6月14日の読売新聞の週間番組案内を見て目を疑いました。6月21日のNHK総合テレビで,夜7時30分からセーブ・ザ・フューチャーなる番組があり,副題として「100万人のキャンドルナイト」とあるのです。まさか,と思ったのですが,今週になってNHK自体が番組予告として映像を流しており,たしかにろうそくを灯しているようです。
こんなことってありますか。NHKがセーブ・ザ・フューチャーと銘打つからには環境関連の特集だな,とは見当がつきますが,なぜキャンドルナイトなのでしょうか。
NHKが夢中になっている環境問題の手法からすれば,主題は人為的二酸化炭素排出阻止キャンペーンでしょうが,ろうそくを灯すのは人為的二酸化炭素の排出そのものではありませんか。
たかがろうそくだから,と云うのでしょうが,簡単な算術計算をしてみましょう。
仮にろうそく1本100グラムとします。100万人がそれぞれ1本ずつ持つとすれば,ろうそくの重量は1億グラム,トンに直せば100トンです。
100万人が持つのですから,高級な木蝋などを使うとは思えませんので,石油系のパラフィンと考えるのが自然でしょう。
石油パラフィンは直鎖炭化水素系と考えられますが,炭素と水素の原子量をそれぞれ12および1とすれば,ほとんど炭素と見なしてもいいでしょう。つまり,ろうそく100万本は炭素100トンと見なしていいでしょう。
100トンのパラフィンを一斉に燃やすとすれば,二酸化炭素367トンになります(100×44÷12)。
これってNHKが憎んであまりある人為的二酸化炭素の増加ではありませんか。
こんな矛盾はありません。環境保護キャンペーンが環境汚染を助長しているのです。なあに367トンなんてごくわずかだよ,NHKが毎日浪費しているコピー用紙46万枚から較べればね,とは云わせません。NHKは,一方では1グラムの二酸化炭素すら目の敵にしたキャンペーンを繰り返してきたのです。
こんな倒錯を許してよいのでしょうか。
逆の見方ができます。豊作祈念にせよ,環境保護にせよ,キャンドルあるいは火を燃やして祈る,ということは,人間の本能に添ったものなのです。
人類がその進化の過程で火を手にすることによって,夜を明るくし,猛獣の襲来を避けることができるようになりました。だからこそ,火を自由に扱う者が集団の長になったり,祈りの場では必ず火を点してきたのです。
人間は火無くしては動物の頂点には立てなかったでしょうし,それは同時に人為的二酸化炭素の排出を不可避のものとしてきたのです。
ですから,目下ヒステリックに繰り返されている人為的二酸化炭素排出規制そのものが,人類にとっては矛盾なのです。
NHKが,セーブ・ザ・フューチャーと称してキャンドルを灯して祈りを捧げるのは,それこそ「語るに堕ちた」ものと云えます。環境保護を訴えるのに,キャンドルナイトを強行するというのは,倒錯そのものではないでしょうか。