大事小事―米島勉日記

日常起きる小さな出来事は,ひょっとして大きな出来事の前兆かも知れません。小さな出来事に目を配ることが大切と思います。

IPCCの真の目的は排出権取引にあり―欧米による二酸化炭素排出権市場独占の陰謀

2009年04月03日 22時53分16秒 | Weblog

 地球温暖化に関してIPCCが主唱する人為的二酸化炭素主因説は,その根拠が危ういものとなってきましたが,なぜこのような虚構を作り上げてまで人為的二酸化炭素に固執するのかを考えてみましょう。
 そもそも国連が近年の気候変動を看過できない,としてまず気候変動枠組み条約が作られ,その目的を達成するために1997年12月に京都において開催された第3回締結国会議(COP3)で採択されたのが京都議定書であることは,ネット上でもすでに多く書かれています。
 そして,この京都議定書において,先進国には2008年~2012年の間に「温室効果ガス」を一定数値だけ削減することが義務づけられたのです。各国に割り当てられた削減量の決定は極めて政治的であったことがすでに知られています。
 まず,なぜ1990年を基準年に設定したのか。ここから政治的配慮,というよりも政治的陰謀が始まったともいえるトリックがあります。この年,1990年に東西ドイツが統一された事実に注目する必要があります。
 正確には,前年の1989年11月9日に東西ドイツを冷然と隔てていたベルリンの壁が崩壊し,実質上東西ドイツの交流が無制限となって,1990年10月3日に西ドイツ基本法23条に基づき、東ドイツの州が西ドイツに加入するかたちで東西ドイツの(再)統一が実現したわけです。
 今日に至るまで,旧東ドイツに属する地域の工業生産は低迷しており,必然的に温暖化効果ガスとしての二酸化炭素の排出量も旧西ドイツの各都市より低いままです。ですから,統一された後のドイツの二酸化炭素排出量はそれほど増えなかった計算になります。ドイツの二酸化炭素排出量は,1990年に12億5千万トンだったのに対して2000年には10億1千万トンで,このときにすでに1990年に対して-19%となっていたわけです。京都議定書ではドイツの削減率は-8%で署名していますから,差し引き実質削減目標は+11%となって,削減どころか11%増やしてもよいことになります。同様な計算方法を適用すると,イギリスも+5%,ロシアに至っては0%で署名しており実質削減目標はなんと+38%になってしまいます。
 日本は,1990年が11億9千万トンに対して2000年には13億4千万トンに増加していますから+13%,京都議定書では-6%で署名しており,差し引き実質削減率は-19%になってしまったのです。これだけの人為的二酸化炭素排出量削減を2008年~2012年の間に実現しなければならなくなったわけです。
 アメリカは,京都議定書において-22%という日本を上回る実質削減目標を負わされたのですが,これを拒否して京都議定書を批准せず,結局削減義務を負わずに済みました。当然です。アメリカの二酸化炭素排出量は,2000年において70億4千万トンで,日本の6倍近くに達し,削減など実現不能で,これを無理に行えば国力を減退せざるを得ないからです。
 結局,こんな無理難題を現実に負う羽目になったのは日本だけだったのです。これは,日本人の生来のお人好し,外交交渉下手に加えて,京都議定書の名が示すように日本が主催議長国で,しかも残念ながら日本の環境行政のトップは,歴代内閣においてはどうでもよいような,悪く云えば無能で期待されない人物が就任することになっていますから,貧乏くじを引かされてしまったのです。
 ところが京都議定書には,とんだ抜け穴,日本にとっては落とし穴が用意してあったのです。
 それは,削減義務を履行できなくとも,排出余裕がある国から排出権を買い取ればよい,という排出権取引が京都議定書にはセットされているのです。これは要するに実際に削減しなくとも,外国に金を払えば人為的二酸化炭素をまだまだ排出できる,ということです。
 この論理はおかしくありませんか。IPCCが主唱するように,本当に人為的二酸化炭素が気候変動の原因であるとするならば,世界中のどの国であれ,これ以上二酸化炭素を排出してはならない,というのが環境問題における予防措置原則から求められる態度でしょう。かつて盛んに議論され,実行に移されたオゾン層破壊の原因物質フロンガス禁止はその例でした。
 しかし,人為的二酸化炭素排出に関しては排出権取引市場という奇妙なものが付帯したために,おかしくなってしまったのです。いや,承知でおかしくしたのです。これが京都議定書に秘められたトリックです。
 それならば日本も実質削減率など気にすることはない,ということになるでしょうか。そうはいきません。京都議定書を批准してしまったために,外国から排出権を買ってでも「名目」削減率を達成しなければならないのです。自動車やハイテク製品の輸出で蓄積した日本の金がどんどん外国に出て行ってしまうのです。ここにIPCCを隠れ蓑にした西欧の陰謀があるのです。日本はいいカモであり,どんどん日本の国力が衰退すれば日本からの輸出に悩まされることがなくなる,と西欧は期待しているのです。
 排出権取引はすでに現実のものとなっており,今後年間数兆円に達する「円」が海外に流出することになりそうです。しかも,工業生産を増やせば増やすほどこの金額は増えていくことは明らかです。先日来日したウクライナの首相にも,年間数百億円の排出権買い取りが提示された,と報道されています。ウクライナにしてみれば,なにもしなくとも毎年数百億円が転げ込んでくるのですから笑いが止まりません。
 これが,虚構としての人為的二酸化炭素排出を根拠とする京都議定書,そして今後それに続くポスト京都議定書の,地球温暖化対策の実態なのです。
 環境省と国立環境研究所,東北大学など一部の大学が企む人為的二酸化炭素主因論者のいいなりになっていれば,国力はますます減退し,しかも「円」はどんどん海外に流出して,残るは老人ばかりとなれば,日本は衰亡してしまいます。
 悪いことに,日本の役人は,いまだに自分たちがお上だと思っている尊大な連中で,日本国民が血と汗で蓄積した資産を減らして平然としています。
 加えて,日本のマスコミは愚鈍で不勉強,現実に進行している排出権取引の実態すら伝えません。本来日本のマスコミの中心に位置すべきNHKは,「明日のエコでは間に合わない」などと全体主義国家並みの空念仏を唱えながら,自分たちは1日45万枚を超えるコピー用紙を無駄遣いしている。
 これだけ見ていけば分かるように,IPCCの真の狙いは西欧諸国による人為的二酸化炭素排出権取引市場の独占にあり,その結果としての日本の衰亡を底意として秘めている,と考えてよいでしょう。
 無責任で外交下手,戦略皆無の日本の役人に任せていては,環境立国どころか環境亡国となるかも知れません。
 3月27日の夕刊によると,日銀前総裁・福井俊彦氏が座長を務める中期目標検討委員会が,「温室効果ガスの大幅削減を目指すと,日本は失業者であふれかえる」という試算結果を示したのに対し,無知無能な斉藤環境大臣は,「一方的な意見」と批判したそうです。
 この斉藤環境大臣は,先日経団連をはじめとする日本のほとんどすべての経済団体が連名で出した意見広告に対しても,「悲しい」と述べたそうです。どうせ知恵を付けたのは国立環境研究所あたりのシロアリどもでしょうが,省益優先で国家を考えない連中の考えることはあまりにも近視眼的です。情けない話ではありませんか。


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