日本で「温暖化」と云う言葉がマスコミから注目されるようになったのは,悪名高き「京都議定書」以来でしょう。
「京都議定書」が制定されたのは1997年12月京都国際会館で開催された第3回気候変動枠組条約締約国会議(COP3)でのことでした。(奇怪なことにWikipediaには,このように書きながら括弧内で地球温暖化防止京都会議と追記しています。理由はわかりませんが,「温暖化」と追記しているのです。)
それ以前から世界各地で異常気象が続発して,気象学研究者などの間で地球の平均気温上昇が問題にされはじめ,それが大気中の二酸化炭素濃度の上昇と相関するとする研究が発表され始めたのです。
この傾向に乗ったかたちで国連が主導して気候変動に関する国際連合枠組UnitedNations Framework Convention on Climate Change,UNFCC)は、地球温暖化問題に対する国際的な枠組みを設定したわけです。ここでは“Climate Change“は人為的要因による気候変動であって,自然現象としての気候変動(Climate Variation)とは違うと定義しています。地球温暖化Global Warmingとは云っていません。地球温暖化と云う言葉自体最初からマイナーな表現なのです。
用語の定義はともかく,以後今日に至るまで,日本では「温暖化」が独り歩き始めたのです。
「温暖化」と云えば,如何にも地球上の至る所で平均気温が上昇して暖かく,あるいは暑くなってきているように聞こえますが,ここ数年の日本各地の気候変動を見れば決してそうではないことが実感されるでしょう。NHKのお調子者が,日本でもマラリアが流行するようになる,などと妄言していましたっけ。
そもそも京都議定書が制定された当初から,当時成長著しかった日本に対する英国など欧州諸国による「日本叩き」が隠された狙いである,と指摘する人々が居たのですが,それらの声は次第にかき消され,人為的二酸化炭素主因説がメジャーになってしまったのです。
しかし,その後20年近く経過して,イギリスなどの思惑通り?日本は経済的衰退の道を辿り,加えて政権が未だ未熟な民主党に移行し,なかでも能天気な鳩山由紀夫などと云う首相が就任早々国連で,国内の議論もなんら調整しないまま思いつきのように,日本は人為的二酸化炭素排出量を10年以内に25%削減する,などというできもしない事実上国際公約してしまったのです。
今日,国益を損じてまで人為的二酸化炭素を削減するなどと云う議論をまともにしているのは日本だけでしょう。
それが証拠に,昨年末(2011年11月28日から12月9日)にダーバンで開催されたCOP17(UNFCCの会議,The 17th Conference of the Parties)は,事実上京都議定書の瓦解をもたらし,空虚な文言を並べてかたちだけは整えて閉会しました。次回は2012年12月と云うことになっていますが,内容のある会議を実現できるかどうか。京都議定書のなれの果て,と云えましょう。国益の衝突を伴う国際会議での決定は最初からあり得なかったのです。
人為的二酸化炭素の削減などと云う文字通り雲を掴むような,しかし各国の利害に直接結びつく議題で実質的結論を得るなどと云うのは所詮無理だったのです。
世界を眺めると,「気候変動」は年々激しくなっているようですが,はたしてこれは工業生産で排出された二酸化炭素によるものなのでしょうか。
気候変動を別な要因に帰する研究もあり,太陽黒点の変動に求める理論があります。
黒点は,太陽磁場が活発になれば増加し,沈静化すれば減少するという観測が為されています。黒点の増減は,太陽磁場の消長そのものと云えるのです。
この太陽黒点と,地球表面の雲量の相関を確認した報告があります。太陽黒点の観測は天体望遠鏡を初めて製作したガリレオの昔からなされており,今日に至っていますから,数百年連綿と続いているのです。
太陽黒点の増減が地球表面の雲量変化に影響を及ぼすことが,観測で立証されています。ウイルソンの霧箱にヒントを得た研究でした。
ところが最近数年は異常なまでの太陽黒点の減少期であり,これまでの比較的規則正しい周期的変動性を覆す状態が続いているのです。
このまま推移すると,かつて起こったマウンダー極小期(→Wikipedia) に近くなるのでないかと警告する研究者も増えてきています。マウンダー極小期にはイギリス・ロンドンのテムズ川が氷結したのです。氷結したロンドンを描いた画も残されています。
ですから,「温暖化」などという表現は好い加減に止めた方が良い,と主張しているのです。
どだい京都議定書制定の頃から日本の人為的二酸化炭素排出量は,世界全体のそれの6%程度に過ぎませんでした。いまやメジャーは中国でありインドでもあります。米国すらもトップではないのです。そして中国もインドも,米国すらも京都議定書を批准どころか認めても居ないのです。
日本では不勉強なマスコミが主導してお人好しの女性達を惑わし,人為的二酸化炭素削減を,如何にもこれで地球を救うみたいに錯覚させ,企業には二酸化炭素削減を謳えば環境優良企業になれる,と余分な金を費消するように仕向けているのです。
このまま推移すると,日本はますます衰退して国際社会から消えていくでしょう。それがイギリスなどの国際的「したたか」企業の年来の宿願なのかも知れせん。彼らの高笑いが聞こえるようです。