そういえば、数日前、これは是非書いておかねばと思ったニュースがあった。
2016年9月は、本当にいろんなことがあった月でしたが、そこで日本の森永卓郎氏は、このようなことを言っていた。
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 北方領土返還の好機
http://wjn.jp/article/detail/0427775/
週刊実話 2016年9月29日号
昨年、ロシア中央銀行が発表した見通しによると、ロシアの予備基金および国民福祉基金は、2019年にも底をつくとみられている。原油安が、ロシア経済を破壊しようとしているのだ。
他者の破綻願望:ロシア編を評価してみる
来年ですよ!!
ところが、ロシアの財政は2011年以来の黒字となる見込みだそうだ。
Russia Deploys Exotic New Weapon: A "Budget Surplus"
https://www.zerohedge.com/news/2018-05-14/russia-deploys-exotic-new-weapon-budget-surplus
ゼロヘッジのタイトルが面白い。「ロシア、エキゾチックな新型兵器を配備:財政黒字」
先進国の多くはもう財政黒字とか、見える限りの将来においてあり得ない事態ですからね。エキゾチックと言いたくもなるでしょう。
で、ロシアの財政は、黒字でなかった過去数年でも、赤字額は他の先進国に比べたらなんでもないような額で、国債発行残高も、返す気になれば返せちゃうような水準だった。森永の記事にもあるように、そもそも、赤字になる時の予備金があって、そこから補てんしているぐらいで、これって全体として赤字っていうんだろうかと疑問符がつく仕様だったりもする。
また、赤字だったここ数年間も準備金を積み立て、ゴールドを買い増していたのは有名な話。ロシア・ルーブルは石油と金の裏付けのある通貨なんだよね、マジで。
で、今回黒字になりそうなのは、予算を原油価格40ドルぐらいの見通しで組んでいるのに、今年に入ってからの原油価格は60ドル代を維持しているから。
経済は好調とは言えないと思うけど、成長率は2018年の見込みで1.7%(IMF)。原油収入につられてこれも上方修正されることになるんじゃないですかね、多分。
■ 2016年9月
と、それはいいとして、いやしかし、今考えてみると森永の言っていたのはつまり、彼は彼なりの「流れ」を知った上で言ったのではなかろうか?
つまり、森永の爆弾発言のあった時期は、まだシリアのアレッポが落ちていなくて、それはそれなりに、世界中のリベラルメディアがオバマと共にインチキを報じていられた時期だった。
このままロシアを金融から潰していけば、いつか財政破綻させられると思っていた人たちがいるってことなんでしょうね。まったく悪い人だわ、ほんと。
ついこの間、アメリカ人のブロガーの人が、イラン政策を批判しながら、米の強硬派は、一国の通貨を崩せば支配権を取れるとマジで思い込んでる、やめる気ないらしいと腹を立てていた。
2014年12月にはロシアに通貨危機を発生させたわけだし、実際それはそうでしょう。「彼ら」の最強の兵器は金融をがたつかせることですから。
で、この時はロシア政府の決断が果敢で、中央銀行とクドリン etc. はその政策に反対したが(それによって奴らは裏切者であることが暴露されたと一般に言われている)、最終的にはその政策が奏功し、かつ、チャイナが外貨をスワップしてくれたと考えられている。少なくともここが後ろにいることは何しろ大きかった。
でね。イランはこういう経験を持った人たちが支援するわけね。ということは、もう通貨崩せば経済が混乱し国民は根をあげる→政府を崩せる、というのは、妄想に過ぎない。
つか、ホントに腹が立つのは、一国の通貨をあえて意図して大きく売り崩すとは、その国民、それも立場の弱い人たちを苦しめよう、できれば餓死させようという発想なんだよね。だって、通貨を売り崩すってことは、外からのものを買いにくくなるわけで、インフレを人工的に作ろうとしているのと同義。そして、そうなれば立場の弱い人たちから順に医療品や食品が買えなくなる。
こういうことを知りながらやろうとする奴らがいたら、騒乱罪とか間接殺人で処罰するなりすべきだと思う。
いずれにしても、森永卓郎は何か言えよ、と言いたい。