歩くたんぽぽ

たんぽぽは根っこの太いたくましい花なんです。

絵を育てる

2012年12月03日 | 日記
唐突な思いつきだが、絵を描くことは子育てに似ている気がする。

最近自分が描いた絵が初めて売れた。
それは今までに経験したことの無い大事件。

「絵を描くのが本当に好きなんだね。」と言われることがよくある。
私も絵を描く度そう言ってきたし、そう言われるのには慣れている。
でもそれには違和感を感じることが多かった。
どちらかというと絵を描くのは子どものときからの癖。

ある時、自分の行動に規則性を見つけた。
私が絵を描きたいと思う時は、基本的に心や体の状態がよくない時なのだ。
悩んでいるときや、自暴自棄に陥っているとき、あるいは風邪をひいているときなど。
逆に元気なときほど絵を描く気にならない。

満たされない気持ちを埋めるように絵を描く。
だから出来上がった絵はどことなく表情が翳り、私を色濃く投影している。

それが少しずつ変わってきたのが最近のことである。
大学在学中に人に絵を描く機会が何回かあった。
それは驚くほど新鮮な体験であった。
自分の描いた絵が人の手に渡るというのはスリリングなことである。
他人に自分をさらけ出すも同然の行為といえよう。
そんな自分の分身を受け入れてくれる人がいる、
もっと言えば欲しいと言ってくれる人がいる。

こうやって人とつながることができるんだと、私を熱い気持ちにさせてくれたのだ。
内に向いていた矢印が初めて外に向いた瞬間だった。


今年の夏、サマーソニックのイベントの一環であるソニッカートに参加した。
それはライブペイントが主なテーマで、いろんな人たちがおのおの好き勝手に絵を描くのだ。
何も用意していなかった私は、大きな紙袋を破りキャンパスの代わりに。



今回売れたのはソニッカートのために事前に描いた絵。
その名も「音楽を食べる」。



この絵には思い入れがある。
なかなか納得がいかなくて途中で描くのを辞めようとしたが、出来上がったら結局一番好きな絵になった。
何よりも時間がかかった。

そんな絵を手放すというのは不思議なもので巣立つ子どもを見送るような気分なのだ。
もうその絵を生で見ることは無いに等しい。
そう思うとちょっとした寂しさなんかもあったりして。

でもやっぱりとても嬉しいこと。
さぁ行っておいで!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする