中村正直の「頑張れプロ野球」

ベテラン野球記者の本音ブログです。

泣いても笑ってもあと1カ月

2008-08-31 14:55:11 | Weblog
 この前、北京五輪が始まったと思ったら、アッと言う間に終わり、暦も8月から

9月になろうとしている。子供らの夏休みもようやく終了。7歳の息子に「宿題は

終わってんのか?」と聞いたら「とっくに終わっとるよ」ときた。本当か?宿題を

している姿を見たことがないものだから、にわかには信じがたい。しかし、これも

やむを得ないのだな。こっちは子供が家にいる時間帯にはおらず、月の半分は出張

で家を留守にしているんだから…。まあ、やっていると信じよう。してなくて困る

のは当の息子の方なんだしな。

 プロ野球もいよいよ佳境に入る。セパ両リーグ共に優勝マジックが点灯し、20

台から10台に差し掛かろうとしている。パの西武は順調に減らしていくだろう。

交流戦当時に書いたが、渡辺監督があの若い選手たちを本当によくまとめている。

大ざっぱなところもあると聞くが、それでも首位を守り通したのは彼の統率力が優

れていたからだろう。デーブ(大久保)コーチの明るいキャラもあって、チーム全

体に活気がある。同い年の監督が宙に舞う姿が、早くも目に浮かぶ。

 そして阪神だ。巨人の追い上げをしのいで、ゴールのテープを切るのはいつごろ

か。慌てず騒がず、自分たちの野球をしていけば、昨シーズン終盤のような大連敗

はないはず。巨人が目論む9月終盤の3連戦(東京ドーム)が天王山になる可能性

は低いとみる。岡田監督の胴上げは、その巨人戦後の横浜4連戦か。それとももう

少しずれて27日に甲子園である最後の巨人戦か。

 いずれにしても、あと1カ月。これが終われば本格的な秋が訪れる。毎年のこと

ながら、季節のサイクルは早い。こう感じるのも、歳をとったせいだろか。

理解できない巨人・原監督の思惑

2008-08-30 15:18:35 | Weblog
 このおっさん記者には「さっぱりわからん!」のである。近頃、どこを見てもわ

からんことだらけなのだが、29日の「巨人先発・金刃」には、わからん!を通り

越してあきれてしまった。大多数のスポーツ紙が予想していたから「ああやっぱ

りか」ではあった。しかし、心の中では「そんなことはありえん」と思っていた。

大事な直接対決の初戦を、今季まだ勝ち星がない2年目の左腕を起用するとは、ど

う考えてもありえないと思っていたのだ。

 きのうの試合前までの時点で、2位・巨人と首位・阪神のゲーム差は「7」。理

屈上、直接対決の8試合に全部巨人が勝てば、阪神を上回る。普通に考えれば、そ

んなことは不可能に近いが、勝負事は最後までわからない。わからなくするために

は、まず今回の3連戦を3連勝することが大前提。原巨人にすれば、今季の最後の

決戦と捉えていい。3つ是が非でも獲るために、巨人は一番いい投手を送り出して

くるはず、と考えた。優勝をあきらめていないなら、そうする。それが球団として

の義務であろう…。だから、皆が金刃と書いていても信じなかった。

 初戦を12勝挙げているグライシンガーでとり、2戦目を高橋尚、3戦目を内海

ですべて獲る。全員中4日という厳しい条件になるが、ここが正念場と考えれば無

理を承知で注ぎ込んでくる。という、個人的な考えは見事に外された。初戦、やは

り金刃だった。巨人担当に聞けば「まだ本当の勝負は先と見ているフシがありま

す」という。ここで1つでも負ければ阪神のマジックがまた点灯するというのに…

ちゃんちゃらおかしい。

 ようするに、巨人は最初から逆転Vなど考えていなかった、ということだ。2位

をしっかりキープし、クライマックスシリーズで雌雄を決すればいい、ということ

なのだろう。昨年の反対のパターンである。しかし、それでいいのか。個人的には

シーズンの成績こそがすべてだと思うが、この考えは間違っているのか?

 今回の阪神・巨人戦を楽しみにしていたのに、何か裏切られた気がした。個人的

には、大逆転Vを本気で狙ってくる「強い巨人」を見たかったのだ。その気迫を岡

田阪神がはね返すところを見たかった。もうあとの2試合はどうでもいい。俺にと

っちゃ「消化試合」なんだから…。

力強い・久保田、甦れ!

2008-08-29 17:16:43 | Weblog
 最近、プロ野球が分かりだした5歳の次男が、久保田を目の敵のようにしてのの

しるのである。ちょっと四球を出し、失点したりするともう大変。「くぼたぁ~、

にぐんにいけぇっ~‼」とテレビの前で大騒ぎ。現場に出ているこっちはその姿を

直接見ていないが、家人によればそれは“いっちょまえ”らしい。まだ小学校にも

上がっていない、5歳の幼児である。そんなに口汚く罵倒することはないだろう

に…。それもこれも、親の責任だと痛感している次第。

 子供の前では言わないが、確かに「しっかりせい!」と言いたくなるのは事実で

はある。先日の中日戦でも、二死満塁から押し出し四球とワイルドピッチで決定的

な2点を失った。記者席で「ワイルドピッチだけはやめて」とつぶやいた瞬間だっ

たから、思わず笑えてきた。いや、笑っている場合じゃない。こちらの不安がもろ

に的中してしまうほど、今の久保田の状態がよくないということになる。2軍落ち

を経験した後、少しはましになってきたと思っていたのに、またあの乱調で「頼り

ない久保田」のイメージが復活してしまった感じがする。

 去年は90試合に登板し、シーズン登板数の日本記録を打ち立てた。あの記録は

もはや破られないだろう。破るとすれば、久保田自身だと思う。それだけ首脳陣に

信用され、重宝がられているのだ。勤続疲労がないとは思わない。だが、それを克

服するだけの体力があるし、素質がある。ここまでの実績でも、本当ならば「久保

田様」とリスペクトされていいのだ。それがどうだ。幼児に「にぐんにいけぇ

~‼」と叫ばれているようではちょっと辛いじゃないか。

 しかし息子よ。大丈夫だ。必ず力強い久保田は甦る。もう少し待ちなさい。ちょ

っとは黙って見てやろうぜ。彼だって懸命なんだから。久保田さん、どうかうちの

口うるさい息子を黙らせてくださいまし。

妙な天気にヤキモキ

2008-08-28 16:09:51 | Weblog
 久々にランディー・バース氏を見た。テレビのゲストかなんかで甲子園球場に

や ってきたのだが、いいおっさんになったなあ。四十を超えたおっさん記者がそ

う言 うのだから、若い人から見れば「いい爺さん」ということになる。我々はナ

マの現 役時代を知っているが、若い世代は昔のテレビ映像でしか知らないだろ

う。まあ、 よく打った。「かっせかっ飛ばせバア~ス、ライトへレフトへホーム

ラン」。応援 団が奏でるヒッティングマーチは、今でも歌われるし、実際うちの

息子たちも歌っ ている。どこで覚えたか知らないが…。
  
 バースの話はともかく、きょうの試合はすっかり中止だと思い込んでいたら、普

通にできるではないか。朝の天気予報は「兵庫県内は午後から強い雨が降ります」

というもので、とても試合ができるような感じではなかった。それを見越して、

前 夜の試合後にグラウンド一面にシートを敷いていたのに、午後1時の時点でも

う雨 は上がり、あろうことか青空まで見えていた。天気予報は一体どうなってる

の?
 
そう思っているのは、岡田監督も同じだと思う。前日の段階で、かなりの確率で

中止になると思っていたのだろうし、そうなれば、投手の起用をどうするか、め

ま ぐるしく頭を回転させていたはずだ。もちろん、試合があることが前提にして

いた とは思うが、それでも「中止だろうから…」という気持ちが大半を占めてい

たと想 像する。
 
 このブログを書いている最中に、開門された。グラウンドでは阪神園芸によっ

て 一面を覆っていたシートがはがされ、整備が始まろうとしている。もし、この

試合 が中止になれば、10月の10日以降に入ることになり、クライマックスシ

リーズ 第2ステージまでの「実戦練習」になったはず。これは失礼。優勝を前提

で書いて しまった。猛烈な巨人の追い上げが始まった以上、楽観視は許されな

い。先のこと を言えば鬼が笑うな。

竜将・落合、今何を考える?

2008-08-27 16:43:42 | Weblog
 甲子園はひどく蒸し暑い。時折、弱い雨がパラパラ。例年、8月の終わりといっ

たら残暑厳しく、たまに吹く風に「もうすぎ秋だなあ」と思わせるのだが、今年の

場合はちと違うようだ。6月中旬の梅雨みたいな天気で、うっとうしいことこの上

ない。これを書きながら、中日の練習を見ているのだが、ジワリと汗がにじんでき

てどうしょうもない。かと思えば、携帯電話に「富士山初冠雪」とのニュースが。

何が何やらさっぱりわからん。

 わからんと言えば、目の前で内野手相手にノックをしている中日・落合監督の心

境もそう。気分を変えたいのか、若手に対して右に左に球を打ち、容赦なく走らせ

ていた。外野手で言うところの「アメリカンノック」というやつだ。このジメジメ

した天気の中であれをやられると、選手もたまったもんじゃない。まるでイジメじ

ゃないの?ま、試合に出ないような若手だから、別に何てこともないのだろうが…

ただ落合監督の気持ちもわからんでもない。ここにきての腑抜けた戦いぶりには、

相当頭に来ているはずなのだから。

 気の毒な面もある。エース・川上、守護神・岩瀬、内野の要・荒木に打線の中

軸・森野を五輪でとられ、うち投手2人は相当深い心の傷を負って帰ってきた。今

後の追い上げを期待しようにも、これではいかんともしがたい。若手が頑張ればい

いのだが、その若手もまだ主力に肩を並べるまでには至っていない。3位死守とい

うささやかな目標はあるが、何せ昨年の日本一軍団である。優勝争いができなけれ

ば3位もBクラスも一緒、といった感じなのだろう。

 前半戦終了時に、オーナーから来季続投のお墨付きをもらったと言われている。

ただ、額面通りに受け取らない方がいい。結果がすべてのこの世界。Bクラスに沈

めば、引責辞任ともなりかねない。懸命にバットを振っていた落合監督は一体この

現状をどう考えているのか。ただいえるのは、阪神最大のライバルがこの体たらく

では、つまらん!ということである。

五輪の傷あと…新井骨折

2008-08-26 17:07:13 | Weblog
 東京から新幹線で移動し、ようよう甲子園に着いたこのおっさん記者を待ってい

たのは「新井疲労骨折」というバッドニュースだった。球場記者席で前夜の試合の

記録を整理し、一塁側ベンチに降りていくと、何だか騒々しい。顔見知りの記者を

つかまえて聞いてみると「練習前に発表がありまして…」とのこと。それが新井の

診断結果だった。声にならなかった。きょうの試合から五輪組が合流し、ようやく

態勢が整うと思っていたのに、いきなりこれだよ。「骨折や!」と吐き捨てた岡田

監督も無念の表情で話したそうだが、一番残念なのは、当の新井に違いない。

 7月中旬に腰の張りを訴え、何試合か欠場した。そこから治療に努め、何とか球

宴は出られたのだが、やはり五輪が影響したと言わざるをえない。ましては日本チ

ームの4番を任され、金メダル奪取が至上命題とされる中でのプレッシャーと戦い

ながら最後まで耐え抜いた。おそらく、星野監督やチーム関係者には一言も腰の具

合を話してはいなかったのだろう。もし言っていて、それで起用され続けたのなら

ば「労災」であるが、新井はそういう男ではない。ただ懸命に耐えていた、と勝手

に想像する。

 もう五輪の話はすまいと思っていたが、新井まで骨折となれば、もう一度蒸し返

さざるをえない。ソフトバンクの川崎も疲労骨折でシーズンはほぼ絶望的だとい

う。みんなが五体満足で戦った結果がメダルなしでもそれは仕方ない。ただ、こう

まで故障者が続出すると、一体何のための五輪なの、と言いたくもなる。

 おそらく、新井は驚異的な回復を見せ、クライマックスシリーズには戻ってくる

と思う。この約2カ月間で、懸命のリハビリをするはずだ。だが、それに間に合わ

さなくていい。ゆっくりと完治させること。新井のプロ野球人生は今年で終わるわ

けじゃないんだから…。来年があり、再来年がある。無念だろうが、ここは阪神の

将来をも考えて、完ぺきに治すべきだろう。その間は、みんなが何とかする。兄貴

が何とかするさ。岡田監督胴上げの日を、まずは楽しみに待っていてほしい。


さあ、優勝へ突き進め!

2008-08-25 22:48:46 | Weblog
 虎快勝の神宮。ハッキリ言って、中止だと思った。球場に到着したのが午後1

時。水道橋のホテルを出て、散歩がてらに歩いて神宮まで来たのだが、途中の九段

下あたり(靖国神社近く)で雨に降られた。最初はポツポツ。そのうちザーッ。約

1時間歩いたところで服もズボンもビショ濡れになり、やむなくコーヒーチェーン

店に駆け込んだ。そのくらい、断続的に雨が降っていたのだよ。別に歩く必要がな

いだろ?とおっしゃる方、その通りです。メタボ体質改善を、と思って歩き出した

自分が悪い。普通に地下鉄で行けばよかった。いやいや、そんな話をしているので

はない。雨のことを言っているのだ、私は。

 ところが、だ。阪神が球場に来た午後3時半になって、雨が小降りになってき

た。担当記者は「中止になったら大阪に帰る新幹線の便をどうしよう?」なんて心

配をしていたが、その心配も杞憂になった。雨は降っていたものの、前日のような

ザーッは来ず、シトシト程度で推移し、無事プレーボールがかかった。ドル箱カー

ドの阪神戦を2試合も続けて流せるもんかい!というヤクルト営業サイドの執念が

結実したようだ。この判断が、阪神の方に幸福をもたらした。

 マジックが「29」になった。20台になれば、減るのは早いはずだ。トントン

といかなくても、トン、ト、トン、ト、トトン、てな感じで減るだろう。要するに

順調に減っていくということだよ。新井や藤川、矢野が加われば、普通に戻る。普

通にさえ戻れば、阪神は強い。

 ペナントレースが再開され、屈辱的だった五輪が脳裏から消えつつある。これで

いいのだ、これで。来春のWBCをにらむ関係者だけが北京の反省をすればいいので

あって、ファンは目の前で繰り広げられる戦いを楽しめばいい。さあ、うまい酒で

も飲みに行こう!

 

ナメとんか、おうッ!

2008-08-24 19:58:28 | Weblog
 お下劣なタイトルでえらいすんませんな。しかし、本心からそう思うのである。

北京五輪が星野ジャパンの惨敗でもって幕を閉じ、気分一新して東京へ向かったの

はいいが、いきなり山陽新幹線の停電で乗るはずの「のぞみ」が遅れた。わずかに

20分程度の遅れではあったが、気分が悪い。おまけに、乗り込んだ列車の隣の席

に、名古屋から酔っぱらいのおっさんが座り、またげんなり。昼間からそんなに酒

を食らうことないやろが、このボケッ!と心の中で言ってやった。むろん、おっさ

んは知るよしもないが…。そんでもって、我々の横に陣取った母子だ。親は30台

前半、子供2人は6~7歳の兄と3~5歳の弟。これがまたやかましい。車内に響

き渡りそうな声で騒ぎ、そして泣く。母親はこれを止めようともしない。厚顔無恥

というか、ほんに迷惑千万。実害があれば、親の方をこっぴどく叱ってやろうと思

ったが、やかましいだけだったからやめといた。大人げないもんな。

 で、本題に移る。神宮でのヤクルト対阪神戦だ。東京地方は早くから雨が降った

り止んだりだったという。東京駅に着いたときは降っておらず、球場に着くころに

は降り始めていた。阪神練習中も断続的に降っていたのだが、決定的な雨がこずに

イライラするばかり。そうこうするうちに、練習も終わり、スタメンの交換。そし

て何やらイベントが始まった。私は本紙評論家・江夏豊さんを迎えるために球場外

にいた。雨は止むどころかきつくなる一方。横浜の試合が中止になり、神宮の予報

も悪い。なのに強行しようとするヤクルトサイド。腹が立ってきた。そこに、1人

の老人が私の前に立って、こう言った。

 「こんなに雨が降っているのに、本当にやるのか?中止になるのはわかっている

だろう。日曜日でお客さんが入るからか?チケットが売れているからか?」

 あのね、おじさん。私はヤクルト営業部の人間でも、プロ野球機構の関係者でも

ないのだよ。こっちだって迷惑しとるんよ。怒る方向が違うでしょ?表情でそんな

雰囲気を醸し出しつつ、おじさんの怒りを最後まで聞いてやった。そうして試合が

始まるのかと思っていたら、直前になって「開始を見合わせます」のアナウンス。

そのアナウンスから10分も経たないうちに、中止が決まった。ナメとんか、おう

ッ!ここでタイトルの言葉が出るのである。

 手際が悪いというか、何というか…。言葉が出ない。球場に足を運んだファンの

ことを本当に考えているのか。北京五輪の閉会式を見ずに、やってきている熱心な

ファンなのだぞ。そんなファンの目線で物事を考えるべきじゃないのか。

 雨に濡れながら、ホテルに帰った。仕方ないから、東京ドームでの巨人対中日戦

でも見るか。と考えてテレビをつけたら、やってない。日テレもだ。どうなっとん

の、一体。もう一度、ナメとんか!と、テレビに向かって吠えやった。きのうから

腹の立つことばかり。血圧が上がって仕方ないぞ。

川上、岩瀬、そしてG・G・佐藤…

2008-08-23 15:44:43 | Weblog
 「喪失感」が強い。というか、何か心にポカリと穴があいた感じがする。「空虚

感」と言い換えてもいい。飯も食いたくない。風呂も入りたくない。仕事すらした

くない。体を動かすのさえ嫌になる。そんな感じ。別に、星野ジャパンがメダルを

獲れなくても個人的には何ら構わないのだ。しかし、ああまで日本の野球がコケに

されると、その競技を生業(なりわい)にしているものにはたまらない。日本の野

球はこあの程度なのか…。我ながら情けなくなる。

 これまで何度も、星野さい配が疑問だ、と書いてきたが、そのモヤモヤ感を持っ

たまま、終わってしまった。甲子園球場のプレスルームで、他社の虎番たちと一緒

にテレビを観ていたのだが、ほとんどの記者が同じような思いを持っていた。多く

のファンも同様だろう。だが、ここでそれを声高に言ってもせんないこと。過去は

もう振り返るまい。

 メダル云々はどうでもいいが、気になるのは、今回の五輪で意外な起用をされた

選手たちのことである。例えばこの試合の中日・川上。彼は前日の韓国戦も登板し

、連投でアメリカ打線に対した。結果、致命的な4点を奪われて屈辱的な敗戦投手

になった。例えば西武のG・G・佐藤。韓国戦で2つの失策を犯して号泣し、傷の癒

えぬままアメリカ戦に臨んでまた失策を犯した。たとえば中日・岩瀬。予選から3

試合で打ち込まれ、大きな傷を負った。いずれも「心の痛手」がすさまじい。この

屈辱をバネに、なんて生やさしい言葉はかけられないし、今はどんな言葉も彼らの

慰めにはならない。

 おそらく、彼らの「喪失感」「空虚感」は、そう簡単には解消されないだろう。

しばらくは北京の屈辱感にさいなまれながら、時が過ぎるのを待つことになるはず

だ。特に、シーズン中から好調とは言えなかった中日・川上、岩瀬の2人は、時間

を置いてやる必要があると思う。

 この結果で、来年行われるWBCの監督をどうするか、難しくなった。星野続投と

いうわけにはいくまい。では誰が引き受けるのか?今は想像がつかない。日本の野

球が「混迷期」に入った。
 

星野ジャパンに言い訳無用

2008-08-22 15:52:02 | Weblog
 星野ジャパンの「夢」は、北京の空に霧消した。日本野球界8年越しの夢が粉々

に飛び散ったと言い換えてもいい。2000年にプロ・アマ混成チームで臨んだシ

ドニー五輪。ここでメダルなしに終わったことから、長く果てしない「金メダル奪

取への旅」が始まった。04年アテネでは長嶋ジャパン、そして08年北京は星野

ジャパン。共にプロだけの純粋なチームを編成して臨みながら、いずれも準決勝で

涙を飲んだ。前回のアテネは脳梗塞で倒れた長嶋監督の代わりに、中畑コーチが代

行を務めるという緊急事態となったが、今回は違う。満を持して登板した星野監督

で完敗したのである。この事実は、経過にどんな出来事があったとしても、動かし

難い。敗北を素直に受け入れるしかない。

 冷静にこの日の日韓戦を振り返ると、多くのファンが思うように、なぜ2-2の

8回裏に好調とはいえない岩瀬を投入したか、という疑問が残る。岩瀬は予選の韓

国戦でも9回に打たれ、先日のアメリカ戦でも決勝点を奪われている。どうみても

本調子とは思えなかったのに、あえて1点奪われたら負け、とも言える大事な局面

で送り出した。7回に藤川が同点にされ、嫌なムードが漂う中だっただけに、余計

「?」がついた。想像だが、岩瀬の経験に星野監督は賭けたのだと思う。だが、こ

れが裏目に出た。

 前にも指摘したが、今大会における星野監督のさい配には、首をかしげることが

多かった。あくまでブラウン管越しに見ているだけだから、はっきりしたことはわ

からないので断言はできないが、阪神監督当時と比べて「勝負カン」が鈍っていた

のでは?と思った。投手リレーもそうだし、攻撃面のバリエーションの少なさにも

それを感じた。何でもできる選手を揃えていたにもかからわず…。

 短期決戦は「時の運」だと思うが、予選全勝の韓国は運だけで勝ってきたのでは

ない。やはり、ここ一番の力がある。打撃絶不調のイ・スンヨプに決勝2ランが飛

び出すのだから、底知れぬものを感じる。予選、準決勝と2度負けた日本は、もは

や「06年WBC優勝」を忘れた方がいいかもしれない。

 北京で取材を続けている本紙の担当記者をはじめ、多くの関係者が落胆している

のは容易に想像できる。無理もない。しかし、選手は責められない。個人的には、

早く大会が終わり、それぞれが所属するチームに帰還してまた日本の野球ファンを

楽しませてくれるのを望む。ただそれだけである。