田中宇さんの記事。
対米協調を画策したのに対露協調させられるイラン
https://tanakanews.com/150721iran.htm
面白かったです。
面白かったけど、日本の記事だけ見ている人には何がなんだかさっぱりわからない記事だろうなぁとかも思った。僭越な言い方ですが。
でもって、後半の「対露協調させられる」は、見ればわかる通りって感じなんだけど、前半の「対米協調を画策したのに」は理解のための仮説。
90年代のクリントン政権がイランとの関係改善を模索したが(米政界の親イスラエル派の反対により)実現しなかった。この失敗を受け、97-98年ごろにイラン側が考えたのが「ウラン濃縮を急拡大し、米国にイランが核兵器開発しているという疑念を抱かせ、米国を交渉の場に引っ張り出す」という策略だった。
というここが仮説。
あり得るかもなぁとは一応思う。でも、最初からそこまで考えていなくても、アメリカ国内のイスラエル派がおバカな騒ぎをしはじめたところから、ではそれを逆手に取ろうと考えた人がいても不思議ではないと私も思う。
で、問題は、田中氏が最後の2パラグラフで指摘しているこの状況。
ロシアは今や、イランを好きなように自陣営に引っぱり込めるようになった。しかしロシア(露中)は、イランを上海協力機構に入れることを延期した。(中略)
上海機構(中露)がイランをすぐに入れない理由として考えられるのは、同機構への印パの加盟が印パの和解を前提としていたように、イランの加盟がイランと敵対諸国との(ある程度の)和解を前提としているのでないかということだ。(太字、私)
そうなんですよ。そこなんですよ。
イランの敵対国といえば、サウジアラビアとイスラエルだ。イスラエルがイランと和解できるものなのか、大きな疑問があるが、イランとサウジの和解は、入り口までなら今年中に進めるかもしれない。軍事外交のシステムが米国べったりのサウジが、米国勢(軍産イスラエル)から「足抜け」を許されるのかも疑問だが、サウジはすでに最近、米国のロシア敵視を無視して、ロシアに急接近している。今後の展開が注目される。
つまり、最近誰もいわなくなったパレスチナ和平交渉なるものがここにステークとしてあるんだろうな、と思う。しかし20年ほど前より状況は悪化したので、この交渉はもっと大きな意味を持った、というところか。
思えば、クリントン政権がもしもっと信念のあるちゃんとした政権だったら、アメリカは今よりももっとずっと尊敬される国だっただろうになぁと思わずにはいられない。まさかこんなに嫌われる国になるなんてアメリカ人だって夢想だにしてなかっただろう。私だってそう。信じられない。
それはともかく、ということは、そこに行く前にトルコをなんとか柔軟派の方にひっぱらないとならない、となるんじゃないのかなと想像。
■ イラン交渉妥結に対する米国の支持
The American Conservative(TAC)につい昨日のっていた世論調査。水色が支持。民主党では8割の支持。そして、むしろ注目なのは、イスラエルの党となってしまっていると嘆かれている共和党だが、共和党支持者でも約4割が今回の交渉妥結を支持している。(cf:共和党はどうやってイスラエルの党になったのか)
この感じからすればオバマは強気でいけますね。
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