中村正直の「頑張れプロ野球」

ベテラン野球記者の本音ブログです。

沖縄はきょうも雨だった

2008-01-31 22:30:10 | Weblog
 朝。大阪の自宅を出る前、しばし考えた。「コートを着ていくべきか…。それとも寒いのを我慢して薄手のジャケットだけでいくべきか…」。クローゼットを行ったり来たり。家人は仕事に出かけてもういない。決断。「よし、我慢や」。外は相変わらずの冬。身を切るような冷たさの中、駅に向かって歩き始める。15分間の辛抱やないか…。周りの人々は厚手のコートやダウンジャケットを着込み、体を丸めて過ぎ去っていく。このくらいの寒さがどないやというのか。屹(きつ)然と己に言い聞かせ、プロ野球界で言う「大晦日」のスタートを切った。目的地は、そう、沖縄。

 ちょっとの我慢をして着いた関西空港から、一路那覇へ、飛び立つ前の天気は意外にも好天。機内から見る外は、太陽が燦々と照りつけていた。と言っても、それは機内から見た単なる印象に過ぎなかったのだが、那覇もそうあってほしいな、と思わずにはいられなかった。グィーンと機体が持ち上がる。と同時に、緊張がサッと体内を駆けめぐる。いつもそう。飛行機に乗るときは「もうこれで終わりか」という気持ちになるのだ。ただ、それも一瞬で、すぐに眠気が襲ってきて、ハッと気付いたときは、もう目の前を飲み物を持ったキャビンアテンダントが通り過ぎている。いつもそうだ。

 そんな話はどうでもいいか。ともかく、沖縄・那覇はきょうも雨だった。懸念していた通り、那覇空港は大雨。久米島の楽天担当から電話があり、当地も「土砂ぶりです」とのこと。さぞかし、ノムさんもぼやきまくっていたことだろう。田中のマー君はどんな表情だったのか。その他、沖縄に入った各球団の監督、選手たちは一体どんな気分でこの雨を見たことやら…。

 空港から那覇の宿舎に向かうタクシーの中。運転手が「このところいつも雨ですよ。この時期の沖縄はだいたいこんな感じですがね。何年前だったか、ヤクルトがキャンプしている間、お陽さんがのぞいたのは、たった3日でしたから」とつぶやいた。これでは何のために暖かいこの地までやってきたのかわからないが、こればかりはねえ。ただ、雨といっても大阪の雨とはちと違う。やはり、寒くはない。ジャケット1枚で正解じゃないか。これでコートなんか持ってきていたら、暑いし荷物になるしで、踏んだり蹴ったりになるところだった。

 こうして「大晦日」を終え、さあ「元旦」を迎える。2月1日。いよいよ、08年のプロ野球が始まる。毎年のことだが、ドキドキするなあ。

憂うつな気分の原因は…

2008-01-30 19:19:33 | Weblog
 前回の続き。ソフトバンクとオリックスの「パウエル問題」は、舞台を連盟に移して激しい応酬がなされた。双方が書類を持参し、正当性をアピールしたのに対し、連盟はいずれも正当とみなし、現状を「二重契約」であるとした。そういう見解を出したところで、この件が決着したのでも何でもない。「双方が持ち帰って検討してほしい」とするに止めたので、もう一悶着も二悶着もあることが考えられる。キャンプインを目前にして、何とも騒がしいことだ。

 この問題を除くと、我がデイリースポーツの紙面はキャンプに意気込む男たちの情報であふれている。宮崎では合同自主トレの巨人投手陣がブルペンでバンバン投げ込んでいるらしい。若きエース・内海を先頭に、今季活躍が見込める若手たちが激しく火花を散らせている。また、沖縄・宜野座でも阪神ナインが精力的に動いているようだ。この日は誕生日を迎えた新戦力・新井が沖縄入りし、31歳の決意を口にしたとか。番記者・吉田のこん身の原稿を、あすの紙面でたっぷりと読んでほしい。

 前にも書いたが、今年は久々に12球団すべてのキャンプ地を見て回る。大変だが、楽しみでいるのだ。しかし、憂うつなのである。何故か?それは沖縄方面の天気予報にある。いつ確認しても、だいたいが傘マーク。降水確率も50%を超えている。キャンプイン以降に晴れのマークが出ているのは4日のみ。これは、記者的には由々しき事態なのだ。

 なにせ、取材がやりにくい。ほとんどの球団が室内練習場ですることになるが、ブルペンでの投球練習は外。これを見る我々の頭上に屋根などない。つまり、足下がぬかるんだ状況の中、傘をさしながらチェックせざるをえない。室内での練習もまた見にくいし、時短になる可能性だってある。晴天の下でやるのと、雨天では選手の気持ちだって違ってくる。キャンプインから雨では、張っていた気持ちが緩んでしまいかねない。

 空にぶつぶつ言っても始まらないが、誰に当たるわけにもいかない。何とか晴れてくれないものか。こういうときは、祈る。願う。晴れよ、と。

寝耳に水のパウエル問題

2008-01-29 19:11:54 | Weblog
例によって、海の見える会社で3日後に迫ったプロ野球のキャンプ視察準備をしていると、妙なニュースが飛び込んできた。この間、オリックスが入団を発表したばかりの“出戻り助っ人”パウエルを、何とライバル球団であるソフトバンクが「契約合意に達した」とこちらも堂々と発表したのだ。「別人のパウエルじゃないの?」と思ったが、各所から電話を受けて忙しいプロ野球デスクは「あのパウエルですわ」とはっきり言う。一体何がどうなったのやら…ソフトバンク担当の携帯を鳴らしたが、留守電になってけつかる。こっちの電話に出る余裕はないのだろうが、折原よ、もっとデンと構えて取材したらどうだ?

 しかし、一度オリックスが入団交渉を行い、話がまとまっている選手に手を出すとは、ソフトバンクも何を考えているのだろうか。ソフト側は交渉の正当性を主張しているようだが、オリにとってはまさに寝耳に水。中村球団本部長がドングリ眼で「連盟に異議申し立てをした」と言うのもうなづける。ただ、1つ言えば、交渉がまとまった際、なぜきちんとした契約書を作成していなかったのだろうか。落とし穴などどこにでもある。ソフト側につけこまれるような“口約束”程度だったとしたら、一慨にソフトばかりを責められない。

 勘ぐった言い方をすれば、パウエルはオリと契約すると口約束をして“保険”を得てから、それ以上の条件を出す球団を待っていたのではないか。そこにソフトバンクが飛び込んできた。条件はこっちの方がいい。オリとは単なる口約束だし、いつでも破棄できる…。そんな風にパウエル側が考えていた可能性もある。ただ、これらは記者の勘ぐりにすぎないので、お間違えなく。

 ここで問題になるべきは「球団としてのモラル」の1点。一度契約を結ばず巨人に獲られた助っ人を、恥を忍んで再度呼び戻したオリックスにすれば、そりゃないよ…という世界だ。尊敬してやまないソフトバンク・王監督がこれを了承していたとすれば、幻滅感は否めない。斉藤和や和田が出遅れるのが確実で、台所事情は苦しいのだろうが、このやり方はちょっとない。

 12球団のキャンプ資料をほぼ作り終えたのに、これで一部やり直さないといけない。記者に残された時間はあと1日なのだ。早く入団先を決めてくれ。それにしてもパウエルの野郎め、罪作りなことをしやがる。

大幅減額の桧山を想う

2008-01-28 20:46:09 | Weblog
 相変わらず冷たい日が続いている。朝6時半に叩き起こした息子2人が、気が付けばコタツの中に潜り込み、うんともすんとも言わない。「めしっ‼」と喚いてみたところで、さっぱり応答なし。最後の手段として「もうええで。勝手にしたらええ。全部片付けておくからな」とボソッとつぶやくと、これが決まって功を奏すのだ。構ってもらわないと不安になるようで、泣きながらコタツ布団をめくりあげ、食卓につくのである。ま、それだけ朝の冷え込みが辛いということ。その昔は自分だってそうだった…ように思う。

 厳しい寒さを全身で受け止めた男がいる。阪神の桧山。きょう28日、球団事務所で契約更改に臨み、限度額を超える2500万円ダウンの4000万円+出来高払いという球団提示を受け入れた。何度か下交渉を続けてのものだから、突然通告されたわけではなかっただろうが、それでも、いざ契約書に判を押す段になれば、大幅ダウンは身に染みる。去年の成績は17安打、3本塁打、13打点、打率・191。数字的にはいかんともしがたい。限度を超えた減額も、本人の了解があれば認められる。全く不本意な結果に終わったことで、桧山も腹をくくったのだろう。

 シーズンの終盤、彼と食事を共にした際、現役への強い未練を口にしていた。1打席、1球に生きる代打稼業の難しさを、酒も飲まなかったベテランは淡々と説明してくれた。「もう一度レギュラーとして4打席立ちたい。そこでもう一度勝負したい」。気持ちは十分伝わってきた。何とかもう一花を咲かせてやりたい。長期低迷時代を支えてきた38歳に、最後の光を当ててやりたい。

 大幅ダウンでもいいじゃないか。やれば戻ってくるんだから。やれなければ去ればいい。それだけのことだ。右翼のライバル・林が肩のリハビリで前半戦の復帰が微妙、新外国人・フォードも未知数だ。桜井だってわからない。桧山が右翼に返り咲く可能性は、全くのゼロではない。

 38歳と言えば、あの大阪府知事選挙で当選したタレントさんと一緒か。別にどうでもいいことだが、個人的にはあの眼鏡のにいちゃん、いや知事さんは好みじゃない。せいぜいおきばりやす、とでも言っておこうか。

新外国人選手の見方

2008-01-27 20:08:26 | Weblog
 やっぱり白鵬が勝った。前日に「大相撲の千秋楽が楽しみだ」と書いたが、1敗同士で並んだ横綱2人の“決勝戦”は、想像通りの白熱した激闘になった。ここで朝青龍が勝てば、筋書き通りの展開になっただろうが、そうはとんやがおろさない。3連覇を飾った白鵬、たいしたもんだ。拍手を送ろう。負けた朝青龍。相当悔しかっただろうな。でも、内心ホッとしたんじゃないか。ここであっさり勝つようなら、相撲界は何ら成長していないことになる。自分がいない間、ライバルの白鵬が強くなっていて、次の励みができたと思っているはずだ。違うかな。

 相撲の話はこれで終わり。さあ、野球だ。キャンプが刻一刻と迫る中、各球団の助っ人連中が続々と来日する。既存外国人選手はおおかたわかっているからいいが、新しい人はその実情がまるで分からない。はっきり言えば、我々スポーツ紙業界に身を置くものとて、彼らがどんなものか、わからない。経歴と数字を見ればあらかた想像はつくが、日本に適合するかどうかは、自分の目で見るまでは判断つかないのだ。だから、決してスポーツ紙の大げさな見出しに惑わされないように。とはいえ、スポーツ紙がウソを言っているのでは決してない。新しい助っ人たちの弱みを開幕前にあげつらっても仕方ないし、それを書いたとて、我々には何の得もないからだ。見出しの半分くらいの評価で見ておいてちょうどいい。

 助っ人のほとんどがチェンジした球団が、横浜と広島、そして西武。阪神ファンには、横浜の助っ人たちがどんなものか、気になるところだが、ここまで述べたように、さっぱりわからない。記者なりには、一応の基準を持ってはいるものの、実際投げている姿、打席に立つ雰囲気を観ないと、評価はしずらい。ただ、一つ言えるのは、打者なら、右の場合は外角のスライダーが見極められるかどうか。投手なら、投球数の80%以上がストライクになるかどうか。判断基準はこれだろうか。

 阪神のフォードとアチソンがあす(28日)来日する。まずは、彼らが何を語るか、そこから見てやろうじゃないか。来日会見で大風呂敷を広げたヤツも、その反対に謙虚に抱負を語った選手も、いずれも大した成績を残していないが、醸し出す雰囲気がまず第一段階の判断材料になる。大物であることを祈るのみだ。我が社とすれば…。

 それともう一つ。「白」と「青」の1-4は、見事に玉砕となったことを報告しておきます。ご愁傷さまでござんした…。ケッ!

朝青龍と白鵬

2008-01-26 20:58:49 | Weblog
 野球を生業(なりわい)にしているものとはいえ、今場所の大相撲はちょっぴり関心がある。昨夏からワイドショーのリポーターたちに大いに「かわいがられた」朝青龍が、復帰の場所でどんな相撲をとってみせるか。そんな世間一般の関心事より、彼のいない間、2場所連続優勝を達成したライバル・白鵬とどんなデッドヒートを繰り広げるか。つまり「ちょい悪横綱」vs「優良横綱」の対決。ここに日本人関取がどう加わるか。その昔、相撲好きだったおっさん記者には、久々にスポーツ的な関心が沸き上がっていた。

 結果はみなさんご存じの通り。2人が1敗の相星で並び、千秋楽の決戦になった。大関衆の体たらくは今に始まったものじゃないが、横綱が横綱らしい強さを見せてくれると、全体として場所が引き締まる。相撲の取り口は別にして、だいたい2人は責任を果たしたと言えるのではないか。

 それにしても、朝青龍の精神力の強さはどうだ。「稽古をしない」とか「態度が悪い」とかいろいろ言われ、さらに場所の序盤に早々と黒星を喫していながら、堂々と白鵬と渡り合い、ここまできた。これはもう恐るべき精神力と言える。押し潰されそうなプレッシャーを分厚い胸にめり込ませつつ、それをさらなる闘志に変えて相手にぶつける。確かに、他の力士とは地力が2枚も3枚も4枚も違うのはわかっている。ただ、それ以上に気持ち、ハートの有り方が全く違うのだろう。「横綱の品格」は別にして、アスリートととしてはやはりすごい。気持ちが弱いと言われる野球選手など、この男を見習ったらどうか。

 刺激的な千秋楽になった。記者が幼かったころの千秋楽と言えば、必ず北の湖(現協会理事長)と輪島(今は何だったか…)の両横綱が、土俵中央でがっぷり4つに組んで動かない、そんな印象がある。その場にじっとしているから、トイレに立って帰ってきてもまだそのまま、という光景がよくあった。力が拮抗しているから、出るに出られない、それだけすごい勝負だった。今になってそう思う。あすの千秋楽、2人の取り組みが楽しみだ。

 今場所、どれだけ大相撲人気が戻ったか、それはわからない。ただ、こうして世間の耳目が向けば、また人気は出てくると思う。あとは日本人の、若々しい力士が彗星のように飛び出してくることだ。できれば男前がいい。それはともかく、あしたの競馬はこれで決まり。1枠と4枠。「白」と「青」。安易すぎやと笑われても、おっさんは買う。これで勝負じゃ‼

智弁和歌山の坂口くん

2008-01-25 20:29:19 | Weblog
 前夜(24日)に少し飲み過ぎたようで、朝、目覚めると頭がガンガンして起きられない。2人の息子たちが保育所と小学校に出かけて行っても、オヤジは布団からはい出すことができず、ただ蓑虫のように丸くなっているだけ。トホホ…。毎日このブログを更新するという目標が早くも断たれ、自分の体の方もガタがきたのだろうか。ともかく、この失態で仕事のスケジュールが狂ってしまった。

 重だるい体をひきづるように、向かった先は和歌山。今春のセンバツ高校野球の出場校が決まるというので、近畿4強に入っていた智弁和歌山の取材に出かけた。仕事の場はプロ野球でも、事情により高校野球だって取材する。また、ときには高校野球の方が面白かったりするから、気分転換にはもってこい。で、割り当てられたのが、智弁和歌山だった。

 ここに、坂口くんという主砲がいる。コアな高校野球ファンなら覚えているだろう。昨夏の選手権大会・仙台育英戦で、あの豪腕・佐藤由の決め球であるスライダーをものの見事に捕らえ、左翼席中段に運んだ怪物2年生だ。ナマでもテレビでも見ることができなかったが、取材したものに聞くと、とんでもない打球だったという。今回のお目当ては、その坂口くん。去年の大阪桐蔭・中田と比べてどうか。彼の醸し出す雰囲気を感じたかった。

 小雪がちらつく中、出場決定の報が入り、名将・高嶋仁監督が胴上げされた。そして帽子を高々と宙に投げて喜ぶ恒例のシーン。坂口くんは…と見ていたが、その場に紛れていた。つまり、現段階では「いるだけで目立つ」という中田級には達していないということ。昨秋の近畿大会で3戦連発という“大技”でスカウト連中の目に改めて留まったが、彼がよりすごくなっているかどうかは、春の大舞台でわかる。高嶋監督は「マークされている中で打つのがいいバッター」と話していたが、本当にその通り。注目を一身に浴びる中で豪快な一発を放てば、一躍中田級に躍り出る。

 体格はよかった。186㌢で90㌔と堂々たるもの。サードを守るには少し太いかな、と思うが、モノは確かに良い。取材してみると、これがまた謙虚(高校生だから当たり前か)。「僕らが一番下だ、というつもりではい上がっていきます。ホームランは狙いません。ヒットでいいです」。そう言えば、去年の中田もそんなことを言ってたような気がするな。大きなことはプロになってから言えばいい。こんな子には、スクスクと育っていってもらいたい。

 それにしても寒かった。メモをとる手がかじかんで、まともな字が書けないんだから…。そうこうしながら、もうすぐ春がやってくる。

08年最初の大失敗…

2008-01-25 00:55:57 | Weblog
 しかし、人間が立てた目標など、いとも簡単に崩壊するものである。年初にどれだけきれいな目標を掲げても、その時々の事情で思うようにならない。今、がまさにそれ。気が付けば、もうこのコラムの更新時間を過ぎていた。08年は365日間、欠かさず書き続けようと誓いを立てていながら、1カ月も経たないうちにリタイヤとは…。何とも情けない。今の今まで、自分はこの分野では「プロフェッショナル」の片割れと自負していたのに、いきなりこれだけらなあ。新年会の酒がいくら回ったとはいえ、こんな状態では話にならない。

 かなりアルコールが回っている状態であるので、あまり多くは言わない。だが、その中で、気になった話題が一つある。この日行われた阪神のスタッフミーティングで、去年ブレイクした桜井が、1軍のキャンプから外れたことだ。故障からリハビリを続けているらしいが、首脳陣は1軍のキャンプには帯同させるにあたわず、と判断しやようだ。当然だと思う。

 去年ブレイクしたのは、故障者が相次いだおかげで、岡田監督以下の首脳陣が二進も三進もいかなくなったから。桜井の実力ではない。昨年秋に故障しのも、桜井自身の不注意が招いたものと、個人的には思っている。ここは、じっと我慢して1軍に上がる日を待つべきだろう。

 残念ながら、日が替わった。字が見えない…。変換も思うようにいかない。眠い…。もういかん…。もっといろんなことを書きたいが、限界だ。俺は弱い人間だった。すんません、みなさん。この次はきっと…。

金本の後継者は?

2008-01-23 18:45:00 | Weblog
 22日夜の話をあえてしたい。仕事を終えて帰宅、風呂に入る前にテレビをつけると、某国営放送に「偉大なるイチロー」が出ていた。番組名は書かないが、多くの野球ファンが見たのではないか。昨シーズンのこと、自分にアジャストしたバットとの出会い、今季に賭ける決意…。イチローらしい言い回しで、自分の思いをきっちりと語っていた。風呂に入るため脱ぎかけていたシャツをもう一度着直し、テレビに前に座った。「これは見逃せないぞ」という気持ちにさせられる番組は、最近では珍しい。

 イチローの言葉には重みがあった。そして、意外な新鮮さを感じた。野球を理詰めでしてきたように見えた男が、フィーリング、つまり感性を口にした。言い方は違ったかもしれないが、言わんとしていることはそうだ。そして、自分が出したいい結果に「僕は満足する。当たり前でしょう。思い切り満足すればいい」と言った。意外だった。それだけに面白かった。「50歳で4割打って引退する」というのもあながちジョークではない。この男なら、それもやってしまうのではないか。そう思わせる、番組だった。

 海の向こうで「神話」を築くイチローと、我々の目の前で「伝説」を創る虎のアニキ・金本。この2人に優劣をつけるのはナンセンスなだろう。ともに、野球人ならリスペクト、いや、尊敬しなければいけない存在だ。彼らが話す言葉はもとより、動きの1つ1つが後進には参考になる。阪神を取材しているとき、いつも思うのは、この金本からエキスを搾り取る男は出てこないのか、ということ。現時点では、どうも見当たらない。

 その金本と“弟分”新井の自主トレが公開された。都合で見にいけなかったが、取材してきたカメラマンの田中記者によると「手術した右ヒザをやはり気にしていましたね」とのこと。開幕まで間に合うか心配になるが、伝説を成す男は必ず逆境から立ち上がってくる。問題は新井の方。“金本イズム”を最も体内に宿すこの大砲が、本当に期待通りやれるのか。“外野席”が賑やかな阪神で、実力のすべてを出し切るのは骨だ。昨年末の北京五輪予選を思えば、そこそこにはやってくれるだろうが、今年に限れば少し割り引いて考える必要がある。

 表題で書いた「金本の後継者は?」の答えは、現時点では間違いなく新井だ。阪神の生え抜きにはいない。ただ、その新井とて、金本の足下までたどりつくのがやっとだと思う。これから何をするか。何を成すか。誰に影響を与えるか。アニキに肩を並べ、越せるようになるかかどうかは、まず今年の戦いぶりを見てからだ。
 
 かのジャッキー・ロビンソンはこう言っている。「他人の生き方に影響を与えてこそ、人生に意味がある」。

 

ひげを剃ったラミちゃん

2008-01-22 18:32:48 | Weblog
 阪神・下柳の残留が正式に決まった。FA宣言してから、2カ月半以上を要してようやくケリがついた。詳しい事情、本人の気持ちなどは、本紙精鋭トラ番たちが取材した本紙の原稿を熟読してもらいたい。23日付けのデイリースポーツにその辺は詳しく載っておりますから…。ま、これは規定の路線。一時、メジャー云々が言われたことがあったが、本人の気持ちは一貫して「残留」だったと思われる。

 個人的な思いを言えば、下柳にチームを去ってもらった方が若い投手陣が活性化してよかった。別に、下柳を中傷する気などサラサラないし、嫌いでも何でもない。「先発の柱がいない」という現状のチームだからこそ、唯一先発ローテを守りきったベテラン左腕には、このFA宣言を機に、他に移ってもらいたかった。これでまた下柳に頼る。安藤や福原、能見、杉山が頑張ればいいが、もし去年のような事態になれば“不惑の左腕”に頼らざるをえなくなる。

 この話はここまで。他の球団でちょっと関心を持ったのが、21日に来日した巨人・ラミレスのこと。巨人でも相変わらずあのパフォーマンスをやるらしい。結構じゃないか。このおっさん記者も、ラミちゃんの「瞬間芸」は大好きだった。おらが阪神がナンボ打たれまくっても、あの選手だけは憎めなかった。むしろ、打たれた後の芸が楽しみでさえあった。今年はどんなことをしてくれるのか。今からワクワクする。しかし、だ。来日した彼の姿を見て、何かが足りんと思ったら、ひげがなかった。きれいさっぱり剃り落としたらしい。

 小笠原が日本ハムから巨人に移った際、トレードマークだったひげを剃ってしまった。あのときもガッカリしたが、今度もだ。「巨人軍は紳士たれ!」なんて言葉は今や死語に等しい。球団そのものがリーグで大暴れしているのに、選手にそれを押しつけるなど、ちゃんちゃらおかしい。個性をどう生かし、伸ばすかという時代だ。サッカー界を見てみろ。メジャーを見てみろ(ヤンキースだけは違うらしいが…)。ひげを剃ったラミちゃんを見て、またあの個性が「G」のマークに埋没していく気がした。

 しかし、ちゃん付けで呼ばれる外国人選手も珍しい。打ちまくって巨人がバカ勝ちするのは嫌だけど、ラミレスには何とか活躍して、ひげを復活させてほしいな。決して「いい子」になるな!暴れるだけ暴れて、あの絶対君主にギャフンと言わせてくれ。…と言っても無理だわな。