大事小事―米島勉日記

日常起きる小さな出来事は,ひょっとして大きな出来事の前兆かも知れません。小さな出来事に目を配ることが大切と思います。

エール大学名誉教授はこの程度か-消費税は毎年1%ずつ上げよだって?

2013年09月03日 21時56分49秒 | 日本の政治


安倍内閣による、消費税増税に関する有識者からの意見聴取は、先週終了したそうです。新聞各紙は、「有識者」の中の目立った意見をピックアップして伝えていますし、全員のそれぞれの意見も記事として明らかになっています。
その中で私が驚いたのは、浜田宏一という人物の意見でした。讀賣紙によると、この人物は内閣官房参与として安倍首相の信任の厚い
米国エール大学名誉教授だそうです。
消費税増税に関するその人の意見は、日本は未だデフレから完全に脱却していないから、ここで8%増税すれば、デフレからの回復基調に水を差すことになる。そこで来年度から毎年1%ずつ段階的に上げることを主張する、と云うものでした。
馬鹿云っちゃいけません。毎年1%ずつ上げていくとは。
一見国民にとって優しげに見えますが、来年度は現在の5%にプラス1で6%、再来年度は7%、次は8%です。
そんな上げ方では国民、つまり消費者の購買意欲は水を差されたままではありませんか。そしてどうせ上がるのだからやめておこう、と景気回復は望めません。
人間の心理として、一時の苦痛には予想以上に耐えられても、じわじわと忍び寄る持続的苦痛には耐えられないものです。
このエール大学名誉教授には、そうした心理がわからないのでしょうか。
全く耐えがたい上昇幅ならばともかく、受容限界ならば一時の3%の方が心理的に受容可能なのです。
人間世界には常に苦痛を伴う変革などが付いてまわります。適切な例とは云いがたいかもしれませんが、戦時における兵力の逐次投入は下策中の下策と、それこそ孫子の時代から今日に至るまで常識とされています。ナポレオン、ヒトラー、第二次大戦時の日本の陸海軍参謀将校、ベトナム戦争における米軍ペンタゴン。すべて逐次投入では失敗しています。
今回の安倍政権の消費税対応も、5%から10%への一気の上げだけは避けても、次善の策として8%→10%と2段階上げとするのは、やむを得ないものと考えます。私は、来年後半には国民のおおかたが8%に慣れてしまっているものと予想しています。
女学生の発想じゃあるまいし、毎年1%ずつ上げるというのは愚策中の愚策ではありませんか。
これがエール大学名誉教授の発想だというのですから驚きます。
たしかこの大学はかつて名門と云われていたはずです。私の恩師の一人もエール大学出身(日本人)でした。
しかし、数十年前になりますか。BTコーンと云われた虫害に強い遺伝子組み換えトウモロコシの新種が開発された頃、遺伝子組み換え植物の有用性と問題性が真剣に議論され、このBTコーンの花粉だったかがアメリカの有名な渡り蝶に深刻な被害を及ぼす、と結論づけた論文を発表したのが確かエール大学の研究者でした。当時この問題は、ただちに大きな論議を呼び、この研究者らは一躍時の人となりました。
しかし、かなり特殊な閉鎖環境でBTコーンの花粉を渡り蝶にまぶすようにして振りかけた実験だったことが明らかになり、論文発表後1年もしないうちに問題論文として葬り去られることになりました。
過去の栄光を背負ったエール大学には凋落の焦りがあるのかもしれません。
こんなエール大学名誉教授を内閣官房参与とは情けないことです。