DEEPLY JAPAN

古い話も今の話も、それでもやっぱり、ずっと日本!
Truly, honestly, DEEPLY JAPAN!

新コロナ:韓国はウィルス&カルト対策 (2) &西方教会の「自由」問題

2020-03-04 18:47:05 | アジア情勢複雑怪奇

韓国の感染者が5000人を超えてきた。

韓国の感染者 516人増え 5328人に 新型コロナウイルス 

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200304/k10012312981000.html

場所的には、あいかわらず、大邱が問題らしい。

地域別でみますと、新興宗教団体の教会で集団感染があった南部のテグ(大邱)が4006人、次いでテグに隣接するキョンサン(慶尚)北道が774人となっているほか、首都ソウルは99人で4番目に多くなっています。

 

当然のことながら各国から韓国との出入り禁止のお達しがきちゃう。

韓国から入国制限80カ国超に 感染者は4335人

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56278370S0A300C2910M00/

 

で、問題の教会を発信源とする感染者が昨日の時点では半数以上だったので、勢いこの団体に世界中からの注目が集まり、ついにはこの団体の責任者がソウル市に告発され、本人は土下座謝罪することとなった。

感染者数の6割は、新興宗教団体「新天地イエス教会」で集団感染したとみられている。ソウル市は感染拡大の防止に協力しなかったとして、同教会のイ・マンヒ教主を殺人などの容疑で検察に告発した。2日に記者会見した同氏は「意図的ではなかった。事態収拾のため支援を惜しまない」と国民に謝罪した。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56278370S0A300C2910M00/

 

で、これに関する報道でちょっと興味深く思ったのは、なんで日本の読売と朝日は、このおじさんの申し開きをタイトルに持ってきたの?

韓国の教祖が土下座「夢にも思わなかった」…信者が隙間なく座る礼拝で集団感染か

https://www.yomiuri.co.jp/world/20200303-OYT1T50087/

また、読売の方では、

 「新天地イエス教会」は1984年に創立され、信者らは約31万人とされる。団体施設は韓国内に1100か所あり、団体のホームページによると東京と福岡にも「教会」がある。強引な信者獲得手法を取り、他のキリスト教系団体からは「異端」とされていると聯合ニュースなどは伝える

 

などと書いてるけど、聯合ニュース以外でも、ほとんど世界中で、この教団はdoomsday cultの括りで報じられているし、私は当然だと思う。

FTなどは、タイトルで既に「コリアのカルト」

Why a Korean cult is at the centre of a huge coronavirus scare

https://www.ft.com/content/5a6d40b2-5c1b-11ea-8033-fa40a0d65a98

本文では、「偽キリスト教の終末論セクト」と身もふたもない。

quasi-Christian doomsday sect

 

また、強引な手法で信者獲得をしていることを問題視して、シンガポールはこの団体を活動禁止とし、アメリカやオーストラリアでも、この団体の支部があるというところから、信者又は元信者による同団体に対する批判的な記事が書かれている。


新型コロナウイルス集団感染の韓国宗教団体、活動禁止へ シンガポール

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200302-00000531-san-kr

最近見たので最も詳しかったのは、これかしら。ロサンゼルスタイムスの記事。カリフォルニア州内で勧誘されて信者になった人の話がなかなか詳しい。そして、統一教会あたりとまるっきり同じ手口だなと思った。オウムの異常さまでは行ってない感じではあるけど。

Secrecy is paramount for South Korean sect linked to coronavirus surge. Many believers are in SoCal

https://www.latimes.com/world-nation/story/2020-03-02/secrecy-was-paramount-for-south-korean-sect-behind-surging-coronavirus-infections-including-in-socal

 

■ 思えば不思議

でね、よく考えるとこの事件の報道は奇妙。

なぜなら、例えば日本だったら、あんなに騒いだ統一協会とまそっくりなんだから、まるで統一協会のようなものです、といった一文があっても全然不思議じゃない。だが、ない。

また、世界的にも、カルトがかかわって大騒ぎになった事件といえば真っ先にオウム事件をあげてみたらよさそうなものだけど、どこもそこに言及しない。

twitterを見るに、日本人は多少は語ってるようだけどね。

カルト集団を安易に放置してはいけない、と日本の報道機関なんかが、今こそふんぞりかえって偉そうに上から目線で言うべきではなかろうか? 何を躊躇しているの?

 

結局、つまるところ、書けないものがあるという話ですね。

そもそも、オウム事件は解明さえされてないまま終わりにされてる。何がなんだかさっぱりわからないうちにアンタッチャブル事件になって、いつのまにか、麻原はおかしい人でした、へんなカルトが悪いです、で終わってる。

しかし、それなりに年とってる人たちはみんな覚えている通り、北朝鮮とかロシアの話がじゃんじゃんでてきて、しかも、ソ連製のヘリ買ったとか武器かったとか、どう考えても尋常じゃない話だった。

この展開を見るに、これはやっぱり相当に深い政治事件だったんだなと思わずにはいられない。

 

■ 「プロテスタント」は結社名ではない

で、ちょっと書いてみるに、なんでだいたいプロテスタントが問題になるのかというと、これは、信仰の内容の問題というより、教団の作りの問題なんだと思うわけですよ、実際は。

簡単にいえば、プロテスタントとはその名の通り抵抗する人たち、なわけで、今風にいうなら「rebel」みたいなもの。それを放置してきた結果、なんでもありになってる。

カトリックも正教会も長いこと生きてるだけあって教義解釈を学問にして、ガイドラインを作ってる。異端も多々あるけどそれを含めて学問的に組織化されてるし、古い教会を通してコミュニティを持って、さらには文化背景化している。

それに対して、プロテスタント諸派は勝手な解釈をして、勝手に私は天啓を受けたスペシャルな人間だとかいって信者を募っちゃう仕様が、歯止めなく生きてる。

考えればわかるように、古くなったプロテスタント諸派は、先行の正教会、カトリックと同様学問化してガイドラインがあって、コミュニティも落ち着くから過激派にならなくなる可能性が高い。が、そこからまた、出て行く人たちがいる。

 

別の言い方をすれば、ローマン・カトリックやギリシャの正教会というのは、れっきとした結社だから、ここに所属して、仲間と認められないと名乗れない

プロテスタント諸派でも、長老派、アングリカン、会衆派等々というのは当時は新興でも今は既に歴史を持つ結社名だが、プロテスタントというのは結社名ではないから、あらゆる反抗者はプロテスタント(オーセンティックに抗議する人)だと言う理屈も成り立つ。自由だわ!みたいな。

だから、次から次から適当な集団を作って、そこが単純に聖書を題材にしているという理由で、自己規定として「プロテスタントよ」と言っても止めようがない。

この放置ぐあいが根源的には大問題だったんだろうなぁとか思う。しかしそれが自由に見える人も世の中にはいるわけで、このバランスが難しいわけですね。

 

■ 脱線:西方教会はプロテスタント的

というより、考えようによっては、西方教会というのは、正教会(オーソドックス)から勝手に分かれていったという意味で、すべてプロテスタントであるとだって言えるかもよ、という点も、実は潜在的には問題。

 

このへんで書いた話。

ヨーロッパ1000年のロシア恐怖症

東方教会と西方教会がある、という風に私たちは習うけど、そもそも東方教会があったんじゃなくて、コンスタンチノープルこそキリスト教の正統な中心で、それは1453年にビザンチンが壊れるまで普通にそこにあった。

西方教会は勝手に出て行って、いい加減な正統性を捏造しているもんだから(コンスタンティヌスの寄進状)、その負い目から、東方で別に何も変わらず存在している正統派(オーソドックス、正教会)を、圧制と野蛮の地の奴らみたいに教えてきた。その歴史的視点が今に生きていて、ロシアを表現する時にも使われているというお話。

私がもっとも驚いたことは、自分が学校で習ったことはみんな間違いだということです。学校では、東方教会がローマから分離した反体制派だと教わりました。しかしそれはまったく逆なんです。分離していない教会(universal church)に異を唱えて出て行ったのは西方教会であって、東方教会はそのまま 残り、今でもオーソドックスなのです。(訳注:orthodox、正統な、ということ)

当時の西欧州の神学は、東方教会に重荷を負わせて自己に対する非難を回避して自己正当化するキャンペーンを始めました。彼らが使った議論は繰り返し繰り返し、西側とロシアの間の紛争の一部となっています。中世において彼らは、分裂の責任を否認するために、ギリシャ世界、つまりビザンチンを指す際に、「圧政と野蛮の地」と呼んでいたのです。

(1453年)コンスタンチノープルが陥落してビザンチンが終わると、ロシアが第三のローマとしてビザンチンの地位を継ぎました。ギリシャ世界から神聖性を奪うためのありとあらゆる迷信と嘘が、この時自動的にロシアへと振り向けられました。

 

■ 500年越しの騒ぎ

ということで、思うに、最近正教会(特にモスクワ総主教)がローマのカトリックと話し合いを行っているあたりを考慮に入れてみると、多分、過去500年ぐらいの「プロテスタント」運動の混乱に対する対応、収拾ってのがどこかで(あるいはいろんなところで)考えられているのではなかろうか。

特に直近の200年ぐらい、いわゆる西側というところのプロテスタント諸派は、エバンジェリカルの集団を生み出し、宗教集団というより、過激な政治集団として使ってきた。

これはもういい加減にしないとだ、ということではないのかしら。

だからといって出来るとは限らないけども。

もちろん、カトリックはカトリックで、東方拡大、ラテンアメリカ支配など、支配欲の権化みたいになっていたことが各地で悲劇のもととなった。だから、ここは多少は解明されていくことになるんだろうと思う。

どのみち、ロシアが正教会を盛大に復活させてきた以上、過去100年ほどの呑気さで馬鹿なことをすることはできない。ロシア正教会にももちろん反省すべき点はあり、これはこれでいろいろロシア内で行われてる。国家との関係の仕方を含めていろいろ模索してるね。

ということで、だいたい400年から500年ごしの世界が変わっていくだろう、ってなことを言う人が多いのは、the Westの形成における西方教会(カトリックとその分派であるプロテスタント)の役割も重要な要素の1つとして念頭におかれているものと思う。

 

■ 関連記事

新コロナ:韓国、ウィルス&カルト対策

 


 

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« バチカン、ピウス12世関連資... | トップ | 意味などないがファッショ化... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ローレライ)
2020-03-05 09:18:13
偽教会のバチカンから生まれた徒花がプロテスタントの現人神教祖達!
返信する
世界征服は、そもそも一神教が持つカルト性に由来 (宗純)
2020-03-05 16:33:03
東西キリスト教の分裂ですが、これはローマ帝国の分裂が原因なので、元々教義的には違いがない。
違いが出てくるのは長く続いた東ローマ帝国と違い、西ローマ帝国が滅亡し他ことからくる、西方キリスト教のカルト化
国家権力と一体化した東のキリスト教の戒律は世俗化し緩やかだが、カルト化したカトリックでは無茶苦茶厳しいのですよ。
聖書の自国の言語に訳すのは、イギリス国教会がカトリックから分離したことによる17世紀初めの欽定訳聖書が最初。
それまでは自国語に訳したらした見つけ次第全員火あぶりの極刑。
これに対して東の正教会側は自国語に訳した聖書を使っていたので、ギリシャやセルビア、ロシアなど各国が別々の組織になる。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

アジア情勢複雑怪奇」カテゴリの最新記事