうでないなら合理的で透明性の高い資金提供という日本が主張してやまないそういう方法ででできるわけでしょ?)

そして、どうも見ていると税金を足してもまだダメなのかもしれないという気配もある。

というのは、着工はしたものの、未だにトルクメニスタン部分以外のルート選定も終わってないという記事もみたし、とっくに着工したはずなのに今になってもこのパイプラインの将来性がどうしたこうしたの会合が開かれていたりするから。

この匂いは、同じくロシアを回避したパイプライン構想として長らく語られて来たナブッコパイプラインと同じではないのか・・・。ナブッコの方は、カスピ海からヨーロッパ方面に引っ張るプロジェクトで、結局失敗プロジェクトとして終わった。wiki ナブッコ・パイプライン

ナブッコは成功すると長年言いまくっていたのはFinancial Times。私はこのパイプラインのおかげでどれほどFTというのがいい加減なものかに目が覚めたといってもいい。始終、着工だ、着工だ、もう一歩、大丈夫だとそんなことばっかり言っていたものだった。最初は信じていたが、まてよ、何回言えばいいんだ、とか、地理情勢あってないだろうとか、なんだこれはと思い出した。

 

■ カスピ海は沿岸国のものである宣言

そこでこれですよ。私が近年最も重要な出来事はこれだとしつこく言っているこれ。

2014年10月に、ロシアのプーチンとイランのローハニ大統領が行った宣言。

グレートゲーム v.2.2: カスピ海は沿岸5カ国の戦略的財産である

グレートゲーム v.2.2:NATO、イランとロシアにカスピ海から締め出される

どうして重要かというと、カスピ海側のアゼルバイジャンの持ち分の天然ガスでは、欧州側にひっぱっていくには長期的安定供給としては(つまりパイプラインの経済合理性からみて)足らない。だから、トルクメニスタンを抱き込んだ西側さんは、大容量を持っているトルクメニスタンの分をカスピ海を通してアゼルバイジャンのに合わせてトルコに持って行って、そこからヨーロッパに、と考えてる。

当然、カスピ海の沿岸諸国の見解を無視しては進められないが、できると思ってたんでしょう。しかし、ロシアとイランという大国が沿岸国第一だとか宣言したもんだからそうでなくても波乱含みだったところがさらにやりにくくなっている、ということ。

 

■  オマケ

でさ、日本って自分の国のエネルギー戦略さえままならないのに、なんでこんなことにずっと付き合ってるんだろう。

しかも、これらの取り組みは隣国であるロシアにとっては非常にやっかいで、面倒で、腹だたしいものなのだから、日本がそれにずっと加担しているということは、近隣でのエネルギー源であるロシアとの不和に寄与する以外の何物でもない。

せめて、日本近海でロシアからかなり大きなパイプラインを設置して、ロシアに対して俺はお前の大事な顧客だ、俺を失ったらお前は苦しむ、という強いポジションを持った上で中央アジア側では対立する、とかいうのだったら理解できないこともない。

が、そこまでではない。ということは、最悪、中央アジアで対立、近海でも冷却となり、そこに中東危機が来たらどうなるの? ものすごく危ういことをやっていると私は思う。

 


 

 


コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« イラン、インド、パキスタンS... | トップ | 韓国、THAAD追加配備取... »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
『無駄だったタリバン戦争』 (ローレライ)
2017-06-07 13:59:52
『ユノカルパイプライン続行』したいなら『無駄だったタリバン戦争』と言う事になるのでしょうね!『パキスタンの傀儡タリバン』とアメリカが戦争する必要がなかった。
返信する
蕩尽 (ブログ主)
2017-06-07 14:13:06
ローレライさん、

アフガンを混乱させたからといってアラビア海までの距離が縮まるわけでも山が崩れるわけでもないですからね(笑)。

まぁ軍産は戦争したい、パイプライン屋はどうやって各国から金ひっぱってくるか、反共イデオロギー集団はロシア崩しならなんでもいい、そういう妄想が組み合わさったバカ騒ぎでしょう。
返信する
賭けてる博打 (蔵権)
2017-06-07 18:50:00
失敗したら日本はどうなるんでしょうね。

軍も、警察も、裁判所も、立法府も、国民資産も、資源も押さえられて、方向転換できる?

ウクライナ状態?
返信する
アメリカ様 (ブログ主)
2017-06-07 19:51:44
蔵権さん、
失敗などするわけがない、じゃないですかね(笑)。

昔は、神国だから、今は、アメリカ様の一の子分だから。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

アジア情勢複雑怪奇」カテゴリの最新記事