久しぶりに早起きをし、朝から一仕事済ませて、ブランチをとっています。
よく訪れる定食屋さんで味噌カツ定食と豚汁を注文。
鉄板の上で味噌がグツグツ煮える音に食欲が前のめりになったところで、思わぬ“来訪者”がグツグツ音に横入りして、僕の耳に飛び込んできました。
近くの席で朝定食を食べている男性がいたのですが、その男性はご飯を食べるにつけ、塩鮭を食べるにつけ、味噌汁を吸うにつけ、必ず『クチャクチャ、ベチャベチャ』という咀嚼音をこれでもかと響かせるのです。
先ほどまでいきり立っていた食欲は、ポイントでは間違いなく有利だから何とか判定勝ちを狙う最終ラウンドのボクサーのようにaggressiveさを失い、箸のスピードは、新日派だった僕にとってはまさかのG馬場的世界観になり、せっかく120円を上乗せして頼んだ豚汁は、『猪木対アリ』戦を見ていた当時の観客のように冷え切っていきました。
自分の心の思わぬ繊細さに打ちひしがれそうになりましたが、それでも、合計810円を出したブランチを無駄にしてはならないとマッスルスパークを仕掛ける前のキン肉マン並の火事場のクソ力で、味噌が固まりつつあるカツを頬張り、ワカサギ釣りをする湖のようになった豚汁を吸い上げ、熱いお茶で熱を補いながら、何とか定食を体内に取り込みました。
なんだかんだいって、セコさがすべてに勝る35歳。