中村正直の「頑張れプロ野球」

ベテラン野球記者の本音ブログです。

「スポーツマンシップ」を忘れたらあかん!

2009-03-31 16:40:10 | Weblog
 きょうの高校野球・準々決勝2日目は、テレビでちょびっとだけ見た。下の息子がインフルエンザにかかってしまい、これのお守りをしつつ、花巻東対南陽工の試合を“つまみ食い”したのだが、テレビをつけたら花巻の背番号「5」がマウンドにいた。な、何?しかもスコアは1-3。てことは、菊池にアクシデントでもあったのか…。あの子は平気で一塁にヘッドスライディングするからなあ。いろいろ想像を働かせつつ、実況に耳を傾けると、あの「5」をつけた子が先発したという。次を見据えて一応菊池を温存し、勝負がかかったところで投入―との策戦だったのだな。

 そして、これが見事に成功した。六回に菊池をリリーフのマウンドに送ると、打線も活気付いたのか、簡単に?逆転してしまう。最後は二死満塁のピンチを背負い、冷や冷やさせたが、こん身の真っ直ぐを投げ込んで見逃し三振に仕留め、花巻を初のベスト4に導いた。いちいち大袈裟なガッツポーズをするのが余計だが、何度も書いてきた通り、今大会ナンバー1であることは疑いようがない。これを先発で使わずに勝った若い監督さんもたいしたものだ。

 2試合目は番狂わせ。早実を21世紀枠の利府が下してしまった。何であのチームが21世紀枠なのかね?堂々たるものじゃないか。伊達に仙台育英に勝ってはいない。報徳の永田監督が言っていたが、甲子園は何でもない選手を大きく育てる。利府ナインも、1戦ごとに強くなっている感じがする。

 その利府なのだが、ある主力選手が自身のブログで他校の選手を中傷するような文を掲載していたことが発覚し、その当該高校から指摘を受け、削除していたらしい。これを伝え聞いたときは、情けなく、寂しい思いにさせられた。選手が何をどう思おうが、それは勝手だ。しかし、文にして誰もが閲覧できる形にして公表してはいかんだろう。それどころか、スポーツマンたるもの、相手に対して敬意の気持ちを抱いてしかるべきだぞ。特に、高校野球はそうだ。

 勝って浮かれていたのだろう。「有頂天ホテル」になっていたのだな、きっと。その選手は深く反省すべきで、指導者の方も再度適切な教育をしてやってほしい。かく言う己も、胸に手を当てながらこのブログを書かないといかんな。人間性を否定するような書き方は、絶対したらいかん。もって他山の石とすべし。わかったか、俺よ!

よう頑張った、箕島!夏に期待

2009-03-30 20:44:00 | Weblog
 負けてしもた。でも、仕方ない。相手は今大会での「優勝候補の一角」と言われている清峰だから、負けてやむなし、と思う。それでも、秘かに「いい試合になってくれ!」と記者席から祈っていた。負けるにしても、1-3もしくは1-4、というスコアで辛抱してくれれば、名門校として格好がつく。そんな思いで、箕島対明峰戦を見ていた。柔よく剛を制す、という言葉もあるように、剛の明峰を柔の箕島が倒しても…と淡い期待を心の隅に持っていたが、これはやっぱり淡い期待に過ぎなかった。でも、仕方ない。

 やっぱり、清峰は強いよ。箕島とは実力が2枚は違う。これは決して大袈裟な表現ではない。箕島を低く見ているわけでもない。2-8というスコア以上の差を感じた。実際、今村が八回で右翼に下がったのが何よりの証拠。差がなければ、最後まで投げ通したはず。精一杯投げ込んで、3試合連続完封勝ちを収めていただろう。ところが、清峰・吉田監督は九回から今村を降ろし、控え投手をマウンドに送った。100%、この試合は勝つ、と考えたからに違いない。

 勝負事の格言に、ゲタを履くまでわからない、というのがある。野球用語で言えば、野球は九回二死から、となるが、吉田監督はすでに八回の8-0で「勝負あり!」と見ていた。だから、今村をライトに下げた。1%でも不安があるなら、最後まで今村で通したはず。温存と言っても、たかだか20球を投げる程度である。きょうの対戦ならば、それでいけたはずだ。間違っても「負けるはずがない」と踏んだから、あの継投になったと考えるが、箕島を心の中で応援するものにとっては、何とも言えないリレーであり、代わった投手から奪った2点は、少し複雑でもあった。清峰は甘い、と思った。箕島には、もう一度今村を出してやれ、と強く思った。

 松下監督、本当にご苦労さんでした。2つ勝って、よかったですな。あまり多く箕島高に足を運ぶ機会がなかったけど、一目見て甲子園で勝てるチームとは思わなかった。失礼を承知で言います。尾藤さんも「全国の高校と比較しても中の下、ぐらい。本当に普通よ」と言っていた。確かにそう思った。それが甲子園で2つ勝ち、大会ナンバー1右腕と戦えたのだから、御の字だと思っている。しかし、選手は「悔しい!」と思うべき。そうでないと、夏に勝ち上がれない。

 改めて言うが、今すぐにでも阪神は今村を獲ってほしい。中京大中京の堂林は打者としてほしい。これに花巻東・菊池を加えた3人が、今大会の「ビッグ3」だろう。いやあ、楽しい選抜取材だった。久々にルーキー当初の気分に浸れた。ええなあ、甲子園。夏も行くか。でも…無理やな。あの暑さはおっさんにはきつい。クーラーの効いた部屋で、のんびりと観戦することにしま。
 

しもた…高松宮記念予想、忘れてた!

2009-03-29 17:11:10 | Weblog
 2月のフェブラリーSに続き、今回の高松宮記念の予想もすっかり忘れてしまっていた。私の当たらないへぼ予想を外した馬券戦略を採っている方々には、本当に申し訳なかったと思う。高校野球取材、そして久々の阪神取材で、頭の中が競馬モードになっていなかった。いや、ブログで予想を書くモードになっていなかった。今回からしっかり書きます―と宣言していたのになあ。
 
 実は、馬券はささやかに買ってはいた。昨年のスプリンターズSで快勝した④スリープレスナイトから馬連総流しと、⑧ファリダットとの2頭軸総流し。今回のキーワードは、先日のWBCから「連覇」と踏んで、G1連覇がかかる④を軸にした。昨年の覇者⑩のファイングレインも有資格者ではあったが、現実的に考えれば、④を軸にするのが妥当だろうと…。

 阪神戦を京セラで見ていたため、レース結果はついさっき知った。⑬のローレルが勝ち、スリーは2着だったようだ。一応当たったが、ローレルは3番人気だから配当は安い。しかも、3連複は3着に人気薄の②が絡んで高配当。⑧はどこにもなかったようだ。“とりがみ”では、偉そうなことは言えんわな。ま、次頑張りまっさ。

 阪神、よかったね。勝って終わってホッとしました。負けていれば、暗い形でシーズンインせんといかんとこやった。ファインプレーの葛城が救ってくれました。個人的には、あのプレーで「開幕6番・右翼」もつかんだと思ってるんだが…。あとで虎番が言うには「メンチは使う」そうです。さいでっか。

 気になる高校野球は、また花巻東の菊池くんが完封した。相手の明豊は力のある打線だと思っていたが、それを完封してしまうんだから、やっぱり凄いやつだ。大会ナンバー1左腕と認定しただけある。おそらく、あれでもまだ6、7分の出来だったのだろう。清峰の今村くんといい、伸びしろは大きいと思う。彼らの前途洋々たる未来がうらやましい。

 その花巻東に早実と初出場の利府か。利府はサヨナラ勝ちだから、もう「利府旋風」って言っていいかな。さ、あすは最後の甲子園取材。箕島を応援してきまっさ。

阪神8連敗…でも箕島はベスト8だ!

2009-03-28 19:34:31 | Weblog
 また負けちった。阪神、弱いのお…。というより、勝とうとしてないんやないの?久しぶりにナマで見たんだが、何か覇気というか、活気を感じなかった。開幕直前のピリピリ感もない。まだまだキャンプ途中、という感じがしてならなかった。最後の粘りはよし、と言ってみても、あれとてオリックス内野陣のミスからもらったもの。サヨナラ負けでの8連敗は、球団史上初めてらしい。オープン戦でよかったね、とあえて笑うしかないやん。

 高校野球をしばらく見てきたせいか、プロ野球はどうも「ハツラツさ」に欠けるな。もとい。プロ野球じゃなく、阪神。負けているからそうみえる。そうみえなように、ある程度は勝たないといかん。ところが、勝てない。金本は代打で三振。メンチはさっぱり。今岡はチャンスで併殺。林は初球打ちも凡打の連続…。どないやちゅうねん!

 個々はそのうち調子上げてくると思うけど、ベンチが何を考えているのかわからん。中盤チャンスは毎回のようにあった。例えば、一死一、三塁で打者・赤星。これは三回だったかな。少なくとも1点は入るケースで内野ゴロ併殺とは…。このオープン戦、得点が少ない阪神からすれば「確実に点を取る練習」をする最高のシチュエーションだろう。ところが、そんなこともお構いなしに打たせて最悪の併殺。そらないで!

 オープン戦だから大目に見られるが、公式戦なら大バッシングものだよ。まあ、さんざん負けたらいい。オープン戦の連敗はカウントされないんだし…。最後も負けてもいい。それで空気がガラッと変わってくれればいい。そう思いたい。

 そんな京セラドームより、このおっさん記者は甲子園が気になって仕方がなかった。清峰・今村くんは「すごい!」の一言。PLの中野くんに延長10回表一死までノーヒットに抑えられながら、勝った南陽工も立派だ。しかし、俺は箕島のベスト8進出に心から「バンザイ!」を叫びたいのだ。よくやった!劣勢が伝えられていたのに、耐えてしのいで勝ってくれた。我が母校じゃないが、ここまでくればもう母校同然だ。ベスト8、おめでとう!

 帰宅して夕飯を食べていたら、下の息子がふいにこんなことを言ってきた。「メンチが阪神におったら嫌!打てへんから」。オッと…そう来るか!しかし我が息子よ、まだ公式戦は始まってもおらんのだ。そこをわかってやれよ。と言っても無理かな、5歳の保育園児なんだから…。

WBC、センバツに気を奪われている間に…

2009-03-27 15:05:56 | Weblog
 そろそろ疲れが出てきた感じがする。長年のプロ野球取材に慣れた体が、6日間連続の「5時半起き」に悲鳴を上げている。だんだん歳を取ってくると、朝早く起きること自体は大したことじゃない。ただ、続くとやっぱり辛い。しかも、甲子園が寒いので、余計にこたえる。別に愚痴をこぼすわけではないのだが、これしきのことでガタがきている自分自身を嘆くのだ。いわゆる「髀肉の嘆」ってやつかな。違うか。

 世の中がWBCで盛り上がり、今、甲子園で高校球児たちの熱闘が続いているのに隠れていたが、プロ野球のオープン戦も終盤に差しかかってきた。ふと気がつくと、阪神は負けてばっかりではないか。広島3連戦に勝てず、博多でのソフトバンク3連戦でも全部負け。金本が戻り、新井も合流したというのに、一向に打線は上昇してこない。一体どないなっとんのか?

 記録を見る限り、ずっと2ケタ安打がない。1試合平均6、7本では得点だって限られている。それでもホームランが出ているのならいいが、それもない。新聞を大きく飾るのは大抵先発投手で、野手の原稿はさっぱり。寂しい限りだ。

 あす、あさってのオリックス戦を京セラドームに見にいくが、そのあたりをしっかりとチェックしたいと思っている。もう来週には公式戦が開幕する。ムードだけを言えば「さっぱり」で、何の期待感も抱かせない。本当に不安だ。こんな感覚はここ数年なかったもの。始まる前からこういうのもなんだが、何か「起爆剤」がほしい。そう思っている俺は心配性なのかな?

 

「ザット・イズ・高校野球」だ!

2009-03-26 14:57:45 | Weblog
 完封吹きすさぶ甲子園球場。下着を含め3枚着込み、その上に厚手のジャンバーをはおった上に分厚いベンチコートまで着て記者席に座った。それでも寒い。一時の暖かさを思えば、まさに天国と地獄。陽が当たらず、風の通り道になっている甲子園の記者席は、いつもこうなのだから、今さら言っても始まらないのだが…。

 ガタガタ震えながら見たこの日の第1試合。これは想像以上に面白かった。富山商対興南。雑誌を見れば、興南のエース・島袋くんは大会ナンバー1の防御率を誇る、と出ていた。身長は171センチ。試合前取材のとき、チラッと彼の顔を見たのだが、実に凛々しかった。沖縄独特の“濃さ”がなく、端正さが目に付いた。もう少し上背があれば、もっと注目されただろう…。そう思いつつ、試合に入ったのだが、これがまた素晴らしかった。

 きのうの花巻東・菊池くんとはまた違ったタイプで、“プチトルネード”のようなフォームから生きの良いボールをポンポン投げる。彼もまた制球力が抜群。速球は最速142㌔でも、キレがいいから富山の各打者は捕らえきれない。そして鋭く曲がり落ちるスライダー。春はこの手の左腕が大活躍するのが相場だが、御多分に漏れなかった。

 初回先頭打者から5者連続三振。これを見た瞬間、高校野球キャップの岡本に「これは16個はいくぞ」と言うと、あいつは「僕は17個ですね。もっといくかもしれないですよ」ときた。過去の経験上、それに近い数字になることは間違いないと思った。だが、その予感は、見事に外れた。予感以上の数字を、2年生左腕・島袋くんが叩き出したからだ。

 延長10回を毎回三振。しかも全員から奪った。その数何と19個。明峰・今村、花巻東・菊池両投手を、小さなトルネード左腕があっさり越してしまった。しかし、それでも勝てないのが高校野球。延長10回表、自らの失策から痛恨の決勝打を浴びてしまう。あんな悲劇的な結末もない。どんなに好投、快投を続けていても、少しのミスが命取りになる。野球の難しさを感じたのだが、それと同時に、三振の山を築いてもあきめなかった富山商の粘りには、本当に敬服させられた。

 興南の監督さんも、彼を責めなかった。そらそうだ。全く経験したこともない寒さの中での投球で、しかも延長戦に入るまでは歴史に名を刻むかもしれない快投を見せていたのだ。ある社のベテラン記者は試合後、島袋くんに球数の多さがどうこうということを聞いていたが、それがどうしたと言うのだ。150球を越える投球数が、最後に影響したとでも言いたいのか…。興冷めな質問を左から右にスルーしながら、彼の顔を見た。実に淡々と、まじめに答えていた。

 まだ2年生の彼が、夏にどんな姿を見せてくれるのだろう。上背はそう伸びることもないだろうが、体つきは身の入った、バランスのいいものになっているはずだ。本当に楽しみ。次の試合の勝者・早実の小野田くんも、まだ2年生。彼もいい素材だ。こうして見てみると、日本の野球界は前途洋々のように思えてくる。4年後のWBCが、何だか待ち遠しくなってくる。

「虎の恋人」菊池に、ビックリだ!

2009-03-25 16:17:45 | Weblog
 いやあ、胸がドキドキした。おっさん記者を時めかせたのは、阪神が今秋のドラフトで1位指名しようとしている花巻東の左腕・菊池。ナマで見たのは初めてだったが、評判通りの大物だった。先日の清峰・今村が今大会ナンバー1右腕なら、こっちは間違いなくナンバー1左腕。いや、全体を通じても“ナンバー腕”だろう。

 試合前に設けられている15分間の取材では、若い監督さんに話を聞いた。その後ろで、菊池が大勢の記者に囲まれて話していた。終わり際、チラッと彼を見たのだが、顔付きはフィギュアスケートの織田信成のよう。全体的な雰囲気だけをみれば、茫洋としていて捕まえどころがない、って感じだった。ところが、グラウンドに出てきてキャッチボールする姿を見て、驚いた。ムードがまるで違うのだ。

 ベンチ前でウォーミングアップするのを遠目から見ただけだが、大物の雰囲気がムンムン漂っていた。これは凄いぞ―。マウンドに上がる前からそう思った。かの近鉄の大エース・鈴木啓示さんにも似ている。菊池君を知らない方は、鈴木さんの投球フォームを思い浮かべてほしい。そして、試合が始まり、さらに驚いた。

 7回二死までパーフェクト。あの強打の鵡川打線を苦もなくひねるのだ。速球も見事だったが、それ以上に右打者の膝元に曲がり落ちるスライダーのコントロールが抜群だった。あれはプロでも簡単に打てない。見逃してもストライクになるのだから、すごい。八回二死から四球を与え、夢のパーフェクトを逃すも、それまでは本当に完ぺきだった。

 詳細は、あすのデイリースポーツをじっくりと読んでほしい。この後の試合で彼がどんな投球をするか。ミスなんかであっさりと散る可能性もあるが、素材は間違いなく一級品。いや「超」の字をつけてもいい。育て方さえ間違わなければ、早い時期にプロを代表する左腕になるだろう。これって…今村のときも書いたっけな?

 まあそれはどうでもいい。いやあ、ナマで彼の姿を見て、高校野球を取材に来てよかったよ。「早起きは三文の得」というが、まさにその通りだな。それはそうと、菊池を狙っている虎さんチームは一体どうなっとんのかな。新聞によれば、博多でのんびりやっているようだけど…。これからナイターか。ボチボチ勢いをつけてもらわんことには、菊池くんも振り向いてくれないよ。

 

おめでとう、侍ジャパン!そして箕島ナイン!

2009-03-24 18:00:17 | Weblog
 甲子園でのセンバツ3日目が終わり、阪神園芸の職員が丁寧にグラウンドを整備するのを正面に見ながら、このブログを執筆している。腰が痛い。だが、心地いい痛さだ。いいものを見た。記者席に据えられているテレビでWBC決勝戦を、そして目の前で贔屓にしてきた箕島の復活劇を。よかった。本当によかった。

 高校球児たちには悪いが、関心の半分は海の向こうにあった。侍たちの最後の相手は宿敵・韓国。何も彼の国に恨みがあるわけではないが、それでもこの前のような事をされると、どうしても「あそこだけには勝ってくれ‼」となるのが人情、ってもんだ。それが、決勝戦なら余計だ。グラウンドを見つつ、テレビもチラチラと見た。序盤の拙攻に歯がみしつつ、最後のイチローの決勝適時打には大きな声を出した。大会連覇、おめでとう。よくやった!

 原監督は絶賛されてしかるべきだと思う。プライド高いメジャーリーガーを見事に操縦し、各球団のトップ選手をよくまとめた。実際はまとめてないのかもしれないが、結果が出たのだから、まとめたと総括していい。北京で誰かさんが失敗し、嫌な役目を押しつけられた格好なのに、一言の愚痴もいわず(言えないか)、淡々と仕事をした。やっぱり原さんは「運」を持っている。今回、改めてそれを思った。

 イチローにも賛辞を送らざるをえんだろう。あの延長10回の決勝打は、イチローでしか打てなかった。追い込れながらファウルで粘り、最後にヒットにできる球を放らせた。そして確実にヒットした。あそこまで粘れるのがイチローであり、だからこそ、長年日本で、メジャーで活躍ができたのだ。いいところをかっさらっていった…とも思うが、それは言うまい。ただ、彼と勝負してくれた韓国ベンチは何を考えていたのか、とは思うけどね。

 そして、甲子園の箕島だ。これは心からよかった。あすのデイリースポーツにも書いたのだが、猛烈に感動した。尾藤さんも泣き、松下監督も泣いていたが、俺も泣いた。他の記者に見られないように、隠れて泣いた。松下さん、よかったですな。次も頑張って下さいよ。「マルキ」の大将、応援ご苦労さんでした。次の試合は取材できませんが、また箕島へ行きますわ。

祝決勝進出、そしてビバ甲子園!

2009-03-23 21:59:12 | Weblog
 甲子園の記者席に設置したテレビが、WBC米国戦を映し出していた。グラウンドでは、清峰のエース・今村が快投を演じている。テレビをチラリ。グラウンドをチラチラ。どっちも気になるし、どっちも逐一チェックしたい。しかし、比重は今村の方に置かないといけないから、全投球を脳裏に刻みつける。大変だ。しかし、心地いい。眠い。だが、この眠さもまた心地いい。

 侍たちは、見事に野球発祥地の米国を打ち破った。拍子抜けがするほどの大差で破った。長年、米国の野球を手本にしてきた日本にすれば、快挙の一言だが、こっちは米国の不甲斐なさの方が目につく。ケガなどで多くのメジャーリーガーが不参加となり、本大会に入ってもケガ人が続出した。だが、どうなんだろう。それは、関係ないし、いい訳にはできないんじゃないか。この大会の言い出しっぺは彼の国なのだし、実際に試合が行われているのも彼の地。それが、ベスト4まで入ったとはいえ、日本にあっさり負けてしまうのだから、拍子抜けもいいとこだ。

 どうせ、彼らは何やかやと言い訳して、この不本意な成績について語るのだろう。MBLのシーズンがどうだとか、もうたいがいにしてほしい。負けは負けなのだ。屈辱は屈辱で、しっかり認めるべきだ。メジャーといっても、所詮他地域の人間が寄り集まってできたリーグ。米国そのものじゃない。今回の大会で、それがはっきりしたのではないか。

 いよいよ決勝戦だ。侍たちは、2月15日の合宿招集からここまでよく戦ってきた。これは賞賛に値する。最後は悔いのない戦いをしてほしい。たとえ負けて、韓国の国旗が再びマウンドに立てられようとも、俺は「よくやった!」と言う。韓国もよく戦っている。日韓のレベルがここまで来たという証明をしたのだから、どちらも称えたい。

 で、高校野球だ。大会初日は大変な1日になった。報徳が勝ち、今村の力投で清峰が勝った。最後は福知山成美が延長15回の末に激闘を制した。報徳の和田は、阪神・和田打撃コーチのご子息。彼はいい働きをした。スタンドで見ていた親父さんもうれしそうだったな。そして、清峰の今村。前日のブログで書いたように、素晴らしい結果を出した。まだフラフラしていたが、素材はやっぱりピカ一。そして最後の福知山。エース・長岡が、頭痛と両足けいれんでドクターストップというアクシデントにもかかわらず、引き分け寸前の15回に勝ち越し、激勝した。いずれもいい試合だった。

 朝7時20分に甲子園に到着し、仕事が終わったのは午後6時すぎ。長い長い1日が終わった。若い連中はこれよりもまだ長い時間、球場にいたはずだ。あすもWBC決勝戦を横目に、若人たちの真剣勝負を見る。野球って面白いな。これを実感した1日であり、再度それを実感する。頑張れ、侍たち。頑張れ、若人たち。

清峰の右腕、いいでっせ!

2009-03-22 17:08:26 | Weblog
 阪神が遠征の出掛けているので、センバツ取材班に加わった。その初日がきょうだったのだが、いきなりの大雨。通信社の大先輩に「君が雨を連れてきたんか?」と苦笑まじりに言われてしまった。はい、その通りです。前日の好天気が嘘のような雨で、センバツ2日目の3試合はすべて中止。23日に順延となった。

 午前8時前に甲子園球場に到着、さっそく6校すべての練習を見た。というより、のぞいた、という表現が妥当か。その中で目を見張ったのが、優勝候補の一角と呼び声が高い長崎・清峰の今村投手。室内練習場での投球を見て、すごい雰囲気を感じた。大物が発する独特のオーラ、と言うべきか。身長は183㌢と無茶苦茶大きくはないが、マウンドに立つ姿は「そびえている」という感じ。現日本ハム・中田も同じ雰囲気を醸し出していたが、こっちの方がバランスがいい。

 何が一番いいかと言えば、彼の太ももの「張り」だ。その太ももからお尻にかけてのラインは、一流投手のそれに近い。高校3年春の時点であれだから、今後が本当に楽しみ。プロに入ってもすぐに出てくると思う。どの球団に入っても、そう遠くない将来、必ず主力級になっていることだろう。

 あすの第2試合で、この今村が見られる。対する新潟・日本文理打線がどう攻略するかも興味深い。日本文理の大井監督には、2年前に連載取材でお世話になった。ユニークな方で、選手たちの人望も厚い。昨年秋、最愛の奥さんを亡くしたというが、この春も元気に甲子園にやってきた。心情的には、文理を応援したい。

 さ、そしてWBCの侍ジャパン。宿敵韓国がベネズエラに思わぬ大勝をし、先に決勝進出を決めた。5度目の日韓対決に進むためにも、あすの米国戦は是が非でも負けられない。ただ、俺はちょっぴり不安なんだな。松坂、ダルビッシュの気合が空回りしなければいいが…。それに相手は開催国で、地元の声援もすごいはず。そんなプレッシャーに打ち勝つことができるか。甲子園で球児たちを追いつつ、ジャパン勝利を祈念したい。