ツール・ド・ロマンディの第3ステージでゴール前1㎞からアタックしたUAEチーム・エミュレーツのジェイ・ヴァインが勝利。注目したのは彼のバイクが今季から投入されたY1Rsだったことでした。

昨年末に発表されたコルナゴの最新エアロロードのY1Rsでしたが、UAEチーム・エミュレーツが実際にレースで使用したのは2月のツアー・オブ・オマーンでした。ただ、この時はアダムが総合優勝はしたものの、クイーンステージではV4Rsを選択していたのです。

Y1Rsの本格デビューはUAEツアーで、ポガチャルがステージ2勝を挙げましたが、その後、ミラノ~サンレモ以降のクラシックレースではポガチャルは1度もY1Rsは使用してこなかったのです。チーム内からは硬過ぎて乗り辛いという評価もあり、アルデンヌクラシックではV4Rsの進化系V5Rsを使用し勝利を積み重ねていたのです。

ただ、ポガチャルがV5Rsに乗ったレースでもアシストの中にはY1Rsを使っている選手もいて、UAEとコルナゴはY1Rsの実戦でのデータを取り続けていたようです。今回のゴール前は4%程の登り勾配があり、この程度の勾配ならY1Rsのエアロ効果が活きるということなのかもしれません。ステージ3位に入ったアルメイダのバイクはV5Rsでしたから、チームの試行錯誤が伺えます。そんなことをしながら今季32勝を挙げているのですから、ちょっとチーム力が違う感じです。

流石に今日の第4ステージはティオン2000の頂上ゴールなのでバイクはV5Rsでしょう。平均勾配7.7%で登坂距離が20.2㎞もあるクイーンステージで本格的な総合優勝争いが始まるのですから。

今後UAEがチームとしてこのY1Rsの熟成に係わっていくことは間違いありませんが、ポガチャルがどういう選択をしてくるのかが注目でしょう。アルペシンのファンデルプールはAEROAD CFRに乗り続けていますが、流石に超級山岳の登りで勝敗が決するグランツールでポガチャルがY1Rsを選択することは無いと思っています。平坦区間での牽引役としてアシストがY1Rsを使うことはグランツールでもあると思いますが、ポガチャル自身がY1Rsを使用したのはUAEツアーとミラノ~サンレモだけなのです。

こうしたバイクの併用は以前は結構見かけたのですが、近年はスペシャライズドやTREK、cannondale等がオールラウンドのエアロロードを投入する時代に入り、登りでバイクを交換するケースが激減しているのです。山岳の個人TTでもTTバイクで最後まで走り切る選手も増えているほどなのです。