中西正男の「ご笑納ください」

デイリースポーツで13年半、芸能記者として勤務。現在は朝日放送「おはよう朝日です」などに出演させていただいております。

マフラー。

2010-02-09 15:04:42 | Weblog
先日、借りたい本があったので、近所の図書館に行きました。

図書館の一角には、知的障害を持った人たちが働く作業所で作られた品物を売るスペースがあるのですが、いろいろと考えるところがあり、図書館に行った際には必ず立ち寄って、何か一つ購入するようにしています。

いつもは携帯ストラップなど小物を買うことが多いのですが、ニュートラルに見ても色使いがポップで独特の風合いがあるマフラーに目がとまり、恐らくはそのお店で一番高いであろう4000円の手織りマフラーを購入しました。

レジには作業所で働いているとおぼしき男性とお手伝いの女性がいて、マフラーを渡すと、二人して丁寧に丁寧に包装してくださいました。

図書館から帰り際、早速マフラーをしてみようとビニール袋から出して広げてみたところ、デザイン的には良かったのですが、残念ながら、明らかに編み方の粗雑なところがありました。

珍しい織り方のマフラーだったので、その織り方ならでは設えなのかな?とも思ったのですが、きちんと編めてるところと粗雑なところにあからさまな差がある。

一日考えてから、商品の窓口になっている作業所に連絡をしてみました。

これがこの織り方ならではの特徴だったり、高級ジーンズやキャップ、Tシャツなどに見られるダメージ加工的な“味”ならば自らの不勉強を戒められますし、もし手違いで不良品が出荷されてしまっていたのならば、それはそれで、作業所の人の糧になるかもしれない。

また、不良品ではなくこの織り方ならではの味だとしても、こちらが電話をすることで、購入者が納得して買えるよう袋から出した見本を売り場に置いておき『ところどころ目の荒いところがありますが、それがこの織り方最大の特徴で、○○といった利点があるためわざとそうしているのです』などと書いておくようになり、スムーズな売買がなされるきっかけになるかもしれない。

独善的なのかもしれませんが、一番誰も得をしないのは、何らかの要因で粗悪品的なものが継続して売られること。

『障害を持った人が作る品物だから、ま、こんなものか』という考えを売る側はもちろん、買う側が持った時点で真っ当な商売ではなくなるのでしょうし、その先の道は限りなく細くなってしまう。

みんなが頑張ってやっていればいるほど、そのようなお店ならば、出すべきではない。

そんなことを考え、輩という認識はないことだけをしっかりとお伝えした上で、電話口でありのままをお話ししました。

電話に出た職員の方からは丁寧なお詫びとお礼をいただきました。

『申し訳ありません。まず第一に、当たり前ながら、商品を買っていただいたことに感謝します。さらに、こんな電話をいただいたことに感謝します。作っている人たちは一生懸命ですし、もし何か不具合があるならば、商品として出せるかどうかのチェックができてなかった我々職員の責任です。障害を持った人の品物だから、ま、こんなものか…と思われるのが誰にとっても一番良くないことというのは我々も日々思っていることですし、返品、返金、謝罪、いかなる形にも対応させていただきます。本当に申し訳ありませんでした』

在庫を調べた結果、替わりになりそうな品物がいくつかあったそうで、代替候補を僕が見た上で、交換という結論に至りました。

真っ当で誠実な対応を受けて、そのままマフラーを持っておくのではなく、あえて、こちらも交換をお願いしました。

近日中に代替候補が届くそうですが、もしその品が気に入るものであれば、末永く大切に使っていきたいと思います。

バリアフリーの何たるかを考えているうちに、少なくとも、性的にはスーパーバリアフリーであることに気づいた35歳。