習近平主席が明日から北朝鮮を公式訪問するそうだ。
それに先立って今日は北朝鮮の労働新聞に習さんが寄稿した。
北朝鮮に対話継続促す 習近平氏、労働新聞に寄稿
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46284910Z10C19A6EAF000/
【ソウル=恩地洋介】19日の北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は、20日から訪朝する中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席による寄稿を掲載した。中朝の国交樹立70周年を契機とした関係強化を訴え、米朝の非核化交渉を念頭に「朝鮮半島問題と関連する対話と交渉の進展を共に推進し、地域の平和と安定に積極貢献する」と強調した。
北朝鮮メディアに中国の最高指導者が寄稿するは異例だ。習氏は「金正恩(キム・ジョンウン)委員長の招待を受け、間もなく朝鮮民主主義人民共和国を訪問する」と表明した。
日経は、北朝鮮に対話継続促す、と言ってるけど、北朝鮮側は対話の用意のある側で、すべての対話をぶっちぎって、軍事、軍事、軍事と騒いでいるのは西側の方ね。このビッグピクチャーを忘れないように。
新華社が英語で書いてる記事を読むに、国交樹立70周年を機に、
「我々は戦略的コミュニケーションを強化し、交流と相互の学習を促進し、伝統的な我々の有効関係に新しい意味(合意)を与える」といい、
交流のレベルが高いという良き伝統を実行して、二国間のさらなる発展のためにマスタープランを作成する
といったことを言った模様。
Xi said "we need to strengthen strategic communication and promote exchanges and mutual learning, to endow our traditional friendship with new connotation." He calls on the two sides to carry on their good tradition of high-level exchanges and devise master plans for further developing bilateral ties.
http://www.xinhuanet.com/english/2019-06/19/c_138155523.htm
これはつまり、胡錦濤が2005年に訪問して、その後、2005年に北朝鮮問題が暗礁に乗り上げた(プーチンは、誰かが余計なことを言い出してこうなった、と再々指摘している)時以来、最低限の支援はするが開発プランまではいかなかった状態をあらためて、開発モードに行きましょうという宣言ではなかろうか。
つまり、前からプーチンがこのあたりの開発をして共に繁栄をしましょうといってるプラン設計と同期ですね。まぁ当然でしょうが。
ということで、プラクティカルにいえば、中国勢が開発に乗り出すオッズが高まったという話でしょう。
前に、ウラジオストックの経済開発フォーラムに出てきていた中国人の億万長者の人が、我々中国人は利益があるとなったらどこにでも行く人がいっぱいいるわけだけど(笑)、北朝鮮側にはみんな手を引いている、戦争になる可能性があるんじゃないかと思って怖がってるんですよ、どうですかね、とプーチンに話を向けていたことがあった。プーチンは、なんだったか面白いことを言って、結論として、投資して、投資、と言って笑わせていた。
■ ロシア、韓国
他方で、ロシアは韓国と正式に自由貿易地域(free trade zone)に関する話し合いを正式に開始することに合意したとあった。去年、やりましょう、まで合意していたので、具体化ということでしょうか。
Russia, South Korea to formally start free trade zone talks, says Lavrov
https://tass.com/economy/1064214
MOSCOW, June 17. /TASS/. Moscow and Seoul officially agreed to start talks on the free trade zone agreement between the two countries, Russian Foreign Minister Sergey Lavrov said on Monday at the meeting with Foreign Minister of South Korea Kang Kyung-wha.
また、中国&ロシアは朝鮮半島問題に関する新しい計画を策定してます、という発表もしていた。
Moscow, Beijing develop new initiative on Korean Peninsula
https://tass.com/politics/1063974
MOSCOW, June 15. /TASS/. Russian Foreign Minister Sergey Lavrov and his South Korean counterpart Kang Kyung-wha will discuss a new Russian-Chinese initiative to resolve the situation on the Korean Peninsula at their meeting on June 17, the Russian Foreign Ministry said in a statement on Saturday.
つまり、2017年に発表されたロードマップは、4月にプーチンが北の金さんと会ったところで一回り終わったということではなかろうか。で、この会談を受けて、環球時報が、成果はあった、中国はハッピーよと書いていたことが思い起こされる。
プーチン・金会談から一夜明けて
つまり、この2人が並んで宣言した「二重のフリーズ」時代は、「中国はハッピーよ」という言葉の通りだいたいOKで終わった、と。
また、ロシア&北朝鮮で、豆満江に橋をかけようとしているらしい。昔日本もかけてましたね、そういえば。
Russia, North Korea plan first road bridge
http://www.globalconstructionreview.com/news/russia-north-korea-plan-first-road-bridge/
友好だからなのか、ベトナムが北に食糧を援助していた。
Vietnam Donates Food to DPRK
Pyongyang, June 13 (KCNA) -- Food donated by the government of the Socialist Republic of Vietnam to the Democratic People's Republic of Korea arrived in Nampho Port on Thursday.
キーワードは友好でしょうか。中国、ロシアが先に手を結んで、そこの安定を見て伝統的に周辺である国々が安心して友好の橋を架けだす、といった流れにみえる。
実際問題、中露(ソ)が決裂したのはフルシチョフからですよね。北の創業者もこの点では毛沢東の中国と大枠では同じ。
そして、再度ぐじゃぐじゃになったのはゴルバチョフの時代。
だから、ロシアが「文明的選択」をして、欧州側、すなわちアトランティスト(大西洋主義者)の側に著しく傾いていく傾向を止めた今日、ユーラシアは安心して団結できる、と言えるかもしれないですね。
スプートニクの編集のバビーチというおじちゃんがついこの間、オバマ時代にあれだけのことをやられなかったら中露のここまでの協力関係にロシアは乗り出せなかった、と結構意味深なことを言っていた。
これは本音でしょう。ロシア(ソ連)から見た時には、冷戦期の中国は裏切ったと思ってても不思議ではない。でも、ここを25、6年かけて解いていって、最後にオバマがプッシュしたみたいな恰好だと思うな。このへんは後で整理しようと思うけど、実に重要だったのは、多分、江沢民だったのではなかろうか。江沢民、プリマコフの時代があって、その上に習&プーチンの時代があるということではなかと私は見てますですね。
そしてこういう時代が来た、と。
この写真、ユーラシアは大丈夫だよ、のアイコンにしようかな。
箱の中身はロシア産の棒アイスぎっしりというのがかわいい(習近平がロシアのアイスはうまい、クリームがいいんだな、僕は大好きと言ったのがきっかけ)。
■ オマケ
6月12日は「ロシアの日」だったんだけど、その際に北の金ちゃんがプーちゃんに宛てた手紙が朝鮮中央通信社のサイトに載ってた。
June 12. 2019 Juche 108
http://www.kcna.co.jp/index-e.htm
一部を訳してみると
今日、強くて勤勉なロシアの人々はあなたの精力的なリーダーシップの下で勇敢にもあらゆる挑戦的課題と困難を克服しつつ、パワフルで、かつ繁栄したロシアを築くための闘いにおいて大きな成功を収めています。
ロシア連邦の美しい港町ウラジオストクで4月に行われた私とあなたの間の最初の会合は、私たちの間に誠実で親密な関係を作り上げ、もって、変化する国際情勢とそうした時代が求める朝鮮民主主義人民共和国とロシア連邦との間の新しい歴史を開くこととなる、大きく、重要な機会となりました。
良い手紙よ。
そして、上で書いた中国はハッピーよ、というのと同じ線ですね。あの会談は前に向いてた。