トランプの勝利に沸いたアメリカ国民でしたが、ここにきてミッド・ロムニーを国務長官にするという説が流れ、多くの人は冷や水を浴びせられた感じになっているようだ。
米国務長官人事で対立、本命ロムニー氏に異論
トランプ氏を批判していたロムニー氏より忠実な人物を求める声
http://jp.wsj.com/articles/SB12408226390103943756704582457352119362284
そりゃそうでしょう。ブッシュ一家を蹴り倒したところにトランプ躍進のきっかけがあったし、それは少なからぬアメリカ国民の願いであり固い意志ではあったわけです。
ところが、ここでロムニーを入れるとしたら、またまた、いわゆるウォールストリート・リパブリカン、あるいは「インサイダー」系統の人にかっさらわれる形になる。
これはつまり、トランプに入れた人たちは騙される、ってこと。
すごいよね、アメリカ。
8年前には、何か大きな変化があるかのように偽のキリストまがいのムードでオバマを煽って、それはなんのことはない2008年の金融危機で土壇場になった金融業界がオバマというムードであおって国民を惹きつけている間に、金融業界にとって悪くならないディールを次々に完成させていったという話だった、というところ。
そして今度は、トランプというスターを見つけてきて、こっちは軍産ではなく軍、諜報が背中にいるんだなというのは見えていたので、ネオコン勢・軍産・金融業界よりいいんじゃないかとなんとなく思われている節もあったし、今も可能性は残しているだろうけど、既にスタートからとん挫する可能性が大きくなっている。
こっちはまだどうなるのかわからないですが、一応現在までところでは、騙しに近くなっとるやん、って感じ。
ということは、アメリカ国民は2度に渡って騙されるという話になるのだろうか。
この場合、最初左から、次に右から騙したので、次はどうなるんでしょうね。
前にも書いたけど、今回はアメリカは全体としてみればトランプを選択する方がよかったわけです。なぜなら、ヒラリー一派があまりにも汚いことをし過ぎているし、それに証拠が揃いつつあって、もう騙せなくなっていたから。
だからここで、Make America Great Againとかいって、ヒラリーに汚いものをおっかぶせて、次に進むっていいじゃないの、と思っていた。が、次にも進めないのかもしれない。
これはもうアメリカ人次第ですね。
アメリカは個々のアメリカ人ではない一群によって支配されるしかないのか、それとも取り戻すのか。
そして、この帰趨はいわゆるアングロ・シオニスト・アメリカ覇権にも影響しないわけにはいかないでしょう。自由と民主主義を旗頭にして、世界を圧政から解放するのだのと言っていたその大本が、戯言を言う自由を享受するだけの、みせかけの民主主義しかないのか、それともそうでないのか。
折しも、「マスコミに載らない海外記事」さんが、ポール・クレーグ・ロバーツの「It's Up to US(我々次第)」を訳されていた。
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2016/11/post-1205.html
過去三代の大統領の下で、財務長官は、大き過ぎて潰せない銀行と、ウオール街の手先だった。金融界のギャング連中が財務省を自分のものにすることが、今や伝統になっている。この伝統が強過ぎて、トランプには壊せないのかどうかは見てみないとわからない。
オリガーキーは、大統領になる前から、トランプ大統領の威信を傷つけようとしている。この取り組みは、経済的見通しが下落していて、ネオコンの覇権の狙いと、軍安保複合体の利益と権力の役にしか立たない15年の戦争にうんざりした有権者の問題意識の対象ではない、移民法の不実施や、同性愛者や性転換者の権利などの問題とリベラルや進歩派集団を同一化して、こうした集団の信用を傷つけている。
国民は選挙で「一群」の奴ら以外の人を選ぶところまで来たが、オリガーキが死んだわけではない。そしてオリガーキが弱ったわけでもない。
オリガーキは依然、どうやって支配したものか虎視眈々とチャンスを狙い、弱い輪から崩しに来るでしょう。
でもって、移民法や同性愛者の問題というのは、確かに個々の人にとって重要度は高いこともあるだろうけど、オリガーキ支配を弱体化するためにはどうしたらいいのかといった問題とでは本当は対になどならない。
というより、移民や同性愛者の話は大統領に問題にしてもらわないとどうにもできない問題ではない。個々のコミュニティーで地道に話しあったり誤解を解いたりする方が現実には有効な話だ。しかし、それをあえて国政や外交に持ち込む。日本以外の西側諸国の首脳は、ロシアで行われたソチ五輪に同性愛者への配慮を問題として出席しなかったのだ。これを可笑しいと感じない人たちをどうにかしないと、このオリガーキ支配のための道具は依然有効であり続けるだろう。
見せかけの対論、偽の問題設定を外していくことが肝要となっていくでしょう。金融支配、軍事支配の違法で惨たらしい進行をどうにかしない限り、各国の政治にsane(分別のある)な議論は戻らないでしょう。
今や「リベラル」こそオリガーキ支配のための重要な基礎となっている。ついでにいえば、ロシアとの核戦争に向かうステップを意気揚々と歩んでいたのも「リベラル」勢。
ここの層を崩さないと、オリガーキ支配は崩れないだろう。なぜなら、世界中のほぼすべての主要マスコミは「リベラル」勢が握っているから。
The Right Nation: Why America is Different | |
Adrian Wooldridge,John Micklethwait | |
Penguin |
中央銀行が終わる日: ビットコインと通貨の未来 (新潮選書) | |
岩村 充 | |
新潮社 |
そうなんですよ。昔からそうであったにせよ、今のフェーズの原点はユーゴ解体問題ですよね。あそこから、NATOは新しいミッションを見つけたわけです。冷戦後用事がなくなったからよーし十字軍だとばかりにリベラルアジェンダで侵略を敢行しはじめた。ブッシュはこの延長。
リベラルに応援させて、空爆しないと大変なことが起こる~と騒がせて、そして空爆する。秩序を壊す。好きなように国を作り変える。
ユーゴ問題をロシア勢がどう持ち込むのかがカギかもしれませんね。