一昨日ラブロフが北朝鮮を訪問した時の動画。
一応記念に見た。
RAW: Lavrov meets Kim in North Korea
平壌を訪れたロシアの外交関係者たち。
金さんを含めた北朝鮮の重要人物は、ロシアの関係者と会っている時はあまり緊張がないって感じがする。習さんと会ってる時はホントに緊張してた気がした。
そして、ラブロフとかと比べてしまうと、金正恩はいかにも若い。良い意味じゃなくてね。そういうことから心配した北朝鮮の李外相などがロシア勢を呼んだんじゃないかと想像してしまう。
だから、ロシアはラブロフだけでなく大使、担当外交官などを引き連れてわざと存在を大きくしたというところだったりするのかな、みたいな(もちろん確認事項はいろいろあっただろうし、それによってアメに呑まれないようにしたという意味はあるにせよ)。
これはトランプとの会談を控えた金ちゃんにとってある種の練習になってるかも。
威圧感のあるコケージアン(≒白人)男子との対応の練習。これはやっぱり、じいさんになって慈愛がにじみでちゃってるプーチンでも、似た顔した習さん周辺でもできない、ロシアの一部にやってもらった方がいい練習って気がする。上の写真のおじちゃんたち怖いやん、だって(笑)。
でもって、金さんはプライベートなお家の中までRTの記者に見せてくれた模様。
この中に埋め込まれてる短い動画がそれ。
‘Kim’s sister hovers like the lady of the house’: RT reporter visits N.Korea's inner sanctum
https://www.rt.com/news/428397-petrenko-kim-palace-visit/
動画といえば、去年、ロシアのテレビが北朝鮮の最初の最初のところを含めた短い番組を作っていて、その中に若き日の金日成が映っていた。動く金日成を初めて見たととても面白く思って記事にしていた。これこれ。
若き金日成とカリアゲさん
WSJは北朝鮮に取材チーム、ロシアはTVレポートで国民教育
その時のキャプチャがこれ。やっぱ、正恩くんは金日成に似てる。妹さんはお父さんに似てると思う。
まぁ朝鮮北部、つまり今の北朝鮮を解放したのはソ連で、そこからずっとソ連、ロシアと付き合っているんだから、彼らの関係は深いわけだよなとあらためて思うし、何かくつろいだ感じで対応しているのもボトムラインを知り合っているからなんだろとも思う。
■ いびつな日本のブログ界隈
で、そこで非常に「いびつ」だと思うのは、北といったら敵扱い以外にない日本のメインストリームの報道とそれとは別の行き方をしてる一部ブログ界隈。
一部ブログ界隈では北朝鮮は日本の残置諜者が作った国なのだとかいう説が最近流行ってるみたいだが、一体全体どんな理屈でそんなことが成り立つわけ? 変わった自己主張を持つ人々が一定数いるのはかまわんが、よくわかってない人たちに吹き込むのは止めろ、とか思う。
この話と共に、
関特演と1945年ソ連満洲侵攻作戦
1945年8月10日、午前2時、昭和天皇の「聖断」
8月20日関東軍降伏(2015-08-21 20:43:40)
朝鮮の日本からの解放が来て、その後に、こうなる。
ブルース・カミングスの凄惨な朝鮮「内戦」
この流れにあって、もし北朝鮮が日本のスパイによって成立したとしたら、ソ連はそれを知らなかったのだろうか? あるいは知っていてそれを泳がせるメリットは?
日本軍が朝鮮半島にスパイを置いてきただろうことは想像に難くない。朝鮮を手放したくないと考えてた人たちは大勢いたでしょう。しかし、その人たちを朝鮮の人たちが味方と思うか否かは別問題なので、どれぐらい活躍できるかもそれに応じて減算されざるを得ない。満洲も中国も台湾も同様。(結果論から言えば南をつなぎとめることには成功したと見ることもできるだろう。)
しかし、ソ連は1945年の満洲侵攻作戦で日本軍を蹴散らしてそこを中共軍に渡した時、既に朝鮮はだいたいこいつらに、みたいな人々を決めていて軍事の指導もしていた(スターリンはあっちもこっちも疑心暗鬼の人だったがそこも潜り抜けたので大丈夫という流れだったと読んだ)。
だからこそ、ソ連軍は1946年にはさっさと引き上げていたが、それでも北部は別に混乱しなかった(対して、アメリカは何も考えてない状態で南に入ったので大混乱を引き起こした)、といった経緯から考えるに、そこに日本軍のスパイが入り込んでいたとして、何ができたのだろう?
想像してみるに、こんな感じか。それらのスパイが金日成をたきつけて混乱を引き起こした、なぜならそうすれば米軍が朝鮮に本格介入する動機になるから、つまり朝鮮戦争の直接の火付け役でした、とかいう話ですかね。これは likely って感じはする。こういうことはよくある。今のウクライナのネオナチとかイスラエルみたいな発想ね。強い奴を引きずり込めば勝てる、と思って事件を起こすやつ。
ありそうな形としてはそんぐらいでしょうか(そうだったと言っているのではないので注意)。そもそも日本の旧軍の軍人さんたちはなんとかしてまた軍を持とうとしていたんだから、これぐらいやっても不思議ではないと思う。冷戦になれば、アメリカは俺らを必要とするという発想だったのは岸も同じ。
あと、それ以前に、日本の大陸の軍はいつ米軍と握ったのか、という視点から終戦に至る経緯を見てみるというのも必要だと思ってる。よく考えると謎だらけなんですよ、ほんと。
私の基本的な出発点は前にも書いた通りこれ。
なんでこんな風に考えるのかといえば、満州にいる関東軍をどうするのかが真っ先に来ない終戦プランなんてありえない、と思うから。(1945年8月10日、午前2時、昭和天皇の「聖断」)
そこらへんも含めて朝鮮半島の過去を顧みたいというのならいろいろ言う価値はあると思うけど、これらの、北朝鮮は日本のスパイが作ったんだ説を言う一部の人たちがそんな意図を持っているようには思えない。実に謎だ。
謎だが、これをネット上で表に出したのは元自衛官のおじいさんで、その話を西尾幹二さんと馬渕さんがチャンネル桜で、こういう話もあるんですよ、あの人がいうなら信ぴょう性はあるかもしれないですね、とかいう脚本が透けてみえるような感じで話題に引っ張り上げた、という経緯を私は明確に記憶している。これがマイナー界隈のメジャーデビューだっただろうと思う。
一体何を目的としているのかは私にはまったく謎だが。
欧州留学時代の写真が流出してマスコミで公開されたのを見たかぎりでは、ふつうにスマートな少年でしたし。
しかし、彼が「祖父である金日成氏に顔つきがよく似ている」ことを考えると、「お祖父ちゃんそっくり」というのを良くも悪くも利用したのでしょうね。
下記リンク、1950年代ごろの金日成氏の写真を見ると、もうそれは明らかですので(笑
https://bit.ly/2o72rqO
金日成氏も1945年くらいまではかなり痩身の青年でしたが、50年前後にはすでに立派な恰幅の持ち主でした。
ですが最近の南北・朝米の首脳外交を映像として見ていて、ブログ主さんおっしゃるところの「若さ(こちらも良い意味ではありません)」を
国際首脳外交においてなんとかカバーするための演出手段でもあるなと気づきました。
特にそれを感じたのは、板門店でトランプと並んだ時ですね。
トランプはあのとおりの巨躯ですから、「ハンサムだが痩せた若僧」のままでは見た目的に貫禄負けしてしまいます。
まあしょうがないことなのでしょうが、少しでも健康をたもって北朝鮮のソフトランディングに寄与してくれることを祈るばかりです。
>一部ブログ界隈では北朝鮮は日本の残置諜者が作った国なのだとかいう説が最近流行ってる
私もそれっぽいことを書いているネットユーザーの文を目にしたことはありますが(まとまった言説としてそういう論を読んだことはありません)
それこそブログ主さんのご指摘のとおり、信ずるに値しないクズ情報でしょう。
曰く、「北朝鮮の古い軍歌には日本の軍歌由来のメロディのものが多い」とか「朝鮮人民軍の創設時、空軍パイロット養成に当たったのが日本軍将校だった」とか、
「一面の真実」としての事実性・蓋然性は認められるとしても(戦後に八路軍に協力した元日本兵は少なくないですし)
確たる根拠と見なすには断片的すぎる情報ばかりで、苦笑するしかなかったです。
それよりこの写真↓
https://bit.ly/2OsMjL3
ご存知かと思いますが、極東ソ連軍「第88独立狙撃旅団」(元東北抗日聯軍)隊員の写真です。前列右から2人目が金日成氏、当時は赤軍大尉の肩書ですね。
ウィキペにまともな記事があることにちょっと驚きました。
この写真を眺めつつ記事を読みこむほどに、金日成氏以下、いったい誰が日本のスパイに取り込まれるのか
その可能性を論じること自体、もうアホくさいとしかいいようがありません。
コメントありがとうございます。
独立狙撃旅団は、朝鮮ものとして見るだけでなくソ連が周辺の諸民族の反ファシスト勢(要するにレジスタンスのようなもの)を組織していった学習の上に出来ているので、かなりしっかりした編成と言っていいと思われます。
ということは、一体全体そこにどうやって日本びいきを入り込ませるような余地があったというのか?やったとしても、日本陸軍が中国でさんざんやったように裏切者を探して手下にする、みたいな気分ではこの局面では務まらないでしょう。
当時の人の立場になって想像してみれば明らかではないでしょうかね。当時の日本からの独立を願う朝鮮人にしてみたら、大物の兄貴分が背中についた。欧州で勝ち切ったにいちゃんたちが。
対して日本のこの先は日本人にもわかってない。せいぜいいって少なからぬ人たちがアメリカが強そう、ぐらいは思ったかもしれませんが、当時の東アジアの人たちにそんなにアメリカ憧憬があったようには思えません(そもそも朝鮮独立派は共産主義にシンパシーを感じた人を含むわけですし)。
したがって、日本の中にある北朝鮮は日本が作ったみたいな言説は一体何を言っているんだろう?と不思議です。