ジロ・デ・イタリアの第11ステージは前日の個人TTでタイムを失っていたEFエデュケーション・イージーポストのリチャル・カラパスが総合優勝した2019年以来となるジロのステージ優勝を飾りました。グランツールでも昨年のツール第17ステージ以来の優勝です。

2019年にジロで総合優勝を果たしているカラパスですが、当時はモビスターに所属し、バイクはCANYONのUltimate CFでした。この優勝で翌年イネオスへ移籍するも、ポガチャルやヴィンゲゴーとログリッジの台頭でその後のグランツールでは彼らの後塵を拝することになるのです。ピナレロのドグマがカラパス向きではなかったのかもしれません。

心機一転、2023年に今のEFへカラパスが移籍したのは、cannondaleがこの年に発表した第4世代のSupersix EVOに魅力を感じてのことかもしれません。ツール・ド・フランスで第4世代のSupersix EVOの広告塔になるはずでしたが、残念ながら第2ステージの落車で早々にリタイヤしていたのです。第4世代のSupersix EVOは市場でも評価の高いバイクでしたが、なかなかグランツールでは勝てない時期が続きます。

昨年も早々に総合争いからは脱落したものの、後半の山岳ステージで奮闘を見せ、ポガチャルやヴィンゲゴー、エヴェネプールにログリッジがいる中でステージ優勝に加え山岳賞まで獲得し、第4世代のSupersix EVOが登りに強いバイクというインパクトを残こすことに成功するのです。長い長い1年でした。
ロードバイクのエアロ化が進む中でも山岳に強いバイクとそうでないバイクがあるのも事実で、平地では圧倒的に強いCANYONのAEROAD CFRですが、やはり厳しい登りではアドバンテージは無いようです。ピナレロのドグマも同様でしょう。モビスター時代のカラパスは軽量のUltimate CFを使用していたのです。バルベルデはAEROAD CFも使っていた時代でした。

登りが厳しいとされるジロ・デ・イタリアですが、今のところコルナゴのV5Rsが1・2で、3位アントニオ・ティベーリはメリダのREACTOではなく軽量のSCULTURAを使用しています。4位のサイモン・イエーツはサーベロのS5を使用していると思われます。5位のログリッジはスペシャライズドのS-WORKS TARMAC SL8です。丘陵ステージでのスプリントでは圧倒的に強かったTREK Madone Gen8は山岳ステージでは勢いが無いように見えます。

TOP10に4台が揃うコルナゴのV5RsはV4Rsの進化モデルですが、この強さは驚異的です。ポガチャルが乗ればどんなバイクでも勝てるとは思いますが、ポガチャル不在のグランツールでもこの成績なのですから。

一方、ここまであまり目立ってこなかったSupersix EVOの本格的な出番はこれからになるはずです。昨年はワールドランキング12位と奮闘したEFですが、今季はパウレスとヒーリーの勝利はありましたが、ここまで14位とパッとしない成績でした。カラパスにはもう少し頑張ってもらって、出来れば総合表彰台を狙ってもらいたいと願っています。やはり、自分が乗っているバイクが世界のトップレースで活躍するのは嬉しいものですから。昨年のジロはシュタインハウザーの1勝のみに終わっているので、カラパスにはせめてもう1勝を期待してしまいます。