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CYCLINGFAN!!

自転車をこよなく愛し、自分の脚と熱いハートで幾つになっても、可能な限り、どこまでも走り続けます~♪

怪物ポガチャル健在(1)

2025-06-14 14:19:12 | プロ・ツール
 ドゥフィネのTTでの走りから、今年のヴィンゲゴーは一味違うのではと思っていたのですが、ポガチャルとの登坂力の差は如何ともし難かったようです。わずか7.5㎞の登りで1分というタイム差は決定的なものでした。

 この結果を目にすると第4ステージのTTの結果は一体何だったのだろうと感じてしまいます。レース後のインタビューでTTに関しては今後のチームの課題だと答えていたので、やはりTTバイクの重量が問題になりそうです。この日はこれまで使用していたY1RsではなくV5Rsを使用していましたから、登りでは軽量バイクを使う方が良いとポガチャルは考えているようです。S5を使用していたヴィンゲゴーは今後バイクをどうするのが気になります。

 落車の影響もあったのかもしれませんが、エヴェネプールには精彩がありませんでした。レッドブルのリポヴィッツにも交わされマイヨジョーヌは勿論、新人賞ジャージも失う結果になってしまいました。TTでは圧倒的な強さを見せるエヴェネプールですが、登坂力ではやはりかなり劣るようです。パワーより美しいエアロフォームで高速域では圧倒的に速いのですが、スピードが落ちる登りではパワーの差が出てしまうようです。

 今夜のステージは超級山岳が3つ登場し、獲得標高も5000mに迫る超難関ステージです。嘗て高度の高い山岳に弱さを見せていたポガチャルですが、今はそれも克服し、昨年はヴィンゲゴーを退け3度目のマイヨジョーヌを獲得しているのです。ヴィンゲゴーにとって唯一の救いはチーム力の高さでしょう。この日のステージでは仕掛け処を間違ったのは明白でした。1級山岳で攻撃し、UAEのアシストをウェレンス1枚にまで削ったものの、その後の下りでナルバエスとシバコフまで追いついてしまい、最後の2級でナルバエスの牽きから、ウェレンスに変わった直後のポガチャル発射という流れになってしまっていたからです。

 個人的にはヴィスマは守りに徹すると見ていたのですが、攻撃が裏目に出てしまったようでした。ただ、UAEもアシストの調子がイマイチのようなので、3つの超級山岳でUAEのアシストを徐々に削って行けば、ヴィンゲゴーの再逆転も不可能ではないかもしれません。また、逃げにアシストを乗せて前待ちするという作戦もあるでしょう。

 ヴィスマの作戦能力の高さは今年のジロでも証明されています。ただ、それがポガチャル相手に通用するかは分かりません。今のポガチャルはひとりだけ異次元にいる感じがしているからです。今のポガチャルに常識は通用しないかもしれません。今夜のステージでも圧勝するようならツールとブエルタのWツールが見えて来ると見ています。
 




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ドゥフィネが山場へ

2025-06-13 14:06:23 | プロ・ツール
 ツール・ド・フランスの前哨戦と位置づけられているクリテリウム・ド・ドゥフィネがいよいよ山場を迎えようとしています。ポガチャルにヴィンゲゴー、エヴェネプールという3強に加え、ファンデルプールにミランと超豪華メンバーが顔を揃え、今年のマイヨジョーヌの行方を占う絶好の舞台となりそうです。

 第1ステージから総合を争う選手たちがゴールスプリントをするという驚きの幕開けとなり、ポガチャルがゴールスプリントを征し、2位にはヴィンゲゴーが追い込むという激熱のレースになりました。これには流石のポガチャルもやり過ぎと感じたのか、その後はおとなしい走りを見せているように見えました。

 ところが第4ステージの個人TTではTTの世界チャンピオン・エヴェプールが圧巻の走りを見せたのに対し、途中に登りがあったにも関わらず17㎞で48秒というタイム差を付けられてしまったのです。エヴェネプールだけではなく、ヴィンゲゴーからも28秒も遅れていたのが気になりました。初日の走りを観る限り調子が悪いようには見えなかったので、この遅れの要因が何なのか全く分かりません。

 ポガチャルはTTのスペシャリストではありませんが、昨年は登りのあるTTではジロでガンナを、ツールでもエヴェネプールにも勝っている選手なのです。レース後ヴィスマのTTバイクを持ち上げていたポガチャルの姿がSNSに上がっていましたが、流石のポガチャルもこのタイム差は気になっていたのでしょう。特に今年のツールには山岳TTがありますから尚更です。TTバイクはトラックバイクのようなフレーム形状なのでそもそも重量はあるのが普通ですが、メーカーによって重量にかなりのバラつきがあるようです。コルナゴは今回のポガチャルのタイムを見て新たなTTバイクを用意出来るのでしょうか?今季のUAEチーム・エミュレーツはずっとTTの成績が芳しくなかったことを考えると、TTバイクの開発の遅れが影響しているのかもしれません。

 今回のTTではヴィンゲゴーなどはチームカラーがペイントされていないバイクに乗っていましたから、サーベロはツールに向けて新しいTTバイクを投入するのでしょう。コルナゴは今季Y1Rsというエアロロードを投入していて、第1ステージのポガチャルの勝利はこのバイクでした。どちらかというと軽量バイクを好むポガチャルが、このバイクをレースで使用したのはミラノ~サンレモ以来のことなのです。今夜からの山岳3連戦でもY1rsを使うのか、軽量のV5Rsに戻すのかに注目しています。

 山岳に入れば流石にエヴェネプールには勝てるはずですが、調子が良さそうなヴィンゲゴーとのタイム差を詰められるのか?チームとしてもヴィスマの調子が良さそうなので、今季絶好調のポガチャルといえども22秒というヴィンゲゴーとのタイム差は結構大きいはずです。ヴィンゲゴーとしては自ら仕掛ける必要が無いので、ポガチャルをマークし続ければ良いのですから。

 勿論、攻撃型のポガチャルは積極的に仕掛けると思いますが、守りに徹したヴィンゲゴーとヴィスマは強いので、TTで付いたタイム差が総合争いを決してしまった可能性もあると思っています。ヴィンゲゴーには落車の不安もありますが、それさえ無ければヴィンゲゴーがドゥフィネを征してしまうかもしれません。
 




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真のチーム力とは?(2)

2025-06-11 12:05:51 | プロ・ツール
 それが、2018年にツール・ド・ラヴニールを征したタディ・ポガチャルを2019年に獲得したのを転機に、2年連続世界ランク1位のチームにまで登り詰めたのです。ポガチャル加入前のUAEは世界ランクのTOP10にも入っていないチームでした。それが、ポガチャルが加入した2019年には4位に、2020年にはポガチャルのツール・ド・フランス総合優勝もあり3位へと順位を上げて行きます。ちなみにこの年の世界ランク1位はログリッジとファンアールトを擁したユンボ・ヴィスマ(現ヴィスマ・リアースバイク)でした。

 チーム・ヴィスマ・リアースバイクのルーツは1984年とUAEとは2年しか違いがありません。このチームは1996年からラボバンクがメインスポンサーとなり活躍を見せますが、2000年代に入りドーピング問題もありラボバンクが撤退することになります。それでも、このチームにはトーマス・デッケルやデニス・メンショフといったグランツールを勝つような選手が多くいた有力チームだったのです。

 今年のツールからラボバンクがスポンサーに戻って来ると噂されているヴィスマですが、昨季からはメインスポンサーだったユンボが撤退していたのです。その影響でエースのログリッジを放出し、昨年はグランツール無冠に終わっていたのですが、今年は移籍で獲得したサイモン・イエーツでマリアローザを獲得しているのですから、流石というしかありません。

 一方のUAEチーム・エミュレーツはたった1ステージでマリアローザを奪われているのです。ポガチャルがツールを連覇した年もユンボ・ヴィスマはログリッジとファンアールト等の活躍で世界ランク1位に君臨していました。2022年のツールではチームとしてポガチャルに襲い掛かり、ヴィンゲゴーがマイヨジョーヌを手にすることになるのです。
 




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エースの存在感(2)

2025-05-16 15:16:35 | プロ・ツール
 彼らアシストを纏めモチベーションを高めるのもエースの役割なのですが、それが出来す、ただ守られるエースというのも存在するのです。ユンボ・ヴィスマのように綿密に戦術を練り、チーム全員に浸透させるといったチームは少数派に入ります。UAEなどは基本的な戦略はあっても、最終的な判断はポガチャルに任されているのです。それでも、チーム内のポガチャルへの信頼感は抜群で、ポガチャルがいるレースとそうでないレースではアシストの動きが変わって見えるほどなのです。

 アユソは非常に能力が高い選手ですが、エースとしての存在感は薄く見えてしまうのは私だけでしょうか?今年のジロ・デ・イタリア第1ステージでも早々に落車していますし、同じ年齢だったポガチャルとは大きく違うのです。大エースポガチャルの陰で大切に育てられてきたということもあるのですが、未だにどこかアユソがだめならアダム・イエーツでといった雰囲気を感じてしまうのです。このステージではジェイ・ヴァインも落車で遅れています。

 それに対しログリッジはまさにチームの支柱といったエース感たっぷりでした。チーム力という面ではUAEの方が圧倒的に上のはずなのですが、どうにもそういう感じがしないのです。第2ステージの個人TTでもログリッジから16秒以上遅れて10位という結果だったのです。後半に重要な山岳ステージが詰まっているので、チーム戦略として若いアユソに無理をさせないというのも理解できますし、6ステージを終えてTOP10に3人が入っているので、表面的には問題はないように見えますが、果たしてアユソに落車の影響は無いのかどうか?TVで観ている限りアユソよりデルトロの方がエースらしく見えてしまっているのです。

 まあ。クイックステップのように初日からエースを落車で失うことはありませんでしたが、UAEチームのバラバラ感が少し気になりました。チームの纏まりという点ではレッドブルの方が圧倒的に上のように見えます。ポガチャルがいる状況に慣れてしまっているのか、ポガチャル不在のUAEには常に一抹の不安を感じてしまうのです。それでもここまで30勝以上を挙げているので、それでも勝てるチームなのかもしれませんが、ポガチャル不在のチームには他チームが付け入る隙があるのもまた事実なのです。

 本来ならセカンドエースのアダム・イエーツがチームを纏めなければいけないと思うのですが、ここのところのアダムの存在感が薄いのも気がかりです。今回のジロにはラファウ・マイカがいるので、彼がチームを纏める存在になっているようです。マイカにはアルベルト・コンタドールやポガチャルといったスパーエースをアシストして来た経験があるのですから。

 ユンボ・ヴィスマの時代にはログリッジとファンアールトという最強の選手が二人もいて、ステージレースはログリッジが、クラシックレースはファンアールトが勝つというチームだったのです。2023年にはセップ・クスがブエルタを勝ち、ヴィンゲゴーがツールを、ジロはログリッジが征し、3大グランツールの完全制覇を成し遂げている世界最強のチームでした。

 タディ・ポガチャルという怪物を擁するUAEチーム・エミュレーツがある中での結果ですから、この年のユンボ・ヴィスマはグランツールでは最強のチーム力だったのは間違いないでしょう。クラシックレースではポガチャルの勝利も多くあり、ポイントランクではUAEが1位になっていますが、グランツールでのユンボ・ヴィスマの強さは別格でした。

 これはログリッジというベテランの支柱がしっかりしていたことが大きかったと思っています。2024年にログリッジがボーラ・ハンスグローエへ移籍してから、チームが低迷しているのがその証左です。逆にレッドブルはログリッジという支柱を得て、若手も奮起しています。昨年はツールを落車でリタイヤしたものの、ブエルタでは7分近い差を大逆転し、4度目の総合優勝を飾っているのです。正に「エースの鏡」ともいえる存在なのです。
 




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Y1Rsがようやく3勝目

2025-05-03 11:18:02 | プロ・ツール
 ツール・ド・ロマンディの第3ステージでゴール前1㎞からアタックしたUAEチーム・エミュレーツのジェイ・ヴァインが勝利。注目したのは彼のバイクが今季から投入されたY1Rsだったことでした。

 昨年末に発表されたコルナゴの最新エアロロードのY1Rsでしたが、UAEチーム・エミュレーツが実際にレースで使用したのは2月のツアー・オブ・オマーンでした。ただ、この時はアダムが総合優勝はしたものの、クイーンステージではV4Rsを選択していたのです。

 Y1Rsの本格デビューはUAEツアーで、ポガチャルがステージ2勝を挙げましたが、その後、ミラノ~サンレモ以降のクラシックレースではポガチャルは1度もY1Rsは使用してこなかったのです。チーム内からは硬過ぎて乗り辛いという評価もあり、アルデンヌクラシックではV4Rsの進化系V5Rsを使用し勝利を積み重ねていたのです。

 ただ、ポガチャルがV5Rsに乗ったレースでもアシストの中にはY1Rsを使っている選手もいて、UAEとコルナゴはY1Rsの実戦でのデータを取り続けていたようです。今回のゴール前は4%程の登り勾配があり、この程度の勾配ならY1Rsのエアロ効果が活きるということなのかもしれません。ステージ3位に入ったアルメイダのバイクはV5Rsでしたから、チームの試行錯誤が伺えます。そんなことをしながら今季32勝を挙げているのですから、ちょっとチーム力が違う感じです。

 流石に今日の第4ステージはティオン2000の頂上ゴールなのでバイクはV5Rsでしょう。平均勾配7.7%で登坂距離が20.2㎞もあるクイーンステージで本格的な総合優勝争いが始まるのですから。

 今後UAEがチームとしてこのY1Rsの熟成に係わっていくことは間違いありませんが、ポガチャルがどういう選択をしてくるのかが注目でしょう。アルペシンのファンデルプールはAEROAD CFRに乗り続けていますが、流石に超級山岳の登りで勝敗が決するグランツールでポガチャルがY1Rsを選択することは無いと思っています。平坦区間での牽引役としてアシストがY1Rsを使うことはグランツールでもあると思いますが、ポガチャル自身がY1Rsを使用したのはUAEツアーとミラノ~サンレモだけなのです。

 こうしたバイクの併用は以前は結構見かけたのですが、近年はスペシャライズドやTREK、cannondale等がオールラウンドのエアロロードを投入する時代に入り、登りでバイクを交換するケースが激減しているのです。山岳の個人TTでもTTバイクで最後まで走り切る選手も増えているほどなのです。
 




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