これほど結果が見えていた人選はありません。
かつて自民党の外務大臣に任命された田中真紀子は,外務省内部の政治家と官僚の信頼関係を根底から滅茶苦茶にして,挙げ句の果てに解任されました。
その当時から,私はなぜこのどうしようもない,政治家とも云えない人物を,外務大臣という,発言には慎重の上にも慎重でなければならない役職に就けたのかが不思議でした。
想像するところ,父親であった田中角栄に政治家としての最低限度の薫陶は受けただろうと云う過大評価が,選択を誤らせたのでしょう。
今回の末期民主党政権における野田総理にも,このエキセントリックな女性に対する何らかの誤った期待があったのでしょう。只の人気取りとして再生不能内閣の浮揚を期待したとしたら,とんでもない錯誤でしかありませんでした。
1年足らずで人気ががた落ちする,その辺のお笑い芸人とさして変わらぬ頭脳しか持ち合わせない田中真紀子に対する過大評価,過大期待が野田総理を誤らせたのかも知れません。
同じ田中姓でも,暴力団との交際,外国人からの献金問題で辞任に追い込まれた田中慶秋法務大臣よりも始末が悪い。
田中真紀子には,父親のすぐ傍で政界の裏のウラを見聞するという稀な経験があるのです。
それだけに,どこまで身勝手に振る舞えるかも承知しているのです。
文科相に就任してすぐに実行してしまったのが,本来認可されるはずだった3つの大学の認可却下だったのです。
あまりにも唐突な文科相の決定に,認可直前まで数年間を費やした関係者の努力は徒労に終わりそうな雰囲気です。
当然ながら,関係者,さらには周辺の広範囲に及ぶ人たちからは,このエキセントリックな文科相の決定を疑問視し,あるいは見直しを求める声が鬱勃として湧き起こっています。
しかし,制度上覆せるかどうか。
そもそも政治家としての能力もなく,単に田中角栄の長女だと云うだけで政界を押しわたってきただけの人物に過ぎないのです。マスコミも,政界のお笑い芸人程度の認識と期待であしらってきたと思われます。政局の節々で,田中真紀子のお笑い芸人並みの一言を期待していたのでしょう。
すでに政権崩壊が秒読みに入っている野田佳彦総理には,この馬鹿な人事の総括責任者としての任命責任が厳しく問われて当然でしょう。