今、この場所から・・・

いつか素晴らしい世界になって、誰でもが望む旅を楽しめる、そんな世の中になりますように祈りつづけます。

残酷な歳月 45 (小説)

2015-12-30 15:15:00 | 小説、残酷な歳月(43話~最終話)


残酷な歳月
(四十五)

どんな正義を旗印にした戦争であっても、犠牲になるのは、権力など無縁な、無欲で弱い立場の人々です。
あの無差別な攻撃によって、幼い子供の血まみれの姿!

あのいたいけな幼児に、どんな武力が、権力持っていて、いったい、どうその権力を行使したと、言えるのでしょうか?私たちが、平和を理想とする!
人間として、穏やかに暮らせ、ささやかな幸せを願う!
自分が考えた、言葉の言える社会!

あの時代、確かな事ではありませんが、あの穂高での事故の原因を作った、あの頃は、韓国では、とても政情が不安定な時期でした。

大杉の伯父と貴方たちの父や母の尽力で、在日韓国の方々より、多額の平和運動の為の資金を提供して頂きました。
とても『多額のお金だった』と聞いています。

ですが、そのお金が、何処か突然、消えて無くなってしまい、私たちと、大杉の伯父、そして、貴方たちの両親が、韓国での運動の仲間から、又、日本での在日朝鮮人の方々の協力を裏切ったかたちになった事で、疑いを持たれ、私たちは、難しい立場になりました、日本からの
『平和運動支援金』

その支援金は韓国の私たちの反戦運動の団体に送られて来た事になっていましたので、韓国では、私たちに横領の疑いがかかり、政府機関に、投獄された時期もありましたが、そんな中で、私たちは、命を奪われる危険が迫った状態から逃れる為に、私たち三人!
『イ・ゴヌ』『キム・ソヨン』『ハン・ウギョン』

三人は、「大杉春馬」の手助けにより、密かに、日本に来日した、それは、とても危険の伴う行動でした。

今、現在も、あの時の運動資金!
『巨額のお金』の行方はわからないままなのです。

ですが、これだけは、
『知っていてほしいのです』
『絶対に、私たちも!大杉も、もちろん貴方たちの両親も!』
『一円たりとも、横領などしていません!』
『この事だけは、絶対に、信じて下さい!』

この事が、すべてにおいて、私の大切な人たちに、悲しみや辛い運命を背負わせてしまった事!

私たちは、たとえ、無実であっても、償いきれない、災いを招いてしまった、眼に見えぬ力や無慈悲な権力を許す事が出来ないでしょうけれど、重ねて、信じて下さい、その真実が明らかにする努力を、今、私はしているのです。
ふたりの子供!『大杉春馬』と『スジョン』
ふたりの孫!『ジュノ』と』樹里』
私たちの大切な家族へ!ただ、信じて欲しくて、それだけが、今の私の願いです。

私たちをかげながら手助けして下さった
『大杉家』と『蒔枝家』に感謝しています。

何でも、大杉さんご夫妻は、蒔枝家とは親戚筋の当たる家なのだと聞きました!

大杉夫妻が朝鮮に住んでいた時、人の良さから、詐欺にあい、ほとんどの財産を失い、失望のあまり、死を覚悟した時に「大杉春馬」を実子として迎えて、育てる事の責任感を持ち、私たちや、独立運動の仲間から、たくさんの励ましの言葉や、援助で、生きて行く、気力を取り戻して、その後、朝鮮で頑張れたのだと、聞いていました。

祖母の手紙にはこんな言葉も書かれていました。
日本で、在日韓国人として暮らす中で、とても心に深く刻まれた言葉あると!
『人間はどんなに侮辱されても、生きる価値がある!』
『どんな、状況の中でも、人として存在する事に意味がある!』
『たとえ、民族の言葉を奪われても、朝鮮の人々は!』
『心を奪われても!命ある限り、生き抜く事!』

このような、励ましを胸に刻み!
生きる事に失望していた、大杉夫妻は、朝鮮の地で、頑張って、生き抜く覚悟とをして・・・
祖母たちは日本で在日韓国人として生きていく覚悟、決心が出来た。

『民族の誇りである言葉を奪った!』
朝鮮人であっても、あの時代に生れて育った人間は日本語での、生活を強いられて、強制されて、日本語を覚えさせられたのです。

どんなに感情的に日本へ反発を持っていても、幼い頃の日常の生活から植えつけられた言葉で成長することは!
『感性や感受性』が日本語で養われてしまった事は、とてもむごい事です。

朝鮮が独立できて、誇りである。
『朝鮮語』を話せる時代になっても、頭に浮かぶ言葉を理解する事は最初に
『日本語での感性が浮かぶ事がとても悲しい事だった!』
そんな風に、祖母の手紙にはつづられていた。


              つづく



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
お隣の国の事何も知らないのに、このようなつたないものをつづり続けてよいのか不安になりますが、生まれて、最初に空気を吸った、朝鮮半島の事がどうしても気になる日本人です。
そんな事も気にせず生きて来た、青春時代、ベトナム戦争の悲惨さを知って、私の心の中で何かが変わった気がしています。

あのベトナム戦争をはじめ、アメリカが戦争をするたびに、韓国はその戦争に参戦させられています。

安倍政権をある程度支持(信じたい願いでもあります)していますが、戦争は反対です。
これから、日本はどのように変化していくのでしょうか・・・

富と貧困の格差のない世界が平和な世の中を維持できるのだと、昨日テレビで見た「バガン遺跡」の中で、語られていました。

今の世の中、富と貧に差があまりにも大きくなっている。
残された時間が短い私は、今、何が出来るのだろうか・・・
平和を願い、感謝して生きる事くらいだけど・・・




最新の画像もっと見る