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ロシアが自然に取り持ってるパキスタン&インド

2019-12-15 15:44:17 | アジア情勢複雑怪奇

この間、イラン、ロシア、中国がイランの前の海で演習をするらしいという話を書いた際、そうなるとパキスタンの出方に注目だわ、などと書いていたら、すぐその後、

パキスタンとロシアが、ソビエト時代の債権債務を解消したという話が出てきた。

Pakistan, Russia settle decades old $93.5mn trade dispute

https://www.brecorder.com/2019/12/04/550296/pakistan-russia-settle-decades-old-93-5mn-trade-dispute/

 

ソビエトが貸し込んでいた金9350万ドルをパキスタンが払うことで合意というのが中身。

額面としては大したことはないが、多分これを解消することが今後の投資関係のスタートになるんだろう、みたいな予測がでる中、

 

ロシアがパキスタンの鉄鋼、鉄道、エネルギー分野にかなりの額面の投資を行う見込みで話し合いが進んでいるという記事が出てきた。

Russia looks to invest in Pakistan in a big way
9 Dec, 2019 12:01

https://www.rt.com/business/475368-russia-pakistan-investments-energy/

 

カラチで上陸させてラホールまで運ぶパイプライン(North-South Gas Pipeline)の話は前から出てきたが、ガス代で折り合わないことと、アメリカがロシアのRostecに制裁をかけやがった(笑)ために、話がとん挫していた。どうも今回は本当にやることになったみたいだ。

 

なんといっても、冷戦時代は、パキスタンはアフガニスタンにムジャヒディーンを送り出す大作戦の本拠地みたいなところになっていたのでこの2国は敵対関係にあった。その「清算」みたいなのもあるだろうなとも思う。

外交関係者だったかと思うけどパキスタンの識者が、ムジャヒディーンからじゃなくてその前にパキスタンが米軍に基地を貸したらソ連をうかがう場所として使い出したところから、ソ連とパキスタンの関係が悪化し、結果的にソ連とインドの関係が良好という恰好になった、これはパキスタンのために悪い選択だった、とものすごい率直に書いている記事を見たことがあった(つい最近)。結構驚いたが、アフガニスタンに関する評価がばらけていくにつれ、まぁこうなるよなというのはある。

で、パキスタン人としては、当然のことながらアフガニスタン問題の鎮静化に伴い、もうこんなのヤメだというモードになっているっぽく、ロシアの方は元々友好国じゃないし、パキスタンの親方は中国だが、同時に多数の英米の手が入りっぱなしの状況なのも知っているのでいろいろ慎重。

 

ということで、ロシア軍とパキスタン軍が、10月には、2016年以来恒例となった「Friendship 2019」という演習を行ったりして、お互いを知りましょう活動に余念がないようではある。

Russian, Pakistani commandos storm notional city in Friendship 2019 joint drills

https://tass.com/defense/1082421

The joint Russian-Pakistani exercise Friendship 2019 kicked off on October 1. The maneuvers have been held since 2016 on the territory of Russia and Pakistan. The Russian military contingent in the drills is represented by the special forces personnel of the Southern Military District’s 49th all-arms army.

 

で、そのNorth-South Gas Pipelineは、こんな感じ赤い線)で、南のアラビア海で受け取ったガスを北部に送る。ガスはLNGだからイランからでも、その他中東からでもOKということなんでしょう。ちなみに青は川。太い本流がインダス川。

「north south gas pipeline」の画像検索結果

 

イランと陸上で繋いだ方がいいだろうと誰しも思うところで、それが、イラン・パキスタン・インドを繋ぐパイプライン構想。赤い線。

「iran pakistan gas pipeline」の画像検索結果

しかし、イランは経済制裁をかけられているし、パキスタンとインドは現状仲が悪いのでこれができない。もちろん、作らせたくない人たちがいる、とも言いますね。だってこれが出来たらイランが発展しちゃうし、パキスタンが落ち着いたらテロリストまたはその予備軍に支援するために海を使えなくなっちゃう→アフガニスタンに届かない!という問題もある。

 

この地図で、上の方にある緑の点線が、TAPIパイプライン。着工した、スケジュール通りだ、と記事が出るがいつまでたっても達成しない幽霊パイプライン。

90年代にユノカルがやろうとして、2015年には日本が主導するアジア開発銀行が支援してまたぞろ契約がなされ、実際着工した風ではあるが、4年経って完成したという話はまだ聞かない。

wikiには

The pipeline is expected to be operational by 2019.

2012年2月付けの記事では

It is expected to be operational by 2020.

とある。来年まで、を最大限ひっぱって来年2020年中だったら、もう既にかなり出来ているはずだが・・・・

日中間、各大本営は食い違っているようだ&TAPI

 

■ インド

というわけで、ともあれロシアとイラン、ロシアとパキスタンの関係が有効かつ機能的になってくると、従来から関係の良いロシアとインドはどうなるのか、が問題になる。インドは、なんせ、米軍の名前を「インド・太平洋軍」と名称変更させたぐらいに日米から重要視されている。

日本、韓国、オーストラリア、フィリピン、できればベトナム、アセアン、インドを繋いで英米の傘下に置いて、中国包囲網作りに励むんでしょ。

インドはしかし、上の地図を見てもわかる通り、内陸側でロシア、イランに続いてパキスタンが仲良しになっちゃったら、一人だけ東インド会社の代理人をやっている場合ではない。でも、インド人はいくら目の中に$マークが入っちゃったような人が多くなっても、結局は全方位アクロバット外交を突っ切ると思う(笑)。イスラエルだってかなわないタフさというべきではないのか、と思っていたりもする。

ということで今年も恒例のロシアとの軍事演習INDRA-2019をやっている。

そしてここも、ロシア製のS-400購入国。つい先だってもブラジルで行われたBRICSサミットでプーチンが予定通り納品と言ってて、トルコのような騒ぎにはなっていない。が、インドはイラン、ロシアと米に取って困る人とばっかり仲がいいのでプレッシャーをかけられ続けてはいる。

Putin: Russia to deliver S-400 missiles to India as planned

https://www.reuters.com/article/us-russia-india-defence/putin-russia-to-deliver-s-400-missiles-to-india-as-planned-idUSKBN1XO2QS

 
 
■ 安倍ちゃん、インド行き延期
 

安倍首相のインド訪問延期を決定、現地の治安悪化で-菅官房長官

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-12-13/Q2FLY3DWX2R101

 

直接の原因は、現地の市民法を受けた大混乱。

だがしかし、それ以外でも、イランに艦船送ると喜ぶ日本って、あんまり来てほしくないんじゃなかろうかという気がしないでもない。騒乱は結構大変そうだし。

こんなことを言っていたというのも、お含みおきください、ではないのか?

インド、日本に貿易黒字の削減要請 首相の訪印控え

https://jp.reuters.com/article/india-japan-trade-idJPKBN1YE2SX

 

■ オマケ:ちょっと考える

上と重複するけど、真面目に考えて、インドと日本、オーストラリアという米の「インド・太平洋軍」って、本当にパーマネントに持続可能なものなのだろうか。

インドにとって中国を刺激することに究極的にはなんのメリットもないし(インド人は中国崩壊とかいう妄想はないww)、インドはイランと共にドイツと非常に関係が深いところがあって、ロシアとも良好。それら全部を包括するのが、ロシア・アゼルバイジャン・イランの南北回廊路線なわけですよね。この赤い線。

 

つーことは、インドの目線は結構中東、欧州、ロシア(EAEU)に向いてる。マーケットもある。つか自分がまずマーケット。隣のパキスタン、アフガニスタンも今後の投資先として有望。だから課題はむしろ政治とエネルギーの安定。

そこで、中国を刺激するような日本・オーストラリアという米の属国と組むことにメリットはあるんだろか?

まして世界有数の反ロシア国の連合体ときたら、ちょっと・・・となるオッズもある。カスピ海周辺はロシアが頼りにされる十分な理由がてんこ盛りの地域になってるもの。対チャイナよりこっちの方が大きいかも。

また、アメリカはテロリストを振りまいた張本人だ、ということがこの地域で万遍なく知られている、というのは the West、なかんずく英米にとって巨大なアゲインスト風となることはあるでしょう。

中国が、今世紀はアジアの世紀なのだ、とか言い切って、反射的にイギリスあたりに目いっぱい悪意を投げつけ、イランが度重なる嫌がらせにも屈しないでいる中で、インドもそれなりのプライドあるポジションが必要だ、という面はあると思う。

これすごいよ、これ。中国Global Timesの記事。これはあとでなんか書きたい。

China will lead new Asian order, ‘Asian century’ 

https://www.globaltimes.cn/content/1173323.shtml

 

 

日本は、英米ポチこそ天下のゴールみたいに思う発想を持ったまま「アジアの世紀」を生きることのデメリットを考えないとなんないですよね、やっぱり。

 

■ 参考記事

NATOの迷走&アフガニスタン


 


コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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心中マニア (遍照飛龍)
2019-12-15 19:30:41
天皇家は、その結びつきをみても、明治以降は、英国王室と、密接です。

天皇家は、「絶対に、西側の米英陣営であるの死守」でしょう。

「国民の利益」など、天皇家とその犬には、関心ないでしょうから。
返信する
Unknown (ローレライ)
2019-12-15 21:14:38
インド、イラン、ロシアに不和の種を蒔く悪魔日本!
返信する

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