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ビクトリーデー@モスクワ 2019年

2019-05-09 22:52:27 | アジア情勢複雑怪奇

5月9日は、1945年5月9日の対欧州戦線終了を記念したロシアのビクトリーデー。

Victory Day parade kicks off on Moscow's Red Square

 

近年毎年見てすっかりマニアになってますが、いつ見てもまったく見事な式典であり、パレード。毎年書いてるけど、ロシアは本当にパフォーミングアーツの天才揃いだと思う。

このパレードは、前半25分ぐらいまでが式典仕立てで、設定としては防衛大臣が兵を閲兵しつつ、勇敢な兵士諸君勝利おめでといい、それを最高司令官に報告し、最高司令官が訓示する。最高司令官に向かって防衛大臣がかけあがっていくあたりの音楽は、グリンカの『皇帝に捧げし命』の有名な一節。それはプーチンにごますりか?と一瞬思う人がいるかもしれないが、これはソビエトの勝利の年の1945年にも使われている。どうしてこうなるかというとグリンカのこのオペラがロシア帝国時代から一貫して好まれているから。私もとても好き。

 

それはそうと、プーチンの今年のスピーチの一つのハイライトは、私が思うに、ナチを打倒しマザーランドを守ったことを誇りに思うというだけでなく、ナチを、彼らは自分を「優れた種族)superior race」であると規定して、だからこそロシアを、1000年もの歴史のあるロシアを何カ月かで征服できると考えた、と表現していたところが新しいというか、一歩踏み込んだなという気がする。

(実際この、自集団が他集団より優越しているという妄想ほど迷惑なものはない。日本人もこれはまったく他人事じゃないですからね。これは心をむしばむ非常に問題の大きい思想だと思う。)

その上で、命をかけて戦った多数のソ連の若い兵士たちの話、全国の労働者による第二戦線の話をほとんど泣きださんばかりに語りに語り、黙とう。

1分間の黙とうの後にはこんなことを言っている。

大祖国戦争の記憶とその真実は、私たちの自己意識と責務の一部です。

今日、私たちは、数多くの国々がこの戦争を故意に歪曲し、名誉も人間の尊厳も忘れてナチに奉仕したそれらの人々が現在ただいま賛美され、そして、恥知らずにも子どもに嘘をつき、彼らの先祖を裏切っている姿を目にします。

私たちの聖なる義務は本当の英雄を守ることです。 私たちは、勝利を勝ち取った世代のすべてのかつての兵士に頭を垂れます。別々の国に住んでいても、あなた方が共に達成した偉業を分割することはできません。 私たちは常にあなた方全員を尊敬し、勝利を称えます。

http://en.kremlin.ru/events/president/news/60490

 

もう誰でもわかるわけだけど、これは主にウクライナの元軍人さんたちに言ってるわけだよね。実際問題、バンデラ主義者を使ってアメリカとその属国群が入り込んでウクライナを好きなように使ってるため、この気が狂ったようなやさぐれ集団は、ロシアとウクライナには何も共有するものはないだの、ロシアはウクライナの敵だったのとかもう、無茶苦茶なことを毎日毎日どこかで言ってるわけ。嘘も100回いえば真実になるとばかりの調子。教科書なんかも多分大変なことになってる。

バンデラ主義者は要するにナチのコラボレーターで、ウクライナの一番西端の、一般にガリシアと呼ばれているところにいた、一部の、ナチに与した人たちの集団とほぼ同義で、だから、彼らにとっての「真実」、つまり、ナチと共にソ連を倒そうとしたのに失敗したことに対する追想をウクライナという地域全域に広げようとしている。この気持ち悪さ、悪質さはロシア人でなくともおぞましいと感じる。

それが、過去にナチと戦ったソ連兵士だった人、そのご家族、友人たちをどんなに傷つけるかを、バンデラ主義者が気にするわけもなく、アメリカ人、カナダ人が気にするわけもないわけで、続いている。独ソ戦の激戦地の多くはウクライナにあることを考えれば、ほとんど人権問題だよなとか思うぐらい酷い。

 

しかし、多分、ウクライナだけの問題ではないでしょう。クリスチャン・シオニストもクレムリンの注意喚起の標的だと思う。クリスチャン・シオニストは目立って反共ということになってる。これだと冷戦時代にはあってもいいことになってた。しかしそれは、裏を返せば反ソビエトであって、要するに反ロシア、つまりロシアを食いたい側の手ごまってことでしょう。

ここらへんが集団が、クリスチャンであることを使ってロシア集団に入り込んでいる、入り込もうとして、へんな教説を売り込んでいる、と認識しているのではなかろうかなどとも思った。

実際そうでしょう。トランプ周辺のロシア好きの半分ぐらいはこの手だと私は認識してる。で、私がこの2年ぐらいで気がついたのは、ほんとにロシアなのか、親方反ロシアに使われたクリスチャンを入口とした現象的な親ロシアなのかの見分け方は、大祖国戦争。

クリスチャン・シオニストは所詮は洗脳された反共連中だから、何人だろうがソ連がついたら敵になっちゃう。心を寄せたり、頭を使ったりできない。しかし、本当のロシア人は、そりゃソ連時代にイヤなことがあろうがなんだろうが、たとえスターリンだろうが、みんなしてマザーロシアを守ったことは本当だと首を垂れる点に揺るぎはない。

 

■ 犠牲者の絶対数

ということで、この手の話題はやはりこの図が必要ですね。

第二次世界大戦の犠牲者の絶対数。ソ連、中国、ドイツがビッグ3といっていいでしょう。

 

ロシア、中国人が、どうあれ大戦争を拒否する考えを持つのは当然だと思う。ドイツは、政府はあれだが国民的にはこっちのグループにかなり近接しているのも無理はないでしょう。

オレンジが民間人、赤が兵士の志望者数。青い線は、人口当たりの比率。

 

■ 言うに事欠いて「国威発揚」

日本の記事は毎年ピント外れの、ジョーク記事だから期待はしてないけど、日経がもう、言うに事欠いて国威発揚ときたもんだ。やっぱ、グローバリストはロシアを食いたかったナチの残党なんだろうなぁと笑いが出る。

ロシア各地で軍事パレード プーチン氏、国威発揚狙う

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44583690Z00C19A5FF1000/

【モスクワ=小川知世】ロシア各地で9日、旧ソ連の第2次大戦での対ドイツ戦勝を祝う毎年恒例の軍事パレードが開かれた。首都モスクワの「赤の広場」ではトルコが導入予定の最新鋭地対空ミサイルシステムS400などが披露され、約1万3000人の兵士が行進した。プーチン政権は軍備増強を内外に誇示し、国民の愛国心に訴えて支持つなぎとめを図る

 

支持繋ぎとめをしないとならないほど支持が低下しているわけでもないと思いますけどね。というか日本では自己都合で一時、プーチンの支持率は30%まで低下とか言ってた人たちがいましたね。

どうでもいいですが。

で、ウォールストリート、シティーの大物連中というのがロシアの主敵みたいなものだから、そこにいっちょ噛みして今や支配層の一角みたいな気になってる日経の記者もそういう視点なんだろうね。ロシアごときに、みたいな。

何度でもいうけど、日経は肉系とでも漢字を変えてほしい。日本だと思われるのがたまらなく不愉快。

 

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3 コメント

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5月9日に (石井)
2019-05-11 17:59:03
年々テレビ局は5月9日の放送に傾注し、今年は第1チャンネルに至ってはモスクワ時間朝5時から特番を組んでいました。5時からパレード開始の10時迄延々と、各地からの中継と有名人、一般人、パレード参加の軍人、90才を越えたベテラン軍人等々のインタビューといった番組構成です。その中から5時台に放送されたザギトワのインタビュー。
https://www.youtube.com/watch?v=evJpVatJiuY
「去年、家族の戦争体験を聞き、曾祖父2人が従軍。ひとりがヴァジマ近郊で戦死、ひとりは、41年8月、スヴォロフスキー師団第139射撃隊に入り負傷、叙勲。今年は練習でパレードは見られないけど去年は家族で観覧席から見学、フィギア選手としてその高度な訓練を想像してみた。」

昼の3時からは「不滅の連隊」の中継。いつも感心するのは10才に満たないような子供の話です。曾々爺さんの写真を掲げ上のザギトワのような話をする訳ですが、口調はその家族の英雄を誇りにしている様子が伝わってきてこちらまで感動します。戦争体験者は、その体験が重すぎるため中々口を開かないものだと思いますが、その中からでも伝わっていく話はあるので、その後、孫曾孫その次の世代と語り次がれるのは容易でしょう。これを社会全体がサポートしていく。独ソ戦の巨大な損失の穴埋めとして、少しは特権を行使しても良いかと思います。

元ソ連兵を家族に持つ人は、家族の英雄として誇れるでしょうが、中国で戦った日本兵、中東で戦った米兵の家庭はどうでしょうか。子供孫に「英雄談」を語れるでしょうか。ドンバスで子供年寄りを殺して喜んでいる西ウクライナの軍人は、「国のためにテロリストを殲滅した」と語っているのかも知れませんが、この類はごく僅かだと思います。しかし、この僅かな筈の人々が、今の日本では大勢なのかもと、下のツウィートを見て思いました。
https://twitter.com/take_off_dress/status/1124204188160778240
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不滅の連隊 (ブログ主)
2019-05-11 19:14:43
石井さん、どうも。
レポートありがとうございます。

不滅の連隊は本当に良いプロジェクトだと思います。言わずに、知らずに過ごした人たちを掘り起こしている。

>>中国で戦った日本兵、中東で戦った米兵の家庭はどうでしょうか。子供孫に「英雄談」を語れるでしょうか。>>

私が戦争で最も大事なのは大義と言い続けているのはそこです。

でも、兵が個人として罪悪感を持つのは個人の領分だとして、政府レベルでは結局第二次世界大戦終了後連合国が取った考え方でよかったんだと思います(逆コース以前)。つまり、政府や首脳が起こした戦争として、軍人は処罰するが一般日本人を責めてはいなかった。現行憲法の前文がそれを表している。

それを「一億総ざんげ」にもっていったのはむしろ日本の指導者層です。
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惨勝 (ローシャン)
2019-05-12 00:25:23
私が小学生のころ家では、アカハタ、と産経をとっていました。私は政治的にませていたので(女の子にはおくて)4コマ漫画を中心に両方読んでいました。産経では「竜馬が行く」の連載から「坂の上の雲」に変わった頃でした。

「アカハタ」の記事で小学生の私でもわかったことは、ソビエトや中国は戦争で大きな犠牲を払っているので反戦平和を求めている。

反対に核戦争を起こそうとしているのはアメリカ帝国主義で断固反対だ。

でもその頃の日本共産党はソ連・中国の手先とみられ、国会の議席は衆参で5議席くらいだったと覚えています。

WW2の各国の死者数のグラフを見ていつも感じるのですが、ソビエト並びに中国の死者は、日本では全く教えられていません。

父の友人でシベリア抑留を経験した人の話では日本人捕虜が死んで埋葬するとき、下着も全部脱がせるそうですが、その下着をもって近くの村に行き食料品と交換したそうです。

「負けた我々よりもロシア人はそれほど貧しかったと」言っていました。







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