プーチン大統領と金委員長がウラジオストックで会談を行った。
その時の会談の冒頭でプーチンと金ちゃんが1往復挨拶を交わしたところの動画をRTが出していたので見た。
Putin meets Kim Jong-un during summit in Vladivostok
プーチンは、まず金委員長の新しい立場(北朝鮮の組織変更によるもの)におめでとうをいい、その時も祝意のメッセージを送ったがこうして顔をあわせてもう一度言えてうれしい、と切り出し、次のように続けた。
私たちの国が外交的関係を樹立して今年で70年になります。朝鮮民主主義人民共和国の創立者が1949年にモスクワを訪れました。
また、私は自分があなたの国を訪ねた時のことも思い出します。
あなたのお父さんは、あなたと私の国との間の友好条約の締結を率いた人たちの一人でした。この条約が根本の文書です。私は、今日のロシア訪問が両国間の今後の関係を助け、朝鮮半島の決着(settlement)をもたらす方法について、私たちが今日希望しているポジティブなプロセスを促進するために、私たちが一緒に何をできるか、ロシアが何をできるかについてよりよく理解できるようになると確信しています。
In this connection, let me note that last year we marked 70 years since the establishment of diplomatic relations between our countries. The founder of the Democratic People’s Republic of Korea paid his first visit to Moscow in 1949. I also remember my visit to your country.
Your father was among those who spearheaded the signing of the Treaty of Friendship between our countries, which is a fundamental instrument. I have no doubt that today’s visit to Russia will help further develop bilateral relations and help us better understand ways of bringing about a settlement on the Korean Peninsula, what we can do together, and what Russia can do to facilitate the positive processes that we are witnessing today.
http://en.kremlin.ru/events/president/transcripts/60366
プーチンはこの短い文章を様々なことを思い起こすように、非常に重いこととして語っているのが印象的。金正恩の方も、非常に集中して聞いている。2人とも軽くない。
朝鮮の独立の展開を知ればそれは当然だろうと思った。私にとっては両方とも他人のnationの話ではあるが、この問題を本来ならば一番よく知るものとして語っていても不思議でない、いやそうするべきであろう日本に生まれたものとして正直、胸が詰まるような思いがした。私たちは軽い。
で、テクニカルには2つ気が付く。
1つは、1949年の金日成、2000年の金正日がいて、そして2019年に金正恩がいると言っている。これは何らかの展開を予期させるものではあるまいか。
2つめは、a settlement on the Korean Peninsula
settlementは、移住していって定着する、落ち着く、みたいなことで、合意、安定、といった語でも訳されるが、やっぱりニュアンスとしては動いていたものが決着するということだと思うな。そこから、支払の決済、清算もsettlement。
この語を使って来たということは、1と兼ね合わせて考えると、朝鮮半島の独立問題のようなパースペクティブさえ示唆されていると思う。まさしくこんな話。
朝鮮の解放と朝鮮戦争レジーム
第2次大戦の結果を認められない唯一の国
もあったわけだし。
ということで、今後が楽しみなような、怖いようなといったところ。
■ BBCの記事
この件についてのBBCの日本語訳はこんな感じ。
会談の前に両首脳は両国の長い歴史的なつながりに言及し、プーチン大統領は朝鮮半島情勢の沈静化を支援したいと語った。
また金委員長に対し、「きょうのロシア訪問で、私たちが北朝鮮の現状をどのように解決し、現在の前向きなプロセスをロシアがどのように支援できるか、互いに理解できると確信している」と述べた。
つまり、歴史的パースペクティブを一切無視した記事にしてる。
BBCの英語版はそもそもトークの中身に立ち入ってないような感じで、いろいろゴタゴタの情報がいっぱい詰まった特集記事みたいな長い記事の中では、
How close are Russia and North Korea? (ロシアと北朝鮮はどのぐらい近しいのか?)
とあって、冷戦中に北朝鮮はソビエトのとイデオロギー的、戦略的理由から近しかった、という書き方から始まっている。
https://www.bbc.com/news/world-asia-48047279
■ ソ連に負けた話をしたくない
いやぁ、発見ですね、これは。
つまり、朝鮮半島独立とは、ソ連が日本を掻き出したから達成できたのだというのを語りたくないのは日本だけではなく、これって西側の深いところの総意ってことですか?って感じ。
このへんでほじくった話。
東西挟み撃ち体制が見たくなかったらしい
関特演と1945年ソ連満洲侵攻作戦
これはまぁしかし、西側としては当然かもしれないですね。なんでかというと、日本を米に、あるいは英米にだけ負けたことにしてソ連は見せないことにする、ってのは1945年の敗戦時から採られている方針だろうなと見えるから。
日本を独占的に支配して、中国、ロシアと対立させておくためには、それ以前にどうなっていたのかなどなかったことにしたかったでしょう。
そもそも、イギリス自体が、欧州戦線でのソ連の活躍に比べたら脇役で対ドイツ戦に勝ったようなものなのに、あたかも自分が主役だったようなものすごいプロパガンダを主流として成り立ってる国ですから。
ということで、西側(の人々ではなくて、戦略本部みたいなところ)がロシア、殊にプーチンを嫌う理由は、ゼニカネだけじゃないなと改めて思う今日だわ。それは、ロシアという存在そのものが様々な西側の嘘やトリックを暴いてしまうということがとても大きいものだからだと思う。
今年も5月9日が楽しみだ! (すっかりパレードマニアになってる私)
ソビエト軍の朝鮮人部隊だ。
彼らが何をしてきたのか何であったのかそして何よりも
沿海州に住んでいた多くの朝鮮人がどういう経路で
中央アジアに移されて今再び沿海州に戻って生活するようになってきたかという経緯をプーチンは話せる政治家だ。
ここが北とロシアの関係、朝鮮とロシアの関係の基本だね。
プーチンと金さんの会談がウラジオストックで開催されたこと、中央アジアの朝鮮系住民の心情は如何に。
カザフのヒーロー、デニステンに合掌。