中村正直の「頑張れプロ野球」

ベテラン野球記者の本音ブログです。

ミラクルを見た後で…

2008-07-06 22:35:43 | Weblog
 あれで負けのでは、横浜も仕方ないわな。序盤のビハインドを必死で追いつき、

八回に難敵・ウィリアムスを打って勝ち越し、しかも3点差をつけて守護神・寺原

に託しながら、そこから逆転負け。二死一塁、カウント2-0から3点差を引っく

り返されたのである。これが反対であってみなさいよ。球児がそんな逆転を食らっ

たら、甲子園はもうパニックになるに違いない。その点、横浜スタジアムのベイフ

ァンは冷静なもんだ。負け慣れているせい?か、少しのメガフォンが飛んだだけで

表面上は済んだ。

 あの展開で負けるんだから、横浜はもうどうしょうもない。裏を返せば、阪神が

すごい、ということになる。1つ負けたくらい大勢に影響ないのに、みんなが必死

になって食らいついていった。関本、そして新井、トドメの金本。記者席で見てい

て、八回裏に3点が入った時点で、九回裏の欄に「×」印を書いた自分が情けなく

なる。勝負はゲタを履くまでまでわからない、というが、本当にその通りだ。もう

一度胸に刻印しておこう。

 さて、本題である。そんなミラクルを見た後、帰阪の途に着いたわけだが、新横

浜駅でぶ然とさせられる光景を見た。選手たちは乗れる新幹線でそれぞれ帰阪して

いたのであるが、記者が駅に着いたとき、新井や赤星が便を待っているところだっ

た。プラットホームは大勢の客でごった返していた。そんな中で、多くの阪神ファ

ンが選手を見つけてはサインをもらうのに走り回っていたのだ。長時間試合で疲れ

て家路に急ぐナインたちに、容赦なくサイン攻勢をしかけるファン。君たち、いい

加減にしてやれよ、と大声で言いたくなった。

 プロ野球選手は人気商売である。サインをするのも仕事のうちではあるが、ファ

ンの側も時と場合を考えてほしい。特に、混雑する駅などは、他の客の邪魔にな

る。そして危ない。ファンは勝手なもので、そんな選手に無視されたら「あの選手

に無視された」などと不快な思いを抱く。選手はたまらんぞ、本当に。記者が座っ

ていたベンチの横に、偶然座った浅井も大勢のファンにカメラを向けられ、困惑の

表情を浮かべていた。「赤星さんが囲まれている間に、逃げてきたんですよ」と苦

笑いしたが、君らの気持ちはよくわかるよ。

 応援するファンの側も、ある程度の節度を持ちましょうよ。そんな思いで横浜名

物「シュウマイ弁当」を買いにキオスクをのぞいたら、すべて売り切れていた。何

とも腹立たしい!ミラクル気分が一気に吹き飛び、傷心の帰阪となった。