北朝鮮の6月12日だけが話題だけど、その前にはG7サミットもあり、6月8日から10日は、上海協力機構のサミットが中国の山東省青島で開かれる。
上海協力機構、青島で6月9、10日に開催
https://mainichi.jp/articles/20180529/k00/00m/030/103000c
【北京・河津啓介】中国の王毅国務委員(副首相級)兼外相は28日、中露など8カ国で構成する上海協力機構首脳会議を山東省青島市で6月9、10の両日に開催すると発表した。習近平国家主席は会議に出席するプーチン露大統領と会談する予定。朝鮮半島情勢が米朝首脳会議を巡って激動する中、北朝鮮を支える中露が連携を確認する場となりそうだ。
これはまだ普通だが、
来月9日、上海協力機構首脳会議=北朝鮮・貿易、対米けん制か
米朝首脳会談が6月12日に開かれる場合、その直前のタイミングで中ロ両首脳が北朝鮮の「段階的非核化」などの立場を擁護し、トランプ米政権をけん制する可能性がある。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018052800800&g=use
牽制って、よく日本の新聞記事で使ってるけどどういう意味で使ってるわけ? 牽制ってチェックしてそっちの出方を制するとかそいういう意味でしょ。そりゃトランプ政権に、ちゃんとやれよとか、北朝鮮を不用意にいじめるなよという意味合いを持たせるかもしれないけど、それの何が問題なの?
要するに、日本の新聞とか読んでいると、アメ様や西側様がいじめるものは、そのまま真っ裸でいじめさせろ、という発想なんだよね、いつも。余計なことを言うなど、子分第一の私が許さないみたいな。いじめが大好き。
そんなことはともかく、
ロシアと中国が朝鮮半島の行方について山東省青島で語るということは、アメリカへのけん制の前に、日本もちょっとギクっとするべきなのではなかろうか。
ここでしょ。shangdonで適当に見つけた図。でもまさしくこれ。
現在の世界秩序は第二次世界大戦の終焉を受けてできたものだと言われているが、第二次は第一次で割ったもののお片付けみたいなところがあるので、実際には第一次こそ世界大戦だった。そしてベルサイユ条約によってあっちこっちの帰属問題が語られた。
その前後に極東方面で起きた出来事として名高いのが、中国の五・四運動、そして朝鮮の三・一運動。
wikiにはこうある 五四運動
五四運動(ごしうんどう)は、1919年パリ講和会議のベルサイユ条約の結果に不満を抱き発生した、中華民国の北京から全国に広がった抗日、反帝国主義を掲げる大衆運動。5月4日に発生したのでこの名で呼ばれ、五四愛国運動、五・四運動、5・4運動とも表記される。抗日・反帝国主義だけではなく反封建主義の側面もあった。
では何に不満を持ったのか?
それは山東省の帰属問題。上の地図のShangdonのところ。まぁその重要な場所なわけですよ。そこをドイツが取った、それを日本は、第一次世界大戦をイギリス側で参戦して、ドイツ利権をゲットというプランを立てて実際そうしたわけです。
wikiでは
大戦が終結し、パリ講和会議において日本側の「日本がドイツから奪った山東省の権益を容認」という主張が列強により国際的に承認されると、
と簡単に片づけているけど、経緯としては、そもそも山東省を返してくれと中国人が英米に掛け合って、それじゃ兵隊を出せと言われて、中国人が14万人も欧州戦線に出ていたというのが大きいと思う。
つまり、日本も協商側で参戦してるが、中国もしてた。
英語版には背景事情として出てた(ここ)。中国は1917年協商側で参戦、山東などのドイツ権益を条件に14万人の兵を英国軍の一部として出した。
China had entered World War I on the side of the Allied Triple Entente in 1917 with the condition that all German spheres of influence, such as Shandong, would be returned to China. Although in that year 140,000 Chinese labourers (as a part of the British army, the Chinese Labour Corps) were sent to France,[6] the Versailles Treaty of April 1919 awarded German rights in Shandong Province to Japan. The representatives of the Chinese government put forth the following requests:
その後、終戦に向かってアメリカのウィルソン大統領が民族自決とかいうもんだから、中国人は大喜びでこれで山東省は返ってくるとぬか喜びする。
しかし日本が戦時中に中国当局と結んだ合意があり、さらに日本はイギリスとフランスのサポートを得ていたので、ウィルソンらが最初は相当がんばって中国の肩を持つものの、最後は英仏日に押し切られ、日本の利益が確定した。
日本はこうやって英仏と密接に極東利権を確定し、その反対側の中東での英仏の利益確定には日本が賛成する。だから、現在の中東の線引きなんか俺ら知らないというのは、日本にとって厳密には正しくない。
そこから、中国は抗日が強まり、それと同時に、アメリカって駄目じゃん、となって、急速にロシア、あるいはソ連に接近する人たちが出て来る。
だから、日本で多く見られる、民族自決みたいなことを言い出すもんだからとか、コミンテルンが焚き付けるから抗日になった、ソ連に惹きつけられたみたいなのは、事実関係としてはちょっと表面的すぎるでしょう。いくら資金や人を投下したって大量の人間を惹きつけるには相応の何かがなければできないですよ。
実際兵隊出して、顧維鈞みたいなインテリを使ってアメリカと協力しようがダメで、という事態を前にして、こりゃもうソ連だ、植民地主義は粉砕だ、反帝国主義だ~みたいになっていったという方が断然リアリティがあると私は思う。
私が思うだけでなく、この運動こそが後の中国独立運動の萌芽だったと中国共産党は高く評価しているんだそうだ。が、日本では、この史観を乗り越えるべきだと考えられていた、またはいるらしいと今日 wiki で知る。
五四運動は、中国共産党と中国国民党[2]に高く評価されてきた。その研究の蓄積は他国の追随を許さない。しかし、政治イデオロギーに縛られ硬直した部分があるのも事実である。大陸では、五四運動をナショナリズムが真に大衆化した転機として捉え、中国現代史の起点をここに置いている。すなわちストライキやボイコットといった運動手法を積極的に利用した五四運動に高い評価を与えているのである。
これは、1921年、中国共産党が五四運動の影響から誕生したことも大きく関係している。こうした中国共産党的歴史観を革命史観ともいうが、この史観は、一時期の日本にも多大な影響を与えた。現在ではこうした革命史観をいかに乗り越えるのかというのが、今日、五四運動研究において自覚的に求められているテーマである。以下に紹介する近年における日本の歴史学界における論争は、その乗り越え方をめぐる論争とも言える。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%94%E5%9B%9B%E9%81%8B%E5%8B%95
これ何で乗り越えないとならないの? 中国人がそうだと言ってんだから、彼らにしてみりゃそうなんだなで何がいかんのでしょう?
下線部みたいな、ストライキやボイコットを云々が問題だということだろうか?
しかし、私が思うに、中国共産党は別にストライキを高くかってんじゃなくて、兵を出してもイギリス、アメリカに裏切られた以上、かくなる上はロシアを見習って俺らも革命だ、革命するしかないのだ、それでなければチャイナは取り戻せない、となったモメントとして尊重しているのではあるまいか? 実際それはそうだったんじゃないでしょうか。失望から希望の種が生まれたみたいな。
それを勝手に曲解して、乗り越えるべき史観にしてどうするのだろうかと怪訝に思う私。
シンプルに言って、五四運動に至る顛末は、別にチャイナじゃなくてもどんな国で起こっても、自国の古い古い文化地域を外国人に取られていたところを奪還しようとする試みが失敗したら、そりゃそこの人々は不満に思うだろうし、まして英米に頼っても、兵隊出してもダメだったとなったら、そりゃもういろいろ考えて、なんとかせな、となる集団が出てきてもまったく不思議ではない。というか、出来すぎなぐらいドラマチック要素一杯って感じ。
そこに、日本ときたら、飛んで火にいる夏の虫的に、そもそもの構図として既に悪役なのに、英仏と組んでパリ講和会議で顧維鈞とウィルソン米大統領を沈没させ、その間にも中国の領事だったか誰だったかがやたらに高圧的な態度で民衆の反発を受けさらに事態を悪化させたというエピソードがあったと思う。名前忘れた。
ちなみにこの時ベルサイユ会議で英仏のサポートを受けて日本の利益確保に尽力した or 帝国主義者として振る舞い他国領土の奪取に余念がなかったのは牧野伸顕。つまり麻生さんのひいおじいさん。
■ その後の顛末
前にもシベリア出兵について書いた時に言ったけど、第一次世界大戦によって欧州が没落したのを尻目にある種の「天祐」を得た気になっていた日本らしいのだが(と書く本が多いように思えるんだが)、
実際には、
・中国は抗日
・ソ連はその後介入戦争で日本を敵視。バイカル湖以東を日本にするとか無駄に壮大なことを言うんじゃない!
・ドイツはイギリスにくっついて利権を取って行った日本のやり方を快く思わず、後に中独合作時代が来る
・アメリカは1922年のワシントン会議をきっかけに日英同盟を廃止に向かわせる。
という具合に、英仏と仲が良くても近隣は向かうところ敵だらけになった。
■ 日本というより…
だからなんだと言えばそれまでだが、しかし北朝鮮の問題も日本の戦争の終結の問題と密接にかかわっているのだが、そこに言及する人さえ稀で、北朝鮮といえば核、ミサイル、拉致しか知らない人たちが膨大にいる日本。
これに対する懸念が日本の周辺各国にあったとしても、私は不思議とは思わないです。
だってそれって結局、またこれなのかよという懸念だから。
つい数年前、わざわざこういうことをやった中国の意図をすべて無視して、台湾の影にかくれて批判してたのが日本だわなぁとか思い出すわけです。
まったく正面から向かい合う気がない。いいんだろうか、というか、いいわけないんだが、なにせ、日本は負けてないんだとかいう正気の沙汰ではない人たちがマジでいる国になっちゃってる。
どこまで行く気なんでしょうか。
しかし多分、これは日本に対してのみではないですね。私が思うに、bチーム問題だと思うし、現時点でのそのコアは結局国として言うのならアングロ&ドイツだと思う。実際、一次大戦を画策し、二次大戦を組み合わせていったり、冷戦作ってお話を変えていった人々は、国ごとではなくどこかにホームがある。
ちなみに、bチームとはナチを仕掛けた人たち、その他の人たちは特に組んでいるわけではないがbは嫌なので抗してaチームという分類をしてる。このブログでしか通じません。
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そしてグローバルとインターナショナルも表裏一体関係。山手線は内回りでも外回りでも到着する目的地は同じ
いやぁ、グローバル資本なるものが一致団結したこともなければ今後そうなることもないんじゃないでしょうか。
国民経済っつったってかつて存在したソ連圏以外では、閉鎖経済は成り立たないんだからどこかしらグローバル的でないと立ち行かないですよ。
ということなので、グローバル資本 vs 国民経済派みたいなのは、アメリカならアメリカ、日本なら日本という各国内での模様眺めには役立っても、俯瞰した時には正解でない、と思う。
今潰されている(と私が思ってる)のは、もっと具体益な一派だと思います。