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ウクライナ動乱2014 その3

2014-03-02 22:19:29 | 欧州情勢複雑怪奇

ウクライナ情勢が緊張が高まっている。といっても、基本的にはここで軍が動こうが英米メディアが狂ったように、プーチンがぁ、ロシアの熊がぁと騒ごうが根本は変わらないと思う。

ウクライナのキエフ政府は、クーデターで臨時政府を作って、そこがあっという間にEUの保護下みたいな位置に入って、IMFはすぐに支援の枠組みを作ります、と言い出した。とはいえ、これでウクライナの財政問題、将来の見通しが明るくなったわけではない。

一方、ロシアは、自分の支援していた側の候補がクーデータで倒され、しかもEUとアメリカが組んでウクライナをだまし討ち的にNATOに入れようと企んでいる可能性は大なので、軍を動かして絶対反対の立場を現実化させた。。

最悪クリミアを失うことだけは絶対阻止なので、まず速攻でクリミアを抑えにかかった。といったって別にそんなことをしなくても実はクリミアはずっと親ロシアだし、軍もロシア軍とウクライナ軍が対峙していますとか西側メディアは描くけど、それは多分ちょっと大げさでしょう。(ただ、ウクライナは兵器開発に関してソ連を継いでいるので万が一にも接収されたくない施設があったりするのかな、とちょっと疑ってる)

まず、海軍はそもそもロシア軍に対抗できるようなものでは全然ない。陸上は、おそらく、ウクライナの暫定政権側は軍を掌握しきれていないのではないのか・・・と考えていい様子が垣間見える。内務省軍は完全にウクライナの敵になってロシアに行ってしまって、ロシアはもちろん引き受けた。

クーデータが正規軍を敵にまわしているんじゃないのかなと私は思うんだな・・・。だって、主力となった民兵のような人たちは西ウクライナの過激派で、一方、ウクライナ兵の多くはたとえ自分がウクライナ人だと認識していても、それが直ちにロシア系であること(Russian heritageとかいう)を否定する意味ではないという人が大半だと思う。だから、ガリチアの反ロシア過激派と共鳴するってはちょっと・・・と思う。

クリミア以外には、ウクライナ居住のロシア系住民の安定のために、俺らが後ろにいるぜ、というアクションを起こす必要があったというのも本当でしょう(この地域にはいまだかつて9条はないので、関係者全員、日本との比較でいえば頭が熱くなる人たちで、その中でいうならロシアから来てるロシア人が一番統率がとれる人たちではなかろうか?)

こういう状況なので、ウクライナ暫定政権とは、西側のメディアによってあたかもしっかりとした統一政府のような感じに描かれているが、実は砂上の楼閣状態といって過言ではないのでは?

しかも、ウクライナはNATO軍じゃないから米英もその他の国も参戦の義務はないし、ロシア出ていけとか言ってる最中に米軍が登場しました、では洒落になってない。

■ロシアの目標

というわけで、ロシアとしてはいわゆる暫定政権の正統性を争い続けて、その中で、

・クリミアの安定確保(絶対条件)
・暫定政権の正統性は確保されていない
・5月に予定されている大統領選挙までに、たくさんのことを決めるな

との主張を飲ませて、5月の選挙で勝つことを目標にしているのではないかと想像する。

で、今、報道がエスカレートしてるけど、後ろでは地道に話を詰めてるんでしょう。落としどころは、ロシアは、ぱっと見とは違って、多分ウクライナ全体を欧州が引き受ける、それはいいんだと思う。ただ、その際に、ロシアとの交易を制限しろ、みたいな条項を入れるな、NATO問題から切れ、ウクライナで外国政府(アメリカとかジョージ・ソロスとか)が過剰に介入するのはやめてくれ、といったあたりが必須条件なんじゃないかと思う。
一気に全ウクライナを侵略したいとかそういうアホなことは考えてないでしょう。西側メディアが喜んで、いったんウクライナを手放したら、次はポーランドだ、バルト3国だとか騒いでいるが、そんなことをして何になるの?でしょ。

プーチンを建ててロシアが何のために頑張ってるって、ロシアの産業を活性化して、資源頼みの経済から脱却することだと思う。そのへんはドイツが理解しているように見える(少なくとも、だからこそバルト海にパイプラインまで敷いて協力体制にしてるんでしょう)。

しかし、そうなったらそうなったで大きくて強いロシアになるのもなんだな・・・でも、大きくて強いロシアがあったらアメリカの介入も減るからそれもいいのかな・・・と、実はドイツの意向がなかなか重要なんだろうと思う。

■暫定政権の正統性

さて、西側諸国は、もうすっかりその暫定政権が正統なウクライナの政府ですと認めてしまっている。

が、しかし、暴力を使った政変を認めていいのか否かというのは実は問題でしょう。これにOKを出したら、今後、ウクライナでは良かったのに云々という国が出てくるだろうし、これにOKを出したらロシアが、来年同じことをするかもしれない。やれるだけのロシア系住民がいるわけだし。

西側も一枚岩ではなくて、EUはドイツ、ポーランド、イギリス以外はあんまり興味なさそう。

適当に、ええほんとにロシアは悪いですとはいうだろうが、本音では、なんでこんな極端なことを仕出したんだ、どこなの仕掛けは、え?アメリカ。もういい加減にしてほしいわ、クリミアを賭けて戦争する気なんかあるわけないでしょ!! だと思う。

戦争っぽい局面では騒ぐけど、お金を出せとか兵隊を出せと言われたら急に帰りたくなるのがヨーロッパ。

さらにさらに、その、「え、アメリカ?」の部分が、おそらくウソでもないってのが問題でしょう。そもそも、このクーデーターまがいの政変劇が起こる前から、国務省のヴィクトリア・ヌランドというおばさんがウクライナに仕掛けているという話が出回っていた。
さっそく、ヴォイス・オブ・ロシアが記事にしている。「ヴォイス・オブ・ロシア」だからロシア側のプロパガンダ?と思いたいところだけど、この話はむしろアメリカ保守派が2月上旬から問題にしている話。

動画投稿サイト「ユーチューブ」には、米国のヴィクトリア・ヌーランド国務長官補とジェフ・パイエト駐ウクライナ大使の電話会話が投稿され、ロシアとウクライナには不満が、EUには混乱が巻き起こっている。
http://japanese.ruvr.ru/2014_02_07/128416921/

さらに、アメリカの軍産業のためには何をやってもいいと考えているらしいジョン・マケインとか、ケリーとかが昨年末あたり、ウクライナのデモ隊を激励し、その中では今回暴力沙汰に及ぶにあたって活躍した過激派グループと会っている写真らしいものがネット上に散らばっている。

■アメリカとEU

上のような経緯から、ロシアは今回の政変を外国勢力の介入が原因だと考えているというのはロシア政府が早くから言及している。

しかしいつもの通り、これだけだと西側メディアが大問題にしない限りあまり注目されない。

が、昨日だったかイギリスの元駐露大使が英メディアとのインタビューがちょっと色調が違っていた。

Russia sees this as a result of Western meddling, and doesn't think that the West is acting fairly.
It's not helpful that the leading US diplomat was seen on the Maidan handing out cookies to protesters.
What they (the Russians) want are assurances their interests will be protected.

・ロシアは、今回のことを西側の介入の結果だとみており、西側の行動は公正でないと思っている。
・Maidan(キエフにある問題となった広場)で米国の主要な外交官が、デモ参加者にクッキーを配っているのが目撃されているのもためにならない。
ロシアが求めているのは、自国の利益が保護されるという確証

http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/europe/ukraine/10669670/Ukraine-live.html

穏便な言い方をしているが、米国の外交官がキエフの騒ぎの最中にいたという言及は、おそらく今まで西側の代表的なところからは出ていなかったのでは?(報道的にはきっと「親ソ」扱いされておしまいになるんだろうが)

と、前にも書いた通り、基本的にEU諸国はウクライナを全面的にロシアから離すような作戦に対しては反対で、NATOなんて冗談じゃないというスタンスだと思う。

が、しかし、一部に何か冒険的に人々がいる。ジョージ・ソロスがその資金源だという人もいれば、ネオコンがらみだという人々もいる。誰だかわらからないが、とにかくいる。そしてその人たちに各国政府が引きづられる、と。今回は、思いがけず大事になっているけど、結局ドラスチックなことにはならないだろうと私は思う。ヨーロッパだし。

■■追記

ウクライナ海軍の総司令、ロシアに寝返りました。

ロシア・メディアによると、ウクライナ海軍のベレゾフスキー総司令官が2日寝返り、親ロシア派の
 クリミア自治共和国に忠誠を誓った。総司令官は1日に新政権のトゥルチノフ大統領代行から
 任命されたばかりだった。
 これより先、クリミア半島南部セバストポリの海軍参謀本部前にロシアの特殊部隊が到着したとされる。
 http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2014030300020

思った通りですねぇ。特に海軍は大きさから行ってもロシアに叶うわけもないし、それとやっぱり軍人はロシア系としての意地が絶対あると思ってる。陸でも投降があると伝えられている。

Russian Heritageをさりげなく思い出させることが今回のロシア政府側の何か仕掛けなんじゃないかって気がしてる。

heritageは遺産、継承しているもの。精神でもモノでもいい。まぁ、ロシア系としての誇りとでもいうべきか。で、このRussian heritageはロシア系もウクライナ系も大まかにいえば共有なわけですね。キエフルーシこそ古いわけだし。

だから、民族の歴史が詰まった、はるか遠くのトルコとの戦い、つい70年ぐらい前のドイツとの戦いがあるセバストーポリはそれこそ死守すべきもの。だから、ここを西欧側がネタにして、ロシア人がクリミアに侵略だぁとか騒いでいるのは、逆にロシア系の心を締めてきてると思う。

そもそもソビエトの解体の仕方が悪いからこんなことになっているだけで、ロシア人の誰もここをウクライナにして、NATO軍の軍港にしてもいいなんて思ってないでしょう。


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