中村正直の「頑張れプロ野球」

ベテラン野球記者の本音ブログです。

雨に流された甲子園今季最終戦

2008-09-30 15:29:18 | Weblog
 しっかりとした雨が甲子園のグラウンドに降り注いでいる。前日はビッシリと敷

かれていたシートが、きょうはない。剥き出しの土に水がたまり、全体が「池」に

なっしまっている。きのうの試合後、阪神園芸の関係者が必死に整備をしていたの

で、てっきりシートがかけられるものだと思っていたが、水分をたっぷり吸収して

いる上からシートをかけてもダメなんだな。従って、甲子園最終戦が中止になって

もやむをえない。

 この中止が阪神にとって「吉」となることをひたすら願う。順調に日程を消化し

ていけば、2位・巨人よりも早く全日程を終えることになっていた。1試合残すこ

とになる相手の結果を待つはずだったが、逆にこれで阪神の方が遅くなった。とは

いえ、今後の日程がどうなるかわからないが…。この試合はスカイマークで行われ

ることが濃厚で、ひょっとすれば「優勝決定ゲーム」になるかもしれない。問題は

し烈な3位争いを繰り広げている中日のテンションがどれほどかだ。仮に、この試

合で決まるということになれば、相当な気合で臨んでくるだろう。クライマックス

シリーズ第1ステージの初戦が18日だから、もし12日に試合が入るとすれば、

この試合の先発投手は中5日というベストな間隔で臨める。

 広島との死闘を制し、早々と決着をつけておいてほしいのだが、どうか。だが、

そんな先の心配をしている場合ではないな。きょうを含めてこの3日間でもう一度

ラストスパートに入る態勢を固めないといけない。問題は先発投手だ。どんなロー

テを組むか。酷使気味になっている中継ぎ&抑えの負担を楽にするためにも、下柳

と安藤の2人が、楽にヤクルトを牛耳ってもらわんと困る。

 甲子園はまだ雨が降り続いている。選手の姿は見えない。来年の4月まで、ここ

ともおさらばだ。改装を終えた甲子園が、どんな“ツラ”で我々を迎えてくれるの

か。それを楽しみにしつつ、東京へ行こう。

猛虎「執念」の1勝!

2008-09-29 22:26:19 | Weblog
 よくぞ試合ができたもんだよ。そしてよくぞ勝ったもんだ。金本、ほんとによく

打った。2カ月ぶりのスタメン復帰で3安打放った新井もよくやった。今岡の先制

弾にはビックリしたし、初回無死満塁の大ピンチをしのいだ新人・石川も立派なも

んだ。助っ人投手2人は「何するねん!」と突っ込みを入れたくなったが、藤川は

普通に仕事をした。マジックは「7」に減った。試合ができるグラウンドを作った

阪神園芸の努力、そしてなにより「勝ちたい!」という猛虎ナインの執念には、熱

いものを感じた。

 お立ち台もおもろかったな。金本と新井のコンビだったのだが、最後にベンチで

待機?していた葛城が呼ばれ、お得意の「1、2、3、ウォーッ!」をやった。試

合にも出ていない男がお立ち台に上がるのも不思議だが、おそらく、金本あたりに

「来て、やれよ」と言われていたのだろう。これには笑えたし、スタンドも盛り上

がった。残り8試合を、ファンも含めた“全員”で戦い抜くんだ、という一体感を

示すには、葛城の「ウォーッ‼」でよかったのではないか。

 よく勝った。午後10時半になろうとしている甲子園は、さらに寒くなってきた

ような気がする。だが、心はあったかい。

肌寒い甲子園にて

2008-09-29 15:16:19 | Weblog
 グラウンド一面にオレンジのシートがかけられいる。雨は落ちていないが、いつ

また降り出すやもしれない、そんな危うい状況に甲子園はある。試合開始3時間前

ながら、センターバックスクリーン上を見ると、両球団の球団旗はなく、もちろん

連盟旗もない。投手陣だけが外野で軽いアップを始めている。スタンドでは係員が

観客席を丁寧に拭いて回ってるところだが、果たして開門されるかどうか。阪神球

団の営業担当が、グラウンド状態を確かめるために、投手陣の横を行ったり来たり

している。実に悩ましげな光景である。

 甲子園最後の2連戦。これを流すと、10月11日以降に組み込まれ、場所を京

セラドームかスカイマークスタジアムへ移さなくてはならない。1日から甲子園の

改修工事がスタートするためだが、甲子園に比べると2球場とも器が小さく、観客

動員の面で大きくマイナスになる。だから是が非でもやりたいのだ。先日も阪神園

芸の関係者が「この2連戦は何としてもやりたいですよ。ギリギリまで待って整備

して何とか、ですね。これは阪急・阪神グループの総意でしょう」と言っていた。

ホーム最後の試合は甲子園で、という強い思いが伝わってくるのだが、こればかり

は“天のご加護”を待つしかない。

 岡田監督も室内練習場から出てきて心配そうにグラウンドを見ている。その周り

を各社の担当記者が取り巻いている。果たしてシートはあがるのかどうか。それに

しても寒い。長袖のシャツにジャケットをはおってきたが、それでも冷える。いつ

のまにこんなに季節が進んだのか。こないだまで半袖でも暑かったのに…。ま、あ

と2日で10月だもんな。「衣替え」と同時に、気分も新たにいきたいところだ。

ああ、決戦が終わった…

2008-09-28 00:29:56 | Weblog
 決戦が終わった。試合前の興奮はすっかり消え失せ、今は脱力感がこのメタボな

五体に充満している。原稿を書き、甲子園から自宅に戻る間の「寒さ」といったら

なかった。甲子園で迎える大一番。先日の東京ドームとは全く違う白熱の戦いが見

られる、と期待に胸を高鳴らせていたのに、また裏切られた。最後は、2点差の勝

負にはなったのだが…。

 試合前のブログで「新井は使わないだろう」と書いたら、いきなり出てきてタイ

ムリーを放った。前日まで、屋外でろくな練習をしていなかった新井が、だ。これ

を1軍に上げた事自体ビックリなのに、復帰初打席をタイムリーで飾るとは…。こ

れには驚いた。というより、新井のすごさを思い知らされた。ただ一方で、本当に

よくなったのか、という疑問は残る。この1試合のための復帰ならば、リスクが大

きすぎる。答えは残り9試合で出るだろう。

 それにしても、岩田よ。俺は期待していた。ドームで味わった悔しさを、甲子園

で晴らしてくれると信じていた。ダメでも今度はベンチが助けてくれるだろう、と

も思っていた。ところが、どうだ。立ち上がりから全くダメ。奇跡的に2イニング

を持ちこたえたが、三回に沈没。ここで交代していれば「四回の悲劇」はなかった

かもしれない。大一番とはいえ、岩田らしい、けれん味のないピッチングが全くで

きなかったのが残念でならない。打たれる、打たれないの問題ではないのだ。

 巨人は強い。これは素直に認めよう。内海降板後、阪神に流れが向き始めたとこ

ろで出てきて、ピシャリと抑えた山口などは、本当に成長していると感じた。もう

巨人は負けないものと考えないといけないだろう。あす、いや正確にはきょうか。

阪神は2位に転落する。巨人が中日に勝つからだ。しかし、たとえそうなったとし

ても、諦めてはいかん。ここからだぞ。

 それと訂正を1つ。新井と入れ替わったのは「浅井」でなく「坂」でした。

さあ、決戦だ

2008-09-27 17:36:21 | Weblog
 運命のTG甲子園決戦まで、あと30分になった。巨人の先発はやはり内海。それ

は予想通りだからいいが、驚いたのは、アップのグラウンドに背番号「25」があ

ったことだ。新井?「何でおるの?」と近くにいたTV関係者に聞いたら「浅井と入

れ替わった」とのこと。まだ腰の状況が万全でないのにもかかわらず、1軍に上げ

たということは、使うのが目的ではなく、首位決戦に向けたチームへの“喝”と金

本への檄の意味が込められていると思う。ベンチで新井が見ている。あいつのため

にも勝ってゲーム差を広げようじゃないか。岡田監督の意図はそこにあるものと考

えられる。

 以前から、いざというときには「新井をベンチに入れたらいい」と思っていた。

だが、まさかその「禁じ手」を岡田監督がするとは考えなかった。いかにこの甲子

園決戦が大事か、わかろうというものだ。あとは、どんな手を使って苦手・内海を

攻略するか。楽しみである。さあ、決戦が始まる。この続きは試合後にしよう。

おめでとう、渡辺監督!

2008-09-26 21:07:27 | Weblog
 涙を流すナベちゃん、いや、渡辺監督が胴上げされているのを見て、こっちも涙

がこみ上げてきた。よかったなあ。本当によかったなあ。デーブ、きょうは思う存

分泣いていいぞ。よかったな。小野ちゃん、本当におめでとう。あんたとナベちゃ

んが抱き合っているのをみて、ほんとにうれしかった。16年前、西武担当だった

当時もリーグ優勝、日本一を見せてもらったが、今回は違う感慨がある。なにせ、

自分がよく知る同い年の監督と投手コーチが「初優勝」を飾ったんだからな。遠く

大阪から西武の戦いぶりを見ていたが、本当に低迷のチームを立て直したよ。確か

セのクライマックスシリーズのときだったかな。東京ドームで大久保の姿を見て「

大変だな」と声をかけたら、彼は「打撃コーチっても、僕はそんな柄じゃないです

から。楽しんでやりますよ」と笑っていた。いろいろ苦労はあったと思う。その中

でのリーグ優勝だ。うれしかろう。泣いていいぞ、枯れるまで泣けよ。

 ナベちゃん、小野ちゃん、そしてデーブよ、クライマックスシリーズも勝てよ。

日本シリーズで阪神対西武の「猛獣対決」が実現するのを、俺も心から祈ってい

る。

ソフトバンクの次期監督は誰?

2008-09-25 14:44:53 | Weblog
 入社当初、原稿は手書きだった。束のような原稿用紙をいつも持参し、それに書

きなぐっていたのだが、いつの間にやらワープロに取って代わり、さらにパソコン

の時代に移った。手書きの頃は漢字もよく覚えていたのに、今やパソコンに任せっ

きり。だから「誤字」にも気付かない。先日のブログで、勝敗の見当もつかない、

と書くべきところをを「検討」にしてしまい、そのまま放置してしまった。今も直

していないので、気付かれた方、あしからず。よくある漢字の変換ミスだが、プロ

の書き手がこんなことをしていたらあかんな。

 阪神と巨人のマッチレースのことはさておき、前日に続いてソフトバンクの話を

書きたい。王監督退任に伴い、次期監督がいろいろ取りざたされているが、何です

んなり秋山にならんのだろう。次期監督候補として王監督の手元にありながら、元

ヤクルトの古田と共に1候補にすぎない状況とは、どうも合点がいかない。下手な

勘ぐりだが、王監督と何か衝突があったのか。それとも孫オーナーに好かれていな

いのか。このへんの事情を知らないから何とも言えない。ただ、現役生活の晩年を

ソフトバンク(かつてのダイエー)で過ごし、コーチ業を積んで各選手を把握して

いることを考えれば、秋山以外に適任者はいないだろう。

 それに何故古田の名前が出てくるのか不思議だ。一部に、孫オーナーが気にいっ

ているとも言われるが、九州の球団には縁もゆかりもない男ではないか。しかも、

ヤクルト監督時代に下手うっているのである。監督業に専念せず、現役の自分に固

執したがために、チームは最下位の憂き目にあった。しかも、グライシンガーとラ

ミレスという投打の軸に青木を有していながら、ドベに沈んだのだ。監督としての

能力に欠けていたとしか思えない。それなのに秋山と並ぶ有力候補に挙がってい

る。おかしな話ではないか。

 関西を拠点とするものから見れば、誰が監督になったっていい。何なら星野さん

というのはどうだ。阪神も歓迎するんじゃないか。別に球団のために何かをしてく

れているわけじゃないし、むしろ行ってくれた方がいい。皆さん、この件、どう思

いますかな。

「天敵」三浦に勝った夜

2008-09-24 22:51:50 | Weblog
 少しひんやりする。試合終了からすでに1時間20分から経過し、球場のゴミを

片付ける作業員の音と、原稿を打つ新聞記者のパソコンの音だけが聞こえている。

ファンの熱気がすごかった試合中はそんなに感じなかったが、4万3千のお客さん

がいなくなったら、いっぺんに寒くなった。こっちはまだ“夏用”の半袖を着てい

るのだぞ。明日の晩は上着が必要だな。

 巨人が先に勝ち、そのあと阪神も勝利した。絶対に落とせない試合が続くこの緊

張感はどうだ。相手も今季4戦全敗の三浦。これに勝ったのだから、明日以降はチ

ームも上向いてくるだろう。ただ、心配なのはこの3戦無安打の金本だ。矢野も心

配ではあるが、やはり主砲に快音が聞かれないことには、安心して27日の直接対

決が迎えられない。

 試合前の打撃練習が終わり、金本がベンチに引き上げてきた際の表情を近くでの

ぞき込んだのだが、やはり疲れがあるようだった。おそらく、身体のあちこちも痛

いのだろう。あくまでもこれは個人的な推測にすぎないのだが、長年プロ野球を見

てきたおっさん記者は、金本の表情に「歴戦の疲れ」を感じた。 まあアニキのこ

とだ。巨人と戦うころには、最後の力を振り絞って打ってくれるだろうが…。

 それはそうと、あの「世界の王」がユニホームを脱ぐ。個人的な思いは、25日

付けデイリースポーツのコラム「ウインドウ」に書いたので省略する。だが、本拠

地・ヤフードームでの最後の試合は勝ってほしかった。なぜ勝たせてやらないん

だ、選手たちも…。俺はヤツらに無性に腹が立つ。本当に腹が立って仕方ない。

「勝ち続ける巨人」の考察

2008-09-23 14:36:54 | Weblog
 いよいよ巨人が止まらなくなってきた。このブログを書いている瞬間も、広島で

デーゲームを戦っているが、おそらく勝って連勝を「12」に伸ばすだろう。もは

や相手がどこであっても、対戦投手が誰であっても、関係ない。行進の邪魔をする

ものはことごとく踏み潰すといった感じで、昔風に言うならスペインの「無敵艦

隊」か武田の「騎馬軍団」といったところか。もっとあるだろうが、考えるのが邪

魔くさいからこれぐらいにしとこ。とにかく、実力者(高年俸者)が調子を上げ、

それ相応の仕事をしている結果が、今の大型連勝につながっている。普通に仕事を

されたら、他は太刀打ちできん。これは仕方ないことだ。

 ここまで連勝が伸びれば、選手の気持ちとして「また勝つだろう」が当たり前に

なる。その反面「きょうぐらいは負けるのでは…」という気分が芽生えてもおかし

くはない。特に、先発投手は「自分で連勝を止めたくない」という思いが力みにつ

ながっても不思議でないし、実際に多くの連勝はそうして止まってきた。きょう投

げている久保が今、どんな思いで投げているか、それは分からない。ただ、どこか

に「俺が止めたら…」という悪魔的なものを秘めつつ投げていると思う。

 こないだの阪神3連戦を東京で見てきて、ラミレスや小笠原という球界を代表す

るスラッガーたちと同じように、普通にプレーしていたティーンエージャー・坂本

に大きな脅威を覚えた。初戦に安藤から打った2本の適時打、3戦目に岩田をKOす

る端緒を作った渋い右前打。Gの一発攻勢に沈んだことが大きくクローズアップさ

れたが、個人的にはあの男に「やられた」と思っている。

 こうして巨人を持ち上げたことを書くと、決まってそのチームはダメになってき

たものだが、今回はどうか。12連勝する、と書いたことが裏目に出ることを期待

しつつ、今晩の阪神vs横浜戦を見ることにする。


甲子園に吹く「秋の風」

2008-09-22 14:33:08 | Weblog
 強者(つわもの)どもが夢の跡…か。東京から帰ってきた。今、何とも言えない

秋風が吹く甲子園に到着した。普通ならば「心地いい」とか「爽やかな」という形

容をするのだが、今の気持ち的にはそぐわない。むしろ、あのクソ弱い頃に感じた

いやらしい秋風を思いだし、独り憂鬱なのである。首位から転げ落ち、優勝がなく

なったわけでもないのに、そんな感じになるほど、東京ではこっぴどくやられた。

どうしょうもなかった、というのが事実である。

 くちさのない連中は、やれ「岡田監督が悪い」とか「打線が打てなかった」とい

うような抽象論を吐いて、責任を探そうとする。意味のないことだ。俺から言わせ

りゃ、実力のあるチームが勢いに乗りまくっているのだから、いかんともしがたい

という結論になる。ただ、まるでダメだったかというと、そうでもない。3連戦中

どこかに突破口はあったはず。例えば、2戦目の初回、一死満塁で鳥谷。あそこで

1点でも入っていれば、展開はどう転んだかわからなかった。紙一重の部分をもの

にできるかどうか。勝敗の分岐点はそこにある。

 前夜、宿泊ホテルに帰る道を歩いていると、黄色のタオルが路上に落ちているの

が見えた。もしや、と思って拾ってみると、やっぱり阪神のタオルだった。しかも

「金本知憲」と書いてあった。3連敗で悔し紛れに捨てていったのか、それとも呆

然自失となって落としたのに気付かなかったのか…。それは知るよしもない。だ

が、実に寂しかった。雨に濡れず、車に轢かれてなかったからよかったが、ぼろ雑

巾みたになっていたら…悲しすぎるじゃないか。

 このコラムで「優勝内定」と書き、自分の思い上がりを反省して「撤回」と書い

た。我ながら一喜一憂してきたことがおかしいが、考えてみれば、十年前の担当時

はこんな思いすらできなかったのだ。何せずっと5位か最下位だったんだから…。

残り14試合でしびれるような優勝争いができる選手は、最高の環境に感謝しない

といけない。どっちに転んでも、一生心に残る14試合になるだろう。

 「夏の香り」をほのかに残した秋の風。今晩の試合後、この風に震えるのか、そ

れとも心地よく身をさらすのか。どっちか。全く検討がつかない。