シブコ復活はあるのか？（5）

  ショップライトLPGAクラシックが始まりました。全米女子OP2位がシブコ復活の狼煙となるのかを確認する重要な大会です。USLPGAにしては珍しい3日間大会で、ニュージャージー州のシービュー ベイコースです。距離も6190yd（パー71）と先週の全米女子OPと比べ短いコース。ただし、コース名に「シービュー ベイ」とあるように海沿いのリンクスコースなのです。例年ハイスコアで優勝が決まる大会なのですが、シブコにとっては風とポアナ芝のグリーンという苦手要素もあるコースだからです。

　WOWOWオンデマンドの日本人専用カメラでスタートの10番ホールから観戦しましたが、全米女子OPの覇者笹生優香とのラウンドとあってギャラリーも多く、以前のシブコを囲む雰囲気が出て来た感じがしました。こうした周囲の応援を自分の力に変えられるのが彼女の特徴。普通ならプレッシャーになりかねないのですが、こうした雰囲気や応援がパワーに変えられるのがシブコ。
　このコースは畑岡が得意としているイメージがあったのですが、案の定スタートから連続バーディーを奪っていました。風も弱いこともあり、試合はバーディ合戦の様相。シブコはドライバーもいい感じに触れていて、アイアンショットも気持ちよく振れている感じでした。ただ、ピンを狙うショットの距離感が少し合わない感じで、長いバーディーパットが多くなっていたようです。ただ、そんな長目のパットが入ってしまいそうな雰囲気がありました。

　案の定12番ホールで比較的長めのバーディーパットを決め-1。セカンドで笹生と番手が1つ2つ違う距離でしたが、これまで苦戦を強いられてきたパーオン率は大幅にUPしていました。ただ、初日ということもあるのかショットの方向性は良いものの楯距離が合わないケースが多いように見えました。それでも長目のパットを無理なく寄せてお先パーという状況で耐えて行きます。
　全米女子OP前には「いつまでできるか分からいので」というような弱気の言動もあったシブコですが、全米女子OP前にウェッジ以外のシャフトをカーボンに戻したことで、彼女が理想とするドローに近いショットが打てるようになったことで、失いかけていた自信を取り戻したことが大きかったのでしょう。ここまでショットが安定しているシブコを観るのは久々です。
　終わってみれば、5バディーノーボギーの-5とまずまずのスタートになりました。8バディー1イーグルの-10を叩き出したアビチャヤ・ユボルには5打差と大きなリードを許してしまいましたが、2位のジェニー・シンとは3打差です。ユボルは先週の全米女子OPの最終日に突如リーダーボードに顔を出し注目されたタイの若手選手です。勢いは怖いですが、昨年デビューしたばかりの選手なので、これが3日間続く保証はありません。

　明日は午後組となり、風の状況やポアナ芝の状況が大きく変わるため、明日どこまで我慢のゴルフが出来るのかがカギになるでしょう。ただ、正直なところ、風が弱かった午前スタートだったのでもう少しセカンドがピンに絡めていたらと思ってしまいました。スリーパットのボギーは無かったので、本人的にはロングパットの練習になった位に思ってくれればと願います。
　これまでと一番大きく違うのは彼女表情でした。ショットが思うようにならなかった今季の前半戦とは比べ物になりません。この日も3番のパー5で2打目をバンカーに入れた時も、イライラせず落ち着いてグリーンエッジに運ぶと、ここから距離のあるバーディーパットを決め切りました。それだけスイングに安心感を持ちクラブが振れている実感があるのでしょう
　昨年9月のポートランドクラシック以来となるノーボギーはこうした心の余裕から生まれたのかもしれません。ひとつ心配な点を挙げるとすれば、後半風が強まる中で3番パー5以降バーディーがひとつも無かったことでしょう。特に最後のホールとなった9番パー5でバーディーを決められなかったことでしょうか？強い風の中、いいショットを重ねてのパー。これまでのシブコなら明日に引きずってもおかしくありません。特にパー5でバーディを逃したり、ボギーを叩きイライラする仕草は何度も見てきことか…
　試合後のインタビューは控えめで、自身もまだまだと感じているのかもしれませんが、とにかく今の自分を信じて自信をもって今日のラウンドに臨んでもらいたいと願っています。シブコが悪くなる時は、自信を無くし考え過ぎる時なのですから。今日もアンダーで回れたら。全米女子プロが楽しみなるはずです。