昨日は熱海で土石流災害が発生。恐ろしい映像だった。
とはいえ、それを巡って、上流のソーラーパネルが問題なのだという意見がネット上で大暴れとなり、何か違和感を持った。
結論から言えば、そもそもこの土地は、土石流堆であると国土地理院発行の地図でも指定され、自治体のハザードマップにもそう示されているところで、まさにその土石流によってできた土地でホントに土石流が発生したということらしい。
(真ん中へんの黄色いところが、土石流堆)
もちろん、トリガーとして、流入雨量の上昇にソーラーパネル地域の開発が関係ない、とまでは言わないけど、それも含めて上流一体の土地開発が進められていたことが問題だったという話に落ち着くのではないのだろうか、といった感じ。
ちなみに、土石流が生じる場合に流路となるであろう川が、逢初川(あいぞめがわ)だったというのが、私にとって昨日最も印象に残った。逢初川は、頼朝ファンなら知ってる人多いんじゃないのか、という川。北条政子と出会ったのがここですという橋もある。
しかし、川といっても小川未満みたいな流水路で、これまでは、伊豆山権現に足を運んでみて、帰りに(とても小さい)橋のところで写真撮っちゃうみたいな、レトロな感じがいっぱいの熱海の、知る人とぞ知る小さなスポットでしかなかったと思う。
だがしかし、それが過去幾度も土石流をもたらし、もってこの地の形成に大きくかかわっていた川だったとは、というのが私としては驚きでした。
多分、中世から近世を通じて、伊豆権現関係者、および動乱のたびに重要となるこの地における諸々の関係者にとっては、そんなことより、この地の利の方がずっと重要だったんだろうなと思った。付近に今みたいに沢山の住宅を建てなけば大した問題じゃないわけだし、どこ掘っても水に困らなかったのではないのかという土地柄は近代以前の人にとっては好都合なもの。
■ 詳しい人たちが登場
で、昨日のネット上の話の推移では、早々に出てきたメガソーラー騒ぎの中で、いやそこではないところが土石流発生ポイントであるようだ、という動画が早々にアップされていたことが、情報戦ミニ・バトルの流れを決していった重要な出来事だった気がする。
この動画。
崩れたのはソーラーパネルの設置位置とは、数百メートルずれていて、県外から複数年に渡って運び込まれている産廃土砂が原因のように思われます。写真に写っているダンプカーたちが県外からの産廃業者です。
— Keiko Otara (@keikootara) July 3, 2021
こちらが土石流のあった上流の現在の状況です。(現地民より) pic.twitter.com/PfVHWSroUd
その後、夕方になって、朝日新聞がヘリ飛ばして取った映像が、上記の地点と多分同じだろうということになった。
源頭部滑落崖 たぶんこれ。
— s.堀越 / (@shosho_1955) July 3, 2021
左GOOGLE、右朝日新聞空撮 pic.twitter.com/fI0HzyYysr
そして、地理に詳しい人たちは最終的に現地地盤の問題を指摘。
熱海で土石流が発生した場所を地理院地図の土地条件図で見たところ、ちょうど土石流堆のところだった。 pic.twitter.com/H1SCBzJBrt
— ひろみ (@hiromi_tr) July 3, 2021
私も国土地理院のサイトでこの土地条件の図を見た。なるほどなぁでした。
さらに、結局のところ現地の地盤はこんな感じであるらしい。見えにくいけど、黄色の線が逢初川。
■ 雑感1
ネトウヨって、どこが司令塔なのかしらないけど、いやマジで、全然主体性のない、マジものの政治的工作員なんだなとしみじみ思った。
今回の動機としては、ネトウヨはソーラー被害→民主党が悪いを引っ張って、そこから、再生エネルギーではダメだ原発だ、という構えなのだろうとは思うけど、あと、川勝を殴ってリニアにつなげたい、という人もいるっぽかった。
JR東海の葛西氏がなんせネトウヨの親方みたいな主張を持っていると言われている人だということを思い起こせば、無理もないのかもしれない。
ちなみに、私は山の中にソーラーパネルを設置するのは、多くの場合とても危険だと思ってるので、そっちを真面目に取り上げてもらいたいと思ってる。だから、むしろこういうネトウヨの騒ぎは迷惑。
■ 雑感2
私がこのニュースの追い方で気になったのは、熱海の雨量を同じ熱海市の網代のそれで語ってること。
位置的に、総体としての箱根の山の裾の方でその間一度も途切れず低い山がだらだら続いているところなのだから、箱根のてっぺん付近の大雨の方が熱海市の土地によほど影響するのではなかろうか。言うまでもなく水は高い方から低い方に移動するんだし、分水嶺で区切られたとしても尚、他の斜面の水は別の水路を持つだろうと思う。
つまり、網代の48時間降水量が400ミリの時、芦ノ湖がその倍ぐらい降ってた、そっちからの影響を参照すべきでしょ?ということ。
どうしてそうならないかというと、日本には、自然を行政区分ごとに管理しようとする奇妙な慣習が存在しているからだと思う。自然災害だっていうのに、何市ではこう、何県ではこうという言い方で話をまとめようとするし、概ね都道府県単位で存在するメディアなどは、明らかに同じ影響を受けている隣県の分を表示しない、といった慣習で生きてる。こういうの、おかしいから止めたらいいと思うんだけど、むしろ悪化している気がする。
ちなみに、箱根町、湯河原町は神奈川県、熱海市は静岡県。
ここらへんのエリアを、県ごとに、あるいは、あろうことか関東と中部に分けて考えたりするのはとても不便。
(twitterで拾った画像なので地点Aは無視してください。この地図を作成された方、巡り合えるとも思えませんが^^; お借りしてます。)
■ 雑感3
こうなっていることはずっとみんな知ってるわけだけど、実のところ、なにかこう、不安定な場所を日本の幹線は通ってる。
朝日の素晴らしい写真。リアル。
敬意を表してキャプション込みでキャプチャしてみた。
なんとなく、箱根外輪山の外側を通る御殿場線でよかったんじゃないのかと言いたくなるものはある。そもそも、なんでああまでして丹那トンネルを作りたがったのだろうかと、むしろそっちが不思議になる。
平らなところをダーーーっと走る満鉄みたいなものが欲しかったってことなんだろうか? そして同じように、今度はリニアを求めている、みたいな感じ?
箱根をリゾート化してそこに別荘を建てようと思うから、周辺の傾斜地を開発しようという発想になる。これは金がありすぎるから起こること。
山肌削ってメガソーラー推進する事に私も反対でその課題がぼやけても困るので、熱海が落ち着いたら問題を切り分けてこちらも関心もたれるようになればと思いました。メディアは深刻な問題をぼかす事が多いので