中村正直の「頑張れプロ野球」

ベテラン野球記者の本音ブログです。

東浜くん、やっぱりいいなあ

2008-03-31 19:51:41 | Weblog
 阪神は広島に移動した。開幕3連勝で、気分よくナイター練習。去年苦汁を飲ま

された相手に対し、褌をのひも締めて練習したことと思う。思う、と書いたのは、

実際この目でナイター練習を見ていないから。寒いあの広島球場で、少々背を丸め

ながら汗を書いたのではないか。当日移動のこっちは、その状況を想像するしかな

い。おそらく、練習後は「お好み村」で英気を養うことだろう。自分だったら、必

ずそうする。
 
 大阪に居残ったこっちは、ゆっくりと高校野球を見ることができた。雨の影響で

1試合だけ残った3回戦の沖縄尚学対明徳義塾の一戦。沖縄のエース・東浜が渋太

い明徳打線を1点に抑え、準々決勝に駒を進めた。この東浜。2回戦で実際に取材

し、目の前で彼の表情や話し方を見た。まだ17歳だが、実に気持ちがいい青年だ

った。クリクリッとした目。ハキハキとして質問の答え方。その答え方もよどみが

ない。線の細さが目に付いたが、それでも「野球センス」の方がはるかに線の細さ

を上回った。顔だけをみれば、まだ中学生です、と言っても不思議でない。身体が

181センチなのでその、中学生です、は通用しないだろうが…。

 柔らかなフォームから繰り出されるキレのある速球。腕のしなりがすごいから、

変化球も切れる。間違いなく、投手が目立ったこの大会の中でもトップクラスだろ

う。将来性は本当に高い。この手のタイプは、体重を増やさなくても充分にプロで

もやれる。「線が細いから」という理由で、ドラフトの上位に挙げないという球団

があれば、それは違うぞ、と言ってやりたい。

 この話はここで一旦置く。いきなりですが、すんません。深く頭を下げます。阪

神の開幕試合のブログの中で、平野の犠飛を処理した横浜の左翼手を「佐伯」と書

いたことを、心からお詫びします。本当は「おぜき」でした。あれだけ「油断大敵

先入観は悪」と書いていながら、その先入観で「肩の弱い=佐伯」と思い込んでい

た。佐伯は一塁を守っていたのに…。会社の上司から指摘を受けるまでわからなか

ったとは、いやはや情けない。

 褌のひもを締め直し、広島へ向かおう。

マジ、つえぇぞ、阪神!

2008-03-30 18:33:45 | Weblog
 と、若者ちっくなタイトルにしてみた。別に江戸っ子でもなんでもない。ただの

関西に住む、近隣の田舎県から来たおやじ記者ではあるが、そんな表記をしたくな

った。横浜相手に開幕3連戦3連勝。とくにこの試合は、阪神の強さだけが際立っ

ていた。初回赤星、平野のヒットエンドランに始まり、三回の赤星二塁打から平野

犠打、そして金本犠飛とつながる攻撃、さらに四回は二死走者なしから、またまた

赤星、平野と連続四死球で出塁して何と重盗。畳み掛けるように新井適時打とまあ

やりたい放題で7点を奪った。昨年では見ることできない攻撃パターンに、思わず

「こりゃ強い」とうなった次第だ。

 1番から6番まで切れ目なくつながるから、どうしても7番がしょうもなく映っ

てしまう。そう、いまだにヒットの出ないルー君。彼が凡打すると、球場が何だか

シラ~ッとなるんだけど、いいじゃないか。勝ってるんだし…。何も3番や4番で

起用しているわけでもなく、これが今後も続くようなら、スパッと葛城か桜井に代

えたらいいだけ。そうそ、桧山もいる。「そんな助っ人なんかいらんよ!」と目く

じら立てて怒る時期でもないし、気長に見てやったらいい。誰も爆発的な活躍なん

て望んでないでしょ、彼には。

 快進撃の阪神をよそに、東では巨人がヤクルトに3たてを食らったそうな。どん

な負けっぷりだったのか興味津々だけど、やっぱり「開幕投手・高橋尚」の影響が

大きい感じする。誰が考えたって、開幕投手はエースの上原だろう。彼で負けたと

しても、ファンは納得するし、選手や首脳陣もあきらめがつく。高橋尚が上原をは

るかに上回る調子のよさで、みんなが「あいつしかいない」と認めていたら話は別

だ。そうじゃなかっただろう。上原は次の中日戦の初戦にとっておいたというが、

それは愚策にすぎる。ヤクルト戦3連敗は、巨人の奢(おご)りからきたものだと

推測している。

 まあいい。巨人はしばらく眠ってなさい。目覚めたらまたムクムクと頭をもたげ

てくるんだから。こっちはそのときに備えてしっかり貯金作りに励まないとね。次
 
は広島戦。実は敵地でのこのカード、少々気味の悪さを感じている。勢いでいくの

ではなくて、きっちりとした野球をしてかからないと。

 そして高校野球。我が郷土の宇治山田商は、隣県の代表・智弁和歌山に惜しくも

屈した。だが、その戦いぶりは立派の一語。胸を張って伊勢に戻ればいい。よくや

った!ひとりの県民として、彼らを褒めてやりたい。

関本、藤本の立場

2008-03-29 18:49:47 | Weblog
 阪神連勝。金本がまた打ち、岩田がプロ初勝利。トラファンにとっては最高じゃ

ないか。長いこと阪神の取材をしてきているけど、開幕連勝などお目にかかったこ

とない。04年当時はプロ野球のデスクとして内勤していたんで、連勝はおろか、

前夜の開幕白星でさえ初めてのこと。なんだか、キツネにつままれた感じすらす

る。大学唯一の後輩(向こうは先輩などと思ってない。というか顔も知らんか

な…)の岩田の初勝利。金本ではないが「毎回冷や冷やしながら」見ていたけど、

ようやく勝ってくれた。村山実から受け継がれた“関大魂”を、これからもどんど

んマウンドで見せておくれよ。

 個人的な感想はそれくらいにして、今回のテーマに移る。関本と藤本の話だ。こ

の2連戦、2番・セカンドでスタメン起用された平野の渋い働きが目についた。1

番・赤星とのコンビもやはりいい。相手に与える「嫌らし度」が違う。それに、終

盤はフォードの守備固めとして右翼で使えるという利点もあり、これはもう動かし

難い。となると、微妙になってくるのが、関本と藤本の立場である。

 2人とも、終盤の守備固めで起用されてはいるのだが、打撃でのチャンスに恵ま

れない。藤本は1度打席立ったが、関本はまだない。この感じで起用されていくと

なると、打席数は昨年から激減するだろう。そこでどう自分の打撃を維持していく

か。守備での活躍などたかがしれている。打撃で目立ってこそ、平野との差が縮め

られる。そう考えると、彼らは素直にこの連勝を喜んではいられない。

 ある意味、死活問題でも言える。新戦力の加入により、押し出されたものが去っ

ていくのは世の常。だが、彼らは岡田阪神にとって、今もなくてはならない“パー

ツ”である。その狭間でどれだけ踏ん張るか。己を主張することができるか。この

おっさん記者は、数少ない出番の中で、彼らの強烈な“主張”を見たいのだ。平野

を押しのけるほど強烈なものを。

 2人のファンはさぞ歯がみしていることだろうが、この苦境を抜けるも抜けない

も彼ら次第。プロ野球は、弱肉強食の世界だ。仲良し集団の野球ではない。彼らが

目の色を変えて球に食らい付けば、チームはさらに競争が激化し、いい方向に進

む。これは間違いない。

 高校野球も依然として熱戦が続いている。野球は面白い。今、それをかみしめて

いる。

祝!虎、開幕戦勝利

2008-03-28 22:59:24 | Weblog
 今、興奮が収まった京セラドームの記者席にいる。つい1時間ちょっと前、お立

ち台に金本と今岡が立っていた。金本の表情は「ようやく帰ってきた」という、長

年一人旅を続け、ようやく故郷に戻ってきたような安堵感が溢れていた。それだけ

去年オフにした左ヒザの手術が、彼にとっていろんな意味で大変だったのだろう。

お立ち台で「ファンの皆様~」と言ったときには、記者席で見ているこっちも何だ

か胸が詰まった感じになった。それにしても、金本のあの同点三塁打は見事だった

なあ。二塁走者・平野を追い越しそうになった一塁走者・新井の激走にもビックリ

したが、爆弾ヒザなどものともしないアニキの三塁打には、心打たれるものがあっ

た。これは事実だ。

 まあ、よく勝ったことよ。二回以降の安藤を見ていたら、いつ試合が崩れてもお

かしくなかった。序盤で大量失点→そのまま大敗、のパターンも頭をよぎった。そ

れほど、安藤の具合が途中からおかしくなった。二、四回に一打食らっていたら、

地獄行きだっただろう。決定打に欠いた横浜の攻めにも問題があった。助けられた

感が強い。開幕は安藤と早い段階で思っていたが、あのレッドソックスとの試合が

気がかりではあった。あんな試合に先発し、打たれたことで、変なマイナスイメー

ジを持たなければいいが…と心配していたら、案の定。きょうのピッチングでは、

たとえ勝ち投手とはいえ、次への大きな期待を抱けない。

 ぼやくのは、ここまでにして、いい面を書いてみようか。五回の代打・葛城の左

翼線適時打から奪った4点目は、なかなか渋いものだった。無死の走者を赤星が犠

打で送り、一死三塁。ここで2番・平野の打球は左翼への比較的浅いフライ。隣り

に座っていた本紙評論家の正田耕三氏が「葛城、行け!」と叫んでいたが、ちょっ

とどうかな、と思った。しかし、葛城は突っ込んだ。三塁コーチャーの・和田コー

チの判断がよかった。左翼・佐伯の肩と葛城の足をてんびんにかけ、瞬時にゴーの

決断をした。あの1点がなかったら、試合展開はどうなっていたかわからない。

 阪神はよかった。逆に横浜は辛い負けになった。ただでさえ、先発陣が手薄なチ

ーム状況。打線も去年と変わり映えしない。「頑張れプロ野球!」というブログを

書いているものには、横浜も頑張ってほしいんだけど…。ま、きょうのところは金

本と今岡を素直に祝し、阪神の勝利を祝しましょう。

桑田の引退、松井の結婚

2008-03-27 17:22:54 | Weblog
 ついに桑田も引退、か。テレビのインタビューと、自身のブログで引退を発表す

るあたり、実に彼らしい。新聞記者にはかぎつけられないように、至極公平に進退

を公表した。我々紙媒体の人間からすれば「1社抜き」のスクープが望ましいのだ

が…。何にしろ「ようやく次のステップに踏み出す決心がついたか」というのが彼

を少しでも近くで取材してきたものの実感だ。

 こんなことを書くと叱れるだろうが、日本球界を去るかなり前から、彼自身の力

ははっきり衰えていた。巨人の最後などもう哀れなもの。それを、メジャー挑戦と

いうベールをまとうことで覆い隠したに過ぎない。海の向こうでの結果など、やる

前から明らかだった。それは桑田本人が百も承知だったはず。「夢をあきらめな

い」という甘美な言葉だけが先歩きし、今日を迎えたのである。メジャーに渡った

本当の理由を、ある球界関係者から聞いたことがあるが、それは書くまい。桑田に

は「お疲れさん」とだけを言おう。

 そして、松井の結婚である。よかったなあ、松ちゃん。こう親しげに書くのはお

こがましいが、18歳の頃から彼を取材してきたおっさん記者にすれば、そう言っ

て祝福してやりたい。しかも、相手がごく普通のOLさんだというのが彼らしくてい

い。芸能人やアナウンサーなんかだったら…と考えたこともあったが、彼の性格か

らすると、とてもついていけまい。どっちもがね。

 32歳での結婚か。一番いい頃じゃないか。これで石川・能美のご両親もホッと

したことだろう。あとは一刻も早く孫を見せてあげること。野球と同時に子作りに

も励みなさい。目の前にヤツがいたら、大きな声で言ってやるのになあ。「ほっと

いてよ‼」と言われるのがオチだが、それでも言いたい。小姑みたいにな。

 桑田に松井。両方ともよかった。桑田も新たな人生の一歩を踏み出し、松井も心

機一転してシーズンに臨める。そうそ、結婚式に呼んでくれるのかなあ?それはな

いわな。だったらここでもう一回言っておこう。松ちゃん、本当におめでとう!彼

女を幸せにしてやってちょうだい。

油断大敵、先入観は悪

2008-03-26 18:46:32 | Weblog
 ついに今回の「甲子園リポート」も最終回であります。その前にお詫びと訂正

を。前日のブログ中に「大会5日目」と表記したのだが、実は「4日目」の誤り

でした。「何をええ加減なこと書いとんじゃ‼」とお怒りの各位には、深々とこの

頭を下げましょう。どうも頭の中に「5日目やろう」という思い込みがありまし

て、ついそう書いてしまった。いけませんな。昔々、阪神の監督をしておられた名

言好きのあの方(今は寒い仙台のチームを率いている)が「先入観、思い込みは悪

や」とぼやいていた、いや、おっしゃっていたのが思い出される。

 しかし、甲子園は寒い。以前にも書いたことがあるが、この時期の甲子園記者席

は、春の陽気でも風が吹いたら本当に寒い。この日がまさにそう。なのに、ポカポ

カ陽気です…てな天気予報にコロリとだまされ、厚手のジャンパーだけでいいか、

と防寒対策をせずに来てしまった。やっぱりあかん。震えた。第1試合はまだよか

ったが、第2、第3と進むにつれて足下から冷えだし、このブログを書いているこ

ろ(午後6時半です)はもう極限状態。指も痛いし、鼻水も…。油断大敵、とはま

さにこのことだろう。

 油断大敵といえば、第2試合の「慶應義塾対華陵」がピタリとあてはまる。誰し

もが「慶應の楽勝じゃん」と思ったのではなかろうか。昨秋の関東大会準Vで、評

判の2投手を擁した強豪校。相手は21世紀枠で選ばれた中国大会ベスト4のチー

ム。広島県勢が1校も選ばれてない中での山口県の高校だから、注目度としては低

かった(少なくとも自分の中では)。おそらく、慶應ベンチも「与しやすし」と思

っていたのではなかろうか。実際、序盤からチャンスの連続だったのだ。先取点は

許したものの、いつでも大量得点、といった感じの波状攻撃を続けていた。ところ

が、なぜか点が入らないのだ。5回を終わって9残塁の拙攻をみたとき「あ、こら

最悪のパターンにはまるな」と感じた。プロ野球でもよくあるパターン。取れると

きに取らないと、たとえ相手が格下であったとしても、そのままうっちゃられるこ

とになる。番狂わせは、こういうときによく起きる。

 慶應・上田監督は試合後「私の采配ミスもあった」と素直に認めた。そこには、

油断なく慎重に事を進めていれば…という自責の念が見えた。一見、穏やかな表情

だったが、内心は悔しさでいっぱいだっただろう。「野球の怖さ」とも言っていた

が、それがわかっていれば、何とかなっていたと思う。やはり、油断大敵、先入観

は悪、なのだ。とまあ、ここまで書いてきて、寒さがさらに増してきた。球場を整

備する音もうるさい。なので、これで終わりにする。

 勝ち残った高校球児たちよ、これからも頑張ってちょうだい。負けて去った高校

球児たちよ、夏はもうそこに来ている。グッドラックだ‼(誰かのマネです)。

野球の怖さ、恐ろしさ

2008-03-25 19:22:36 | Weblog
 メジャーリーグ開幕戦が東京ドームであろうと、パ・リーグの試合がいくら白熱

しようと、こっちは前日に引き続き「高校野球リポート」なのであります。センバ

ツ大会5日目。うららかな晴天の下で行われた激戦を、この日も3試合見た(とい

っても第1試合の途中からであるけどね)。東洋大姫路のエース・佐藤が前評判高

かったけど、見た目は「まあまあかな」という程度。確かに、ピッチングはうまい

なという印象は受けたが、即プロでどうこうという感じじゃない。これから夏にか

けてどの程度成長するか、というところだろう。

 しかし、表題に書いたように「野球は怖いな」と実感させられたのが、第3試合

の智弁和歌山対丸子修学館。智弁圧勝か、という試合展開で進みながら、ダメ押し

が奪えず、逆に丸子が大反撃する。4番の子が力強く左翼ポールにぶち当てる一発

を放つと、そこからもう押せ押せ。あっと言う間に4点を奪って逆転してしまっ

た。このときは、さしもの名将・高嶋監督も慌てたに違いない。試合後、その辺を

聞いてみると「あの回(七回裏)から先発投手を代えようと思ってたんですわ。で

もあの子が“完投する”という感じでいたから続投させたんですが…」とのこと。

その温情が裏目に出たのだが、ここから甲子園は急旋回で動き出す。

 八回表、逆転した丸子が先発投手を左翼に入れ、2番手投手をつぎ込んだ。守り

に入ったのかどうなのか…。危なくなったら左翼に入れた先発投手をもう一度戻そ

うと考えたのかもしれない。ところが、ここでアクシデントが起きる。その左翼

に入った子と、遊撃手が打球処理を巡って衝突してしまい、2人とも担架で運ばれ

て退場してしまった。このときの中断時間が10分以上あっただろうか。丸子の2

番手投手も心配そうにその状況を見つつ、試合再開を待っていた。だが、このとき

悪魔が忍び寄っていたと思う。高嶋監督は「この間合いがうちにプラスに働いた感

じですね」と言っている。

 少しの“間”で野球は急変する。逆転した丸子の勢いはあれで削がれ、逆転を許

した智弁に勢いを出させた。丸子の監督さんも、後悔したのではないか。あの継投

をしなければ…と。それにしても、球児たちの野球は本当にドラマがある。

清々しかった興譲館ナイン

2008-03-24 19:57:35 | Weblog
 このブログのタイトルは一応「頑張れプロ野球」なんだけど、この3日間は「頑

張れ高校野球」に変更させていただく。というのも、プロ野球セ・リーグ開幕まで

若干の時間的余裕があるため、センバツ取材班の助っ人を買って出た(志願した)

から。球児たちの若いエキスを吸い取り、元気をもらおうということで、甲子園に

行ってきた。この日は大会3日目。世間的な注目でいうと、昨年の覇者・常葉菊川

(静岡)が初戦でどんな戦いをするか、だったと思う。結果から先に言うと、常葉

は苦しい戦いだったが、順当に1回戦を突破した。形的には接戦ではあったけど、

このおっさん記者から見れば、危なげのない完勝だったように思う。ただし、V候

補にあるまじき守備の綻びは見せていたが…。

 その第1試合より、第2試合目の方がいろいろ感じるところがあった。千葉経大

付(千葉)対興譲館(岡山)の一戦で、千葉経大付の本格的右腕・斎藤が13奪三

振で完封勝ちを収めたのだが、勝った千葉よりも負けた興譲館のナインの姿に一種

の清々しさを覚えたのである。レベル的には、千葉の方が3枚上だっただろう。エ

ース斎藤の速球は最速で144㌔。その上にスライダー、ツーシームなどを駆使し

て快調に三振を積み重ねていくのに対し、興譲館の打線は後半こそ単発の安打を出

したが得点できずじまい。ただ、彼らは凡打でも懸命に走っていた。一塁へ、そし

てベンチへ。悔しさを胸にたたんで、全力疾走でベンチ前まで帰り、次の打者に大

きな声をかける。攻守交代も全力疾走。試合前のインタビューで、この大会を最後

に退く監督が「当たり前のことを当たり前にやるだけ。前日のミーティングで“ひ

たひた”と地味にやろう」と言った言葉が実に印象的だった。目立った選手が1人

もいない、まさに地味なチーム。プロ野球の目線からすれば、特にどうということ

のないチームなのだが(関係者の方、失礼‼)、その姿勢は高校野球の原点なので

はないだろうか。

 高校野球は「教育の一環」であって「プロへのステップ」ではない。そんな選手

もいるのだが、多くは前者であろう。ある解説者が「甲子園は楽しむ場所ではない

」と言っていたけど、別にいいじゃないの。苦しい練習をして厳しい戦いを勝ち抜

いてようやく選抜されて甲子園に来たのだから、結果は抜きにして楽しんだらい

い。0-3の完封負け。「勝利」だけが目標のチームなら、泣きたいほど悲しいだ

ろうが、興譲館のナインはそうじゃないと思う。甲子園での高校野球をナマで見て

心のアカが少し取れた気がする。そう、気がね。

金本に関する不安

2008-03-23 22:31:19 | Weblog
 実は連休中なのであります。したがって、前日に書いたように、東京ドームでの

阪神対メジャー戦はナマで見ていないのです。しかし、気になるからテレビの中継

を録画しておき、後でチェックするつもりでいたのだが、先に結果を知ってしまっ

たせいか、今一つ見る気にならず、夜も遅い今(午後10時を回ったところ)で確

認のため見ている。「中継時間帯に見ないのか」とご指摘のみなさん、でもね、そ

れでも生放送じゃないんですよ。録画なんだから、その時間帯に見たところで、ナ

マじゃないわけだから、あとで見たって同じなわけ。

 2―10ですか。福原が打たれ、ジェフが派手に炎上したみたいですな。開幕ま

での実戦はこれが最後。なのに、えらい大差で負けてしまった。福原はまだしも、

ジェフの炎上は余分。開幕に響くとは思わないけど、後味が悪いのは間違いない。

ただ、心配なのは投手陣ではなく、4番の金本である。この日の試合を全部見たわ

けではないが、復帰してからの打撃はやはり本調子にはほど遠い。というか、まだ

全く「できてない」と言ったほうがいいか。明らかに「打ち込み不足」の感が否め

ないのだ。あれだけの打者でも、生身の投手が投じる「生きた球」を打ってない

と、やはり感覚をつかめないのだろう。実戦不足がもろにでている感じがしてなら

ない。

 ただ、昨年と違うのは「故障したて」と「故障あがり」という点。去年は開幕直

前にふくらはぎ(だったかな?)を痛めて満身創痍(そうい)の状態だったのだ

が、今年はオフに手術をして不安を取り除いた形で今に至っている。結果は出てな

いが、金本の気持ちからすれば、断然今年の方がいいはずだ。ただ、結果として形

に出ないので、焦りが生じる。今はそんな感じじゃないだろうか。

 金本は「鉄人」である。みんながそう思っている。でも、その鉄人は今年何歳に

なるのか。わかっていても、誰も実感がない。そこが一番怖いところだ。金本だx

って歳をとれば、肉体に衰えがくる。当たり前のことだ。懸命な努力によって、衰

えを遅らせているだけにすぎない。もう進化などありえない。そこをちゃんと分か

って見てやらないと、金本もしんどいし、見るこちらも辛い。

 2000本安打、400本塁打は今年達成する。それを達成すれば、岡田監督は

金本に対する考え方を見直したらいい。というか、そうするだろう。「金本あり

き」からの脱却。今年はそれが阪神のテーマになるかもしれない。

高校野球、パ・リーグ、そしてメジャー

2008-03-22 23:22:03 | Weblog
 土曜日の日本スポーツ界は、色取り取り、実に賑やかでした。春の選抜高校野球

が開幕し、プロ野球のパ・リーグは祝日の木曜日に続く開幕第2戦。東京ドームで

は来日しているメジャー球団と阪神、巨人とのテストマッチ。はたまたボクシング

の亀田お兄ちゃんが例の事件からの復帰戦と、まあ我々新聞人にとっては目移りす

るような一日だったわけであります。その中で、何が一番注目を集めたかというと

やはり、阪神戦、ではなくて、高校野球ですなあ。

 阪神がレッドソックスとやろうが何しようが、どうでもいい。どうでもいいとい

う言い方は乱暴かもしれないけど、そうなのである。安藤が先発していきなり2本

塁打を浴びた。何もあんな試合に先発することないのに…。心配していたら、その

通りになってしまった。あれが開幕戦に影響しなかったらいいけど。とまあ、テレ

ビのニュースやら、インターネットやらで結果を知って、そう思った。すんませ

ん、私、東京ドームには行ってないんですわ。理由はいろいろありましてね。深く

詮索せんといて下さいな。

 個人的には、高校野球なのであります。開幕戦に引き続いて3試合が行われ、い

ずれも接戦でした。最後は初出場の安房(千葉)が九回に決勝点を入れて勝ったの

かな。いい試合でした。そんな試合もそうですが、開会式のセレモニーで歌手の谷

村新司さんが「今ありて」という歌をアカペラで歌ったシーンが、胸にズシリと来

ました。あの手の歌をあんな場面で聞くと、何だか胸が詰まり、自然と熱いものが

こみ上げてくる。ご多分に漏れず、そうでした。

 春の週末。スポーツ花盛り。東京は桜の開花宣言が出たという。胸躍る季節。あ

なたは、どのスポーツに胸ときめきますか?高校野球?それとも…。