中村正直の「頑張れプロ野球」

ベテラン野球記者の本音ブログです。

桧山幻のサヨナラ弾

2008-07-02 23:18:04 | Weblog
 思わず「行った!」と叫んだ。プロ野球取材20年目のおっさん記者の目には、

完全にスタンドインする打球に見えた。甲子園での阪神対中日戦。九回裏、二死一

塁から放った代打・桧山の打球である。打った桧山のフォーム、打球の角度はもう

文句なし。上がった感じからして、右から左へ流れる風など関係なくスタンドへ飛

び込むと思った。前夜(1日)に金本が放った一発よりも、確信があった。だが、

入らなかった。その直後に葛城のサヨナラ打が生まれた。

 桧山の当たり、入っていてほしかった。サヨナラ本塁打ではなく、桧山の今季1

号が見たかったのだ。代打稼業に徹し、コツコツと安打は積み重ねてきたが、一発

だけは今だない。上空を優雅に舞う、桧山独特の本塁打。チームがまだ弱かりし

頃、彼の本塁打と新庄の強肩だけがファンの拠り所?だった。失礼な話だが、もう

いつ見れるかもわからない。絶好のチャンスだったのだ、きょうが。

 なぜ入らない?やはり風か。桧山自身のパワーが落ちているのか。昔なら完全に

放り込んでいた当たり。それが入らない。ベンチでクビを捻る彼の様子を見ている

と、こっちもクビを捻りたくなる。いつも梅雨時なら、風は左から右に吹いている

のだが…。

 劇的な幕切れだった甲子園。他球場もなかなかドラマチックだったみたいだ。一

番目に止まったのが、仙台の楽天対ロッテ。プロ3年目の左腕・片山が、初勝利を

初完投、初完封で飾った。交流戦で阪神も対戦したが、なかなか見所があった。キ

ャンプ視察のさい、本紙評論家・江夏豊氏が「うまく育てれば10勝は楽にできる

素材だよ」と言っていたのを思い出す。兵庫・報徳学園出身の大型左腕。阪神でい

えば鶴と同期。ノムさんがうまく育てているのか、これを機に一気に羽ばたきそう

な気がする。

 それにしても桧山、惜しかったなあ。入らんか、あれが…。