大阪・中央区のNTT西日本本社で、ドラフトの模様をネットで確認しながら、注目左腕・藤原がどこに指名されるか、注目していた。阪神は早大の松本を横浜との抽選で外し、この藤原を指名した。おっ、こっちに1面が回ってきたか。そう思ったのもつかの間、楽天も藤原にきた。今度はつかむだろう。そんな予測をあざ笑うかのように、阪神はまたも外すのである。で、奈良産大の蕭一傑となった。
俺には関係ないか。思った瞬間に携帯が鳴った。会社の野球デスクからだ。「奈良産大に行ってもらえます?」。ええよ。そう言ったそばからパソコンを片付け、NTTを飛び出した。光ファイバーならアッと言う間に奈良へ行けるが、こっちは生身の人間、時間がかかる。と言っても、45分で大学に着いた。会見はすでに終わり、専用グラウンドで仲間たちの胴上げが始まるところだった。
そんな自分のことはどうでもよろしい。蕭くんのことだ。初めて取材する子だから、印象だけを書く。端正なマスクに、彼の真面目な性格がにじみ出ていたように思う。台湾から日本の日南学園に入り、そして奈良産大に入学した。柳川から近大に入って阪神に来た林とパターンは同じ。その林同様、温厚で野球に真摯(しんし)に取り組む好青年、といった感じか。
記者との応対もきちんとしていて、とてもいい。激しさに欠けるのかな、と思ったが、大学3年まではストッパーをしていて、打者の胸元を計算して突けるという。内面は強いのだろう。たまたま「外れの外れ」という指名になったが、日本ハムが単独1位を予定していた(実際は違ったが)ほどの逸材である。阪神はそう嘆くこともない。
この選手をどう育てていくか。これは首脳陣の手腕にかかってくる。同じ関西の大学で名を馳せた山口新投手コーチに、期待をかけたい。蕭の秘めたる可能性を引き出してくれることを切に望みたい。
台湾で生まれ、文化の違う日本の高校と大学で、言葉を覚えながら野球一筋でここまでやってこれたというのは、相当な我慢と辛抱がいったことだろう。それに耐えてきて阪神の1位をつかんだのだから、これは一種のサクセスストーリーと言える。今からはその「第二章」。彼の成長と活躍を、温かく見守ってやろう。
阪神のスカウト連中は、今回の結果にうなだれていると聞く。しかし、自分たちがチョイスした選手たちなのだ。少なくとも、表面上は胸を張ってほしい。でなければ、指名した選手に失礼だろう。ただ、返す返すも残念だったのは、ドラフト会場に新監督が行かなかったこと。新監督が行かないんなら、何の役にも立っていないSDが行けばよかったのだ。これは、ラジオで六甲おろしを歌いまくる熱狂的虎ファンが言っていた受け売りだが…。
俺には関係ないか。思った瞬間に携帯が鳴った。会社の野球デスクからだ。「奈良産大に行ってもらえます?」。ええよ。そう言ったそばからパソコンを片付け、NTTを飛び出した。光ファイバーならアッと言う間に奈良へ行けるが、こっちは生身の人間、時間がかかる。と言っても、45分で大学に着いた。会見はすでに終わり、専用グラウンドで仲間たちの胴上げが始まるところだった。
そんな自分のことはどうでもよろしい。蕭くんのことだ。初めて取材する子だから、印象だけを書く。端正なマスクに、彼の真面目な性格がにじみ出ていたように思う。台湾から日本の日南学園に入り、そして奈良産大に入学した。柳川から近大に入って阪神に来た林とパターンは同じ。その林同様、温厚で野球に真摯(しんし)に取り組む好青年、といった感じか。
記者との応対もきちんとしていて、とてもいい。激しさに欠けるのかな、と思ったが、大学3年まではストッパーをしていて、打者の胸元を計算して突けるという。内面は強いのだろう。たまたま「外れの外れ」という指名になったが、日本ハムが単独1位を予定していた(実際は違ったが)ほどの逸材である。阪神はそう嘆くこともない。
この選手をどう育てていくか。これは首脳陣の手腕にかかってくる。同じ関西の大学で名を馳せた山口新投手コーチに、期待をかけたい。蕭の秘めたる可能性を引き出してくれることを切に望みたい。
台湾で生まれ、文化の違う日本の高校と大学で、言葉を覚えながら野球一筋でここまでやってこれたというのは、相当な我慢と辛抱がいったことだろう。それに耐えてきて阪神の1位をつかんだのだから、これは一種のサクセスストーリーと言える。今からはその「第二章」。彼の成長と活躍を、温かく見守ってやろう。
阪神のスカウト連中は、今回の結果にうなだれていると聞く。しかし、自分たちがチョイスした選手たちなのだ。少なくとも、表面上は胸を張ってほしい。でなければ、指名した選手に失礼だろう。ただ、返す返すも残念だったのは、ドラフト会場に新監督が行かなかったこと。新監督が行かないんなら、何の役にも立っていないSDが行けばよかったのだ。これは、ラジオで六甲おろしを歌いまくる熱狂的虎ファンが言っていた受け売りだが…。