昨日、米ロのモスクワ会談を見ながら、こんなことを書いた。
しかし手はない。ってことで、「シリアの運命はシリア人が決めるべき」だと、そりゃ自由と民主主義のアメリカは常にそうしてきた、みたいなことをあたかもずっとそうであったかのようにオバマが高いところから演説する、ってなのはどうでしょう?
その上で、なんかしよう、と。
シリア:米露会談、国連決議案作成へ
つまり、アメリカ政府は現行の国際秩序を破壊するという選択をしないだろう、ってことですね。
アメリカはイラクを侵略した上にリビア、シリアの国家主権を認めない振舞いをずっとやっている。そこをメディアが突っ込まないからあたかもなかったかのようなことになってるけど、地上の事実は違う。
で、ふとzero hedgeを見てたら昨日、バイデン副大統領がさり気なく重要なことを言っていた模様。
問題となったのは、トルコのイラク北部への侵入の問題。前に書いた通りイラク政府はそれをトルコの侵略だといって怒っており、国連に問題をあげるぞ、とも言っていた。それにについて昨日イラク首相とバイデン副大統領が会談して(電話か?)、トルコは兵を引くべきと語ったようだ。
ホワイトハウスにあった発表文によれば、その上でまとめの一言っぽいのはここらへんか。
副大統領は、イラクの主権と領土的一体性保持についての米国の約束を再確認し、トルコにも、イラク政府による承認を得ていない軍をイラク領土から撤退することを通して同様の行動を求めた。
The Vice President reaffirmed the United States' commitment to Iraqi sovereignty and territorial integrity and called on Turkey to do the same by withdrawing any military forces from Iraqi territory that have not been authorized by the Iraqi government.
簡単にいえば、トルコはイラクから撤兵しろとバイデンが言った、と。
まぁその、だったらあんたのシリアでの行動はどうなるんだい、なわけだけど、ケリーはモスクワで、「アサドは退陣すべき………………将来」という形を作ってきてることを考えあわせるに、現在のオバマ政権は一応みっともない、成り行き任せの侵略行動を整理していると見ていいのではないのだろうか。
まぁ、そうするとトルコは悪者になるしかないわなぁ~って感じだよね。
さらに、トルコのインジルリク空軍基地に11月初旬から派遣していたF-15戦闘機12機を所定のところ(イギリス)に戻すと国防省が水曜日に発表。
F-15s deployed in Turkey return to Lakenheath
http://www.stripes.com/news/f-15s-deployed-in-turkey-return-to-lakenheath-1.384420
これは何を意味するんでしょうかね。
ロシア機撃墜は実はトルコのエルドアンの頭が沸騰したからではなかった可能性は大だね、という気は最初からするけど今もする。ただ、その理由は、ロシアとの大戦を望んでいる派の所業という説と、ロシア軍の装備および即応体制を見るためにやったんじゃないかと、両方の説があるようだ。
いずれにしてもトルコは貧乏くじを引いたな、という感じ。
そして、私の理解では、アメリカのとりわけ軍に関する信頼は猛烈に低下したなと思ってる。どこで? ロシアじゃなくて欧州とアメリカで。
そして、もしロシア機撃墜に関してアメリカ政府または軍の関与が見えていたのだとしたら、ロシア政府はトルコを悪者にすることで実はアメリカ政府または軍を救ってるともいえる。(もちろん長期的にはそうでないが)
なんのために? 秩序維持のために、じゃないんすかね。全面戦争する構図にならないよう考えて動いている、ということ。
帝国以後 〔アメリカ・システムの崩壊〕 | |
石崎 晴己 | |
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