CYCLINGFAN!!

自転車をこよなく愛し、自分の脚と熱いハートで幾つになっても、可能な限り、どこまでも走り続けます~♪

『黄金世代』は色褪せない(1)

2024-06-16 15:15:28 | 渋野日向子
 女子ゴルフ界には『黄金世代』と呼ばれる1998年生まれの選手たちがいる。15歳の高校1年という最年少でバンテリンオープンに優勝した勝みなみ、高校生3年生で日本女子オープンを勝った畑岡奈紗の活躍もあったが、『黄金世代』という呼び名が一気に広まったのは、なんといっても渋野日向子の全英女子オープンの優勝だった。

 確かにこの1998年生まれの選手たちは畑岡奈採、小祝さくらの10勝、勝みなみ、原エリカの8勝。渋野日向子の7勝、河本結の5勝等、プロで勝利を挙げている選手が15人もいる最強世代である。ただ、これだけ活躍する選手がいる一方で賞金女王になった選手がひとりもいないのだから不思議だ。畑岡が18歳でプロ入りし、直ぐに渡米してLPGAで戦っていることも大きいし、絶好調のシブコも2019年に僅差の2位に終わっている。これも全英女子オープンの賞金が加算されていれば断トツの1位だったのだが…個人的には2019年の賞金女王は渋野日向子だと思っている。

 その後も2000年生まれの選手たちは『プラチナ世代』と呼ばれ、古江彩佳、西村優菜、吉田優利等、現在は皆LPGAメンバーだ。そして、目下2年連続の賞金女王山下美夢有は2001年生まれで『新世紀世代』と呼ばれているが、同世代の勝利数は『黄金世代』に遠く及ばない。
 その『黄金世代』も近年、畑岡奈採と小祝さくら以外安定した成績が残せていない。確かに勝みなみや原エリカがたまにメジャーで勝つことはあっても、彼女らの成績も安定しない。勿論、渋野日向子も2021年以来優勝が無いのだ。勝みなみは昨季からLPGAに参戦している。
 陰りが見え始めたかに見えた『黄金世代』だが、昨年、明治安田生命レディースで吉本ヒカルが14人目となる優勝を飾り、今年は天本ハルカがパナソニック女子オープンで初優勝を挙げ、15人目の『黄金世代』の優勝者となった。この頃は絶不調に喘ぐシブコばかりが気になっていたのだが、5月の末にヨネックスレディースで新垣日菜が青木翔コーチとのタッグで6年振りの優勝を飾っていたのだ。この朗報はシブコの元にも届いていたようで、彼女自身も全米女子オープンへの良い刺激になっていたという。

 そしてシブコ復活の狼煙となった全米女子オープンと同時期に行われていたサントリーレディースでシブコの盟友大里桃子が3年ぶりの優勝を挙げる。この知らせを知って最終日をスタートしたシブコ。我慢に我慢を重ね、笹生に次ぐ単独2位という好結果で終えた。こうした刺激の相乗効果が『黄金世代』の強さの秘訣かもしれない。
 


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シブコ復活の狼煙(4)

2024-06-16 10:03:24 | 渋野日向子
 ここのところほとんどなかった上を見ながらの決勝ラウンドが始まりました。全米女子OPから3試合連続の予選通過になります。本当に選手にとって結果が出るというのは大きな自信になるのでしょう。全米女子OP2位という結果はシブコに間違いなく自信をもたらした。続くショップライトクラシックでもポアナ芝のグリーンに苦戦しながらも、下を向かずシブコスマイルがみられたのですから。

 第2ラウンドでは平均飛距離が270ヤード近くを計測。前日と比べても10ヤードも飛距離が伸びていた。風向きもあるのかもしれませんが、本人も朝の練習でボールのスピードがこれまでになく上がっていたという。試合後のインタビューでも「振りち切っていた」とシブコ節も出ていたほどです。フェアウェーキープ率は50%を切り、ラフからのショットが増え、結果バンカーショットも多くなったもののサンドセーブ率は100%でした。
 距離の長いコースでラフに入れても今週は飛距離重視と決めているのかもしれません。フェアウェイキープ率やパーオン率が下がっても、このコースは飛距離が大事という本人の判断なのでしょう。この日も出だしでティショットを右ラフに入れ、セカンドでグリーンオーバー、アプローチも寄らずボギーとするも、550ヤードのパー5で2オンからのイーグルを奪取。一機に8アンダーとスコアを伸ばす。

 この日のグリーンは意外に重いようでバーディチャンスのパットをショートしてしまうケースが多く、優勝を狙うにはパター勝負になりそうでした。5番・6番・7番と立て続けに弱目のパットでおしくもバーディを逃し続ける。シブコらしさが見られない。絶好調のシブコなら強気のパットで全て決め切れていたはず。この日はパー5以外でのバーディは難しそう。
 全米女子OP2位で一躍シブコ復活の話題が盛り上がっているようですが、個人的には強気のショットにカップの淵にカツンと当たる強気のパットが加わらないとシブコの本格復活はないと見ています。あくまでも「復活の狼煙」を挙げている状態だと思っています。ピークは翌週のメジャーKPMG全米女子プロに併せているのかもしれません。

 全米女子OPの時からシブコは何かを試しながらラウンドしている感じがしています。これまではショットに自信が持てないので、考え過ぎているのではと感じていたのですが、この日のラウンドもそうですが、バーディパットをショートしても考え過ぎるような仕草はみられませんでした。この日2つ目の8番パー5でも、これまで外しまくっている距離のバーディーパットの前の表情には余裕すら感じられました。このパットを決め、ロングホール2つで3アンダーで前半を折り返します。
 後半もパー5から始まり、ティーショットが飛び過ぎてフェアウェイバンカーにつかまります。落ち着いてセカンドをフェアウェイに出し、サードショットでピンを狙うイメージが出来上がっているのかもしれません。ただ、このホールはワンピンほどのバーディパットを外し、パー5コンプリートはなりませんでした。
 グリーン上で我慢を続けて来たシブコですが、12番パー4でナイスなティショットからナイスなセカンドでピン傍へと運び笑顔も見られたのですが、自信を持って打ったと思われたバーディパットを外すと表情が曇る。これはヤバイと思っていたら、続く13番パー3でティーショットを大きく左へ曲げ、ラフからのアプローチもミス、3打目も寄せられずのWボギーにしてしまう。

 これまでも思うようにならないパターが続くとイライラが募り、ショットに影響することがありましたが、この日の後半はまさにそのパターン。アウトはそれでもパー5でイーグルとバーディが取れていたことで落ち着けていたようですが、10番のパー5でバディが取れなかったことからリズムが崩れ始めたようです。とどめが12番のパットでした。自分の中で求める理想が高くなった今、ひとつ考え始めるとまだ負の連鎖が始まってしまうようです。解説者は後半崩れたのは13番のティーショットが原因のように言っていましたが、私は12番の自信を持って打ったバーディパットを外したことを引きずってしまった結果だと思っているのです。
 14番のパー5でも前半の勢いなら間違いなく2オンしていたはずが、グリーン手前でボールが止まってしまいます。ボールに勢いを感じなくなっていました。案の定アプローチが寄せられず、バーディならず。15番のショートホールは右にプッシュしてバンカーへ。昨日迄ならピンに上手く寄せられていたはずなのに、この日はピンを大きくオーバー。気持ちが切れてしまっているのが分かりました。以前はよく見かけた光景です。
 最終18番でバーディを奪ったものの、15番、17番をボギーとし、この日は1オーバーで3日目を終えてしまう。且つて絶好調だった頃のシブコはバウンスバックが代名詞でした。技術も未熟でスコアのアップダウンも大きかったのですが、ボギーを叩く以上に強気でバーディーを取りまくっていた。カッとなり易い性格ですが、気持ちの切り替えも早いのが彼女のメンタリティの強さでした。それが、最近は見られない。理想が高くなり、メンタルがそれについて行けない感じなのです。その結果、悪い流れがなかなか止められなくなっているようです。本当に前半にどれかひとつでもバーディーパットが決まっていたら、優勝争いに加わることができたはずです。それがなかなか出来ないシブコは完全復活と思えない理由なのです。
 ショットが高い理想に近づいて来たことで予選通過は当たり前になりました。ティーショットも今週は飛んでいました。この日の飛距離は275ヤードです。ただ、今日のようにそれでもパターが決まらないと考え始め、リズムを崩してしまう。それでも1オーバーで収めているので復調しているのは間違いありません。試合後のインタビューでも口にしていたように、前半で惜しいパットがいくつもあり、一個でも決まってくれていたらビッグスコアもあったと本人も感じていたようです。
 この日のスタッツはフェアウェイキープ率53.8%、パーオン率72.2%と前日を上回っていたのですが、32パットで1オーバー。順位は33位まで後退していますが、速い時間帯のスタートになるので大まくりしてトップ10入りを目指してもらいたいと願っています。全米女子OP2位でCMEランキングも上がり、シード権の心配もなくなっているので、予選を通過し最終日を迎えられることを喜びに、思いっきりの良いプレーを見せて欲しいと思っています。次週のKPMG全米女子プロに向けてしっかりとした準備をして欲しい。全英で見せたあの輝きをもう一度見てみたい。
 



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