【アゴラVlog】二・二六事件は社会主義革命だった
一般的に、右翼の天皇万歳主義者が起こしたみたいなイメージで語られてきたけど、それって違うでしょというお話。私はこれに賛成。
筒井清忠氏によれば、青年将校には天皇親政をめざす天皇主義者と北一輝の『日本改造法案大綱』を実現しようとする改造主義者がいて、磯部などのリーダーの多くは後者だったという。北の理論の中身はレーニンとほとんど同じだから、二・二六事件は一種の社会主義革命だった。
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51912371.html
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二・二六事件と青年将校 (敗者の日本史) |
筒井 清忠 | |
吉川弘文館 |
で、池田さんがおっしゃるには、二・二六事件として実行された革命は、しかし、そもそも制度設計に無理があるので、失敗するに決まっていたし、磯部なんかはわかっていた、と。
つまり、天皇+社会主義で、「社会主義」部分の大義のために革命を起こすことと、「天皇」からそれを承認してもらおう、というのは並び立たない。ボルシェビキが革命を起こしてロマノフ朝の皇帝が、いいよって言うわけないだろう、と(笑)。
笑うんだけど、でも、笑えないものがあって、この時代の日本の軍部はとにかく革命というか構造を変革しなければ的な切迫感が旺盛だった。しかし、実際問題それは日本だけではなく、1930年代、世界中の先進国は等しく不況だし、出口は見えないしって、みんなどこかしら、社会主義的なものの方が正しいんじゃないかという傾向はあった。
しかもその時、ソ連なんてすぐぽしゃるだろうと思ってたし、レーニンも死んだし終わりだろうと思ってたのに、はたと見たら五年計画とかやってるし、まんざら大失敗でもない、これは・・・という感じで、アメリカ人がソ連に投資してたりする。割と有名なのはウクライナのドニエプル川にある発電所(このへんは陰謀論的な意味じゃなくてね)。
でね、最近の日本で、なんでもかんでもコミンテルンのせいにしようとする人がいるけど、このあたりはコミンテルンがわざわざ出張してこなくても、なるようにしてたらそうなるという確率の高い案件だと思う。
(私はむしろ、統制派が青年将校の動きを知ったまま放置して、最終的にカウンター革命として利用したという説の方に傾いている。)
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