中村正直の「頑張れプロ野球」

ベテラン野球記者の本音ブログです。

熱いぞ、沖縄!

2009-01-31 16:05:03 | Weblog
 暑い。肌を刺す暑さではないが、やっぱり南国である。冬型の気圧配置になった大阪とは違う。自宅を出るとき、薄いシャツにこれまた薄いジャンパーを羽織っただけの姿だったので「やばいかな」と思ったが、それも伊丹の空港まで。飛行機に乗ってしまえば、もうこれで充分だった。那覇の上空から下を見ると、色鮮やかな海がきれいに広がっていた。降り立つ。暑い。薄着で正解だった。

 1年前を思いだした。気も滅入る雨だったのだ、あの日は…。しかもザザ降りだった。今思えば、あれが岡田阪神の行く末を暗示していたのかもしれない。今年は初っ端からいい天気に恵まれた。空港出口まで来ると、去年お世話になったタクシーの運転手が、人懐っこい顔で出迎えてくれた。

 空港から那覇市内に向かうそのタクシーの中で、運転手といろいろしゃべっている間に、建設中のでかい建物が見えてきた。「あれ、新しい球場ですよ」。そうか、あれが巨人がキャンプで使う球場か。再来年の2011年から、巨人が沖縄で二次キャンプを張る。そのメイン球場なのだそうだ。完成は今年の暮れだとか。また沖縄が賑やかになる。

 この他にも、1年前と違ったところがいっぱいあるのだろう。それは滞在期間中、じっくりと見させてもらう。あしたからのキャンプリポート、楽しみにしてほしい。

朝青龍の「ガッツポーズ問題」

2009-01-30 16:23:04 | Weblog
 相撲界もヒマだねえ。この間、久々の優勝を飾った横綱・朝青龍の「ガッツポーズ」に関して、ああだこうだと騒いでいる。騒ぐのを取り上げる我々マスコミもどうかと思うが、これは騒ぎがバカバカしく、また面白いから取り上げるのであって、横合いから文句を言われる筋合いのものではない。

 しかし思うのだが、横綱の品格とかどうとか言っているが、朝青龍を横綱に推挙したのはどこの誰で、いろんな問題がありながら横綱の名前を剥奪しないのはどこの誰なのか。アンタたちじゃないのか。彼の品性のなさは、今やうちの5歳の次男坊でも知っている(知らんか…)。そんなものは、大関時代からわかっていたことだろうが。横綱になったからといって、急に品性がなくなったのでもあるまい。

 そんな彼を横綱にしたのは、大関時代の成績が横綱に推挙するに値するものだったからで、誰も品格を重視したわけじゃない。これは朝青龍だけじゃなく、かつての北尾(双葉黒)でもそうじゃないか。横綱の品性を云々言うのも結構だが、自分たちが横綱を推挙する際の基準も見直した方がいいんじゃないの?

 今さらあの朝青龍に「横綱らしく」と言ったところで無理だし、漢字の読めない親方に「指導しろ」と言っても無理である。あの師弟はああしたもの、とあきらめ、今後に目を向けた方がいい。ただ、これ以上、朝青龍が横綱の品位を汚す行為をしたなら、処分を考えたらいい。

 だが、あのガッツポーズがそんなに非難されるべきことだったかねえ。昔の大相撲は厳粛なものがあったが、今や違うではないか。外国人力士が幅をきかせ、日本の力士たちの力が弱まっている時代だ。格式だけは保ちたい、というなら、もっともっと厳しくやらないと無理だろう。ただ、ああいうポーズは感情の発露であって、とっさに出てしまうもの。たとえそれが横綱であっても、仕方ないかな、と思うんだが…。違うかな。

 それはともかく、あした沖縄に旅立ちます。去年とは違い、天気がいいようでホッとしている。心はすでに那覇の空にある。

今キャンプで最も注目する選手は?

2009-01-29 17:38:42 | Weblog
 刻一刻とプロ野球のキャンプインが近づいてくる。沖縄で先乗り自主トレをしている選手たちの話題を見たり読んだりするたびに、こっちも「誰をじっくりと見ようか?」と考える。12球団すべてを回るつもりだから、一通りは見られるわけだが、こっちの“主戦場”は主にブルペン。去年と同じく、各チームの投手陣に視線は釘付けになる。

 去年は、中日・川上、中田、横浜・三浦あたりの投球練習がビビッときたのだが、いずれの投手もシーズンでは期待を裏切った。特に、中田などは故障などもあってほとんど戦力にならなかった。自分の見る目が曇っていたのか…。いずれにしても、挙げた投手がさっぱりだったのは、反省材料ではある。

 今年、どのチームのどの投手に注目するかと言えば、やはり新戦力の面々になる。セ・リーグ連覇中の巨人はほぼ昨年と変わりなく、中日もそんなに大きな動きはないからいいとしよう。ちょっと直に見たいのは、ヤクルトの李恵践(イ・ヘチョン)だ。はっきり言って何の予備知識もない。韓国で活躍していた左腕というだけで、どんな投げ方をする投手かも知らない。だから、見たい。

 去年もサイドスローの林昌勇をブルペンで見て、はい上がってくるようなストレートにビックリさせられた。「何やこいつ?」という新鮮な驚きがあった。今年の李はどうなのか。阪神は昨年終盤、このヤクルトの連中に痛い目にあった。決してナメてかかれる相手ではない。また、赤川、八木という高校生左腕はどうなのか。1軍に来ていれば、よおく見てやろう。

 横浜の新外国人投手、マストニーとウォーランド、それに日本ハムから移籍したグリンあたりも、阪神からすればちょっと気になる選手である。岡田前監督が言っていたが、この下位球団の変ぼうが、今季のセ・リーグを大きく揺さぶることになるかもしれない。

 キャンプインまでもう少し。いくつになっても、ドキドキするもんだ。

来日「メンチ」を見た感想

2009-01-28 22:14:04 | Weblog
 人は見かけによらない、とよく言われる。外見だけで判断しては、その人の本質は見抜けない―ということだろうが、去年阪神に来たフォードとかいう助っ人は見た通りだった。初めて見た瞬間、いかりや長介ではないが「ダメだ、こりゃ」と思った(古いか!)と思ったのだが、実際にダメだった。茫洋とした風貌だけならまだしも、グラウンド内の姿もよろしくなかった。その前は誰だっけ?もう名前も出てこない。スペンサー?キンケード?そんなヤツもいたな。

 で、来日を果たした新助っ人・メンチだ。皆さんはどんな印象を持たれたか。私は現場で取材をしてないので詳しいことは言えないが、テレビで映った感じだけを言うと「フォードよりましかな」というぐらい。注目したのは彼の目で、多少は日本投手相手に戦える目をしていたように思った。

 来日会見の様子と同時に、彼がメジャーで試合をするVTRも流され、外角へ沈む球をうまくバットの先で拾って左中間に打っていた。もちろん、右方向に打つのが一番理想だが、フォームが崩れていなかったから、評価してもいいのだろう。あんな打撃がしょっちゅうできれば、フォードのようなことはない。

 だが、何度も言ってきたように、キャンプが終わるまではじっくりと見定めた方がいい。おそらく、2月中旬くらいにはある程度の予測はつけられると思うが、かつていたフィルダーのようなケースもある。キャンプ、オープン戦と全くダメ男ちゃんでいながら、シーズンで大化けした。外国人選手は、いかに日本野球にフィットするかで評価が決まる。

 あくまでも「+α」という程度の期待でちょうどいい。球団首脳と渉外担当者は悠長に構えることなんかできないだろうが…。球団のメンツがかかったメンチ。語呂だけでなく、日本野球との相性もピッタリ合っていてほしい。きょうのところは、このくらいにしといたろ。

プロ野球はもっと「地方」に進出を!

2009-01-27 16:25:31 | Weblog
 近い将来、沖縄で「阪神vs巨人」もしくは「巨人vs阪神」の公式戦が行われるかも知れない。このニュースを会社で聞いたとき、素直に「ええこっちゃ」と思った。かつて試合か沖縄で公式戦が行われたらしいが、はっきり言って他のカードとはわけが違う。伝統の一戦が甲子園や東京ドーム以外で行われるのは画期的なことだし、それが沖縄であれば、もっと価値がある。

 個人的に思うのは、プロ野球の各球団は積極的に「地方」で試合をしてほしいということだ。確かに、阪神が甲子園を離れ、巨人が東京ドームを離れれば、収益面で大きな損をすることになりかねない。今や、テレビ放送も多様化され、地上波はなくても、CSなどでほぼすべての試合が見られるようになった。昔とは全く状況は違うわけだが、それでも地方のプロ野球ファンは「ナマ」の彼らを見たいのだ。

 テレビで見ているスタープレーヤーが地元にやってくる。それだけでも子供たちはワクワクするだろう。それがたとえ年に1試合でもいい。もしくは、2年に1度であってもいい。定期的に彼らが見られる状況が出来上がれば、多少地域に色がついていたとて、やってきた球団を応援する気にもなる。

 我が故郷・三重の片田舎では、プロ野球の試合など見ることはできなかった。バスに乗り、電車を乗り継いで名古屋や大阪まで行かなければ、見られなかった。もちろん、日帰りできない。いつも「プロ野球ができる球場ができないか」と思っていたものだ。それは今も変わらない。三重にプロ野球の公式戦が来たら、飛んでかけつけるだろう。

 都会のファンも、地方のファンも「野球ファン」には違いない。それらをもっと大事にするような日程の組み方ができないものか。今年は新潟に阪神が行く。新潟の阪神ファンが喜ぶさまが、瞼に浮かぶ。

最強のヒール?朝青龍の「存在意義」

2009-01-26 16:40:39 | Weblog
 一日遅れになるが、やはり「朝青龍」のことは触れないわけにはいかん。彼の復活劇をどのように見たのかと言えば、ムードが勝たせちゃった、って感じかな。場所前の稽古総見のときから「引退がどうの」と騒がれ、場所に入っても新大関・日馬富士を寄り切って一人で話題をさらった。我がデイリースポーツもそうだが、そんな朝青龍を連日大きく取り上げ、ムード作りに一役買った。千秋楽。本割りでもう一人の横綱・白鵬に敗れて優勝決定戦に持ち込まれたが、全体的なムードは、朝青龍が握っていたように思う。

 本割りの相撲を見てもわかるように、今の実力は断然白鵬の方が上だろう。ずぶの素人が偉そうなことを言うようだが、立ち合いからのスピードと重さが全く違う。横綱としての重さというかな。本割りで完勝したことで、白鵬の心にほんの小さなスキが生まれたのかもしれん。

 日本人というのは面白い民族だな。性格的に嫌いなヤツでも、そいつが弱くなると妙に心配したがる。昔の北の湖がそうだった。このおっさん記者は、北の湖が好きだったのだが、友達の多くは貴ノ花や若ノ花が好きだった。しかし、北の湖に陰りが見えだすと、そんなヤツらまで応援しだした。嫌なぐらい強い男。その存在があってこそ、立ち向かっていく者を心から応援できる。「弱い巨人」を見る「強い阪神」のファン心理がそれに似ているのではないか。

 強い「青」がいてこそ、対をなす「白」をもっと応援できる。3月場所もまた面白くなるだろうな。しかし、日本人ももっとやれないものか。頑張れよ、日本力士たち!「青」も「白」も喰らうヤツがでてくることを切望してやまない。

「変なあんちゃん」に口あんぐり!

2009-01-25 16:08:38 | Weblog
 早くも今年の目標が途絶えてしまった。きのう24日、年明けから続けてきたこのブログを書き忘れてしまった。今ブログも2年目に入り、何も毎日続けることもないかな、と思っていたが、元旦に書いたことで「やっぱり毎日更新を目標にしよう」と心に決めた。ところが、きのうプライベートのことで忙しく、おまけに夜はしこたま飲酒をしたため、つい書きそびれてしまったというわけ。俺の決心など、そんなもん。我ながら、軽すぎる!

 出直しだ。リスタートのこの日、子供2人を連れて京都に行った。「そうだ、京都、行こう!」ってやつ。なぜか小学校で日本の歴史がブームになり、上の子がいつも「源頼朝ってどんな人?」とか「足利義満っていつ死んだの?」とか聞いてくる。だもんで、一度京都の寺に連れて行こうと考えた。

 「金閣寺」と「銀閣寺」。京都を代表する2つの古刹を巡って、日本の悠久の歴史に思いを馳せたわけだが、子供たちは「フーン」てなもの。特に、銀閣寺の方は改修中でさらにガッカリ、一通り歩いてすぐに出てきた。

 それはいいのだ。今回書きたいのは、金閣から銀閣に向かうバスの中での出来事。向かい合うように座っていた年齢は25歳くらいの男が、執拗に声をかけてきた。「おじさん、おじさん…」。俺か?そんな目で彼を見たら、さらに「おじさん、おじさん、おじさん…」とニヤニヤしながら話しかけてくる。はっきり聞こえるのは「おじさん」という言葉だけで、何が言いたいのかさっぱりわからない。

 おそらく精神的な障害を持っているのだろう。見た瞬間にそう思ったが、怒鳴りつけるわけにもいかない。横に座っていた家人は「ほっときなさい」と言う。しかしなあ…。すると、あんちゃんはおもむろに立ち上がり、俺の方に来た。そして右腕をむんずとつかんだ。おい、何をする!大声で言おうとしたが、ほぼ満員のバスの中だ。しかも、普通の人とは違うのだ、彼は…。腕をつかまれながらも、無視をした。

 2、3分後、彼は運転手に何事か言いながら、降りていった。運転手の扱いを見ていたら、客にもかかわらず、すごく邪険にしていた。これは推測だが、毎日同じ停留所でバスに乗り降りしているので、市バスの運ちゃんたちも「あ、彼だ!」とわかっているのかもしれない。

 あの手の人を扱うのは、難しい。タイトルに「変なあんちゃん」と書いたが、自分を「変だ」と認識していないのだから困りものだ。もし「おじさん…」と言いながら刃物でも突きつけてきたら…。ああこわ。観光気分が、あの瞬間だけはどっかに吹っ飛んでしまった。

18年ぶり春出場「箕島」万歳!

2009-01-23 18:46:56 | Weblog
 今、このブログを箕島駅前で書いている。駅前の喫茶店で、パソコンの電源を借りながら、中腰姿勢でキーボードを叩いているのだ。電源のある位置が、席近くにはなくてね。しかし、それでも書こうと思ったのは、以前から気にしていた和歌山・箕島高が、18年ぶりに春の選抜出場を決め、その取材に来たから。別に大阪まで戻って書いたらいいのだが、現地で書きたかったのだ。

 名門復活!ということだが、誰に聞いても実力的には「初戦を突破できるかどうか…」と悲観的である。松下監督ですら「行けるとは思っていなかった」と話していたし、チームをよく知るファンも「夏の時点ではとてもとても…」と言っていた。だが、ミラクルは起こる。昨秋の県大会で3位に入り、近畿大会に出場すると、滋賀1位の近江を破り、準々決勝の天理(優勝した!)に敗れはしたが4-7と善戦した。ここが評価のポイントになった。

 特筆する選手がいるわけじゃない。どの選手を見ても普通で、ごく当たり前のチームである。だが、そんな子供たちが「名門」やら「伝統」を背負って、甲子園に登場してくる。過度の期待は可哀想でも、我々オールドファンはかつての栄光を彼らの背中に重ねて見てしまうだろう。

 あの春夏連覇当時、私は中学2年生だった。夏、星陵との3回戦は、田んぼでの作業を終えて帰ってきてからテレビで見た。忘れられない試合の1つだ。連覇を達成した決勝戦の池田戦も鮮烈に覚えている。その当時と、今の選手は比較にはならない。あのユニホームで頑張ってくれたらいい。ただそう思うだけである。

 元監督の尾藤さんは「できたらスタンドで応援する」と言っていた。できたら、俺もそうしたい。別にOBでも何でもないのだが…。自分の高校は夏の第1回大会に出場して以来、ずっと甲子園から遠ざかっている。今年の春だけ、母校を箕島に替えてしまおう。そうしよう。

「外国人助っ人」の当たりはどれ?

2009-01-22 18:47:57 | Weblog
 2月1日からのキャンプ巡りに備え、毎日せっせと準備に励んでいる。12球団のコーチスタッフ、新入団選手、新外国人選手などの表を自前で作り、覚えようとしているのだが、なかなかスッと頭に入らない。特に、外国人助っ人がダメ。どれがどこの選手か、顔と体を見て一致させないと、とても覚えられん。

 ソフトバンクなど、去年あんなにいた助っ人選手が、今年はホールトンを除いてすべていなくなっている。「二重契約問題」を起こしたあのパウエルもいない。と言っても、去年のソフトの助っ人を全部正確に記憶している人はどれだけいるだろうか。野球を職業にしている人間ですら、記憶は曖昧だ。それだけ、強烈な印象を残した助っ人がいなかった、ということだ。

 ソフトは今年も4人の助っ人選手を獲得している。ロー、ファルケンボーグ、ジャーマノという3人の投手に、アギーラという外野手。毎年毎年複数の助っ人をとっかえていては、誰が誰だか見当もつかない。来年のこの時期、一体何人が残っているのかな。わからん。

 全体を通してみてみると、助っ人の質が小粒だなと感じる。楽天が獲ったラズナーという投手は、去年ヤンキースで先発として活躍していたというから、そこそこやるだろうが、あとはどうか。昔は米球界でも名の通った、いわゆる「大物」が来て話題を振りまいた。ヤクルトのボブ・ホーナーなんかそうだ。若いファンは知らんか。名前だけでもワクワクする、そんな助っ人が来ないもんか。

 てなことを言ってもはじまらん。必死に覚えよう。キャンプで一度でも見れば、インプットできるはずだ。評価はそのあとでいい。

「小室初公判」の“当選券”を求めて…

2009-01-21 16:44:30 | Weblog
 簡単な競馬の馬券すら当たらないものが、確率十数倍の傍聴券が当たるわけもない。音楽プロデューサー・小室哲哉の詐欺事件が初公判を迎えるということで、我がデイリースポーツの報道部員他が出動し、わずか60枚の“当たりくじ”を求めて大阪地裁に向かった。

 朝8時半の抽選に間に合うよう、自宅を7時に出て地裁に8時前に着いたら、もう黒山の人だかりで、各社の知った顔がズラリ。空には計5機のヘリコプターがけたたましい音を立てて旋回している。一機などは、ビルの合間から飛び出てくるようなアクロバティックな飛行をして、地上の我々を驚かせた。

 しかし、ヘリまで使って空中撮影をせなあかんことかいな?アメリカではオバマ新大統領の就任式に約200万人が集まったというが、それは世界中に影響力のあるアメリカ大統領の檜舞台だからいい。それに比べてこっちはどうよ…。そないなことを思いつつも、当たりたいと秘かに願った自分もたががしれている。

 結果はやっぱり外れ。「10574」の券を持って掲示板をのぞいたら、一つ前の「10573」が当たっていた。ニアピンか…。そんなもんだよな。単勝を勝ったら2着になるし、連複を勝ったら軸馬は3着に終わる。早起きが報われず、徒労に終わったわけだが、他の連中が見事に当て、傍聴席ゲットに成功した。

 1000人を超える人が傍聴券を求めて並んだのだが、一昔前の「オウム裁判」はすごかった。当時東京勤務で再三動員をかけられ、日比谷公園での抽選に出掛けたもんだ。万を超す人間が、わずかな傍聴券を求めて公園を埋め尽くしたのだから、事の大きさがわかろうというものだ。それに比べれば、何ほどのこともない。

 寒さが比較的緩くて助かった。午後から降ってきた雨が一足早く来ていたら…。てなことを思いながら、地裁前を足早に立ち去った。