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SuSupersix EVOがジロも征す

2025-05-22 13:57:23 | ジロ・デ・イタリア
 ジロ・デ・イタリアの第11ステージは前日の個人TTでタイムを失っていたEFエデュケーション・イージーポストのリチャル・カラパスが総合優勝した2019年以来となるジロのステージ優勝を飾りました。グランツールでも昨年のツール第17ステージ以来の優勝です。

 2019年にジロで総合優勝を果たしているカラパスですが、当時はモビスターに所属し、バイクはCANYONのUltimate CFでした。この優勝で翌年イネオスへ移籍するも、ポガチャルやヴィンゲゴーとログリッジの台頭でその後のグランツールでは彼らの後塵を拝することになるのです。ピナレロのドグマがカラパス向きではなかったのかもしれません。

 心機一転、2023年に今のEFへカラパスが移籍したのは、cannondaleがこの年に発表した第4世代のSupersix EVOに魅力を感じてのことかもしれません。ツール・ド・フランスで第4世代のSupersix EVOの広告塔になるはずでしたが、残念ながら第2ステージの落車で早々にリタイヤしていたのです。第4世代のSupersix EVOは市場でも評価の高いバイクでしたが、なかなかグランツールでは勝てない時期が続きます。

 昨年も早々に総合争いからは脱落したものの、後半の山岳ステージで奮闘を見せ、ポガチャルやヴィンゲゴー、エヴェネプールにログリッジがいる中でステージ優勝に加え山岳賞まで獲得し、第4世代のSupersix EVOが登りに強いバイクというインパクトを残こすことに成功するのです。長い長い1年でした。
 ロードバイクのエアロ化が進む中でも山岳に強いバイクとそうでないバイクがあるのも事実で、平地では圧倒的に強いCANYONのAEROAD CFRですが、やはり厳しい登りではアドバンテージは無いようです。ピナレロのドグマも同様でしょう。モビスター時代のカラパスは軽量のUltimate CFを使用していたのです。バルベルデはAEROAD CFも使っていた時代でした。

 登りが厳しいとされるジロ・デ・イタリアですが、今のところコルナゴのV5Rsが1・2で、3位アントニオ・ティベーリはメリダのREACTOではなく軽量のSCULTURAを使用しています。4位のサイモン・イエーツはサーベロのS5を使用していると思われます。5位のログリッジはスペシャライズドのS-WORKS TARMAC SL8です。丘陵ステージでのスプリントでは圧倒的に強かったTREK Madone Gen8は山岳ステージでは勢いが無いように見えます。

 TOP10に4台が揃うコルナゴのV5RsはV4Rsの進化モデルですが、この強さは驚異的です。ポガチャルが乗ればどんなバイクでも勝てるとは思いますが、ポガチャル不在のグランツールでもこの成績なのですから。

 一方、ここまであまり目立ってこなかったSupersix EVOの本格的な出番はこれからになるはずです。昨年はワールドランキング12位と奮闘したEFですが、今季はパウレスとヒーリーの勝利はありましたが、ここまで14位とパッとしない成績でした。カラパスにはもう少し頑張ってもらって、出来れば総合表彰台を狙ってもらいたいと願っています。やはり、自分が乗っているバイクが世界のトップレースで活躍するのは嬉しいものですから。昨年のジロはシュタインハウザーの1勝のみに終わっているので、カラパスにはせめてもう1勝を期待してしまいます。
 



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マリアローザの行方(2)

2025-05-21 13:52:31 | ジロ・デ・イタリア
 同じことがUAEで起きることは無いと思います。これまでもアユソの移籍話が出ることはありました。確かにポガチャルという絶対的エースがいるので、万が一アユソが移籍しても当時のヴィスマほどのダメージは無いとは思います。ただ、チームとしてはわざわざライバルを増やすことはデメリットではあるのですから、UAEはヴィスマの二の舞になることはないと思っています。

 チームとしてある程度アユソとデルトロを自由に競わせると見ていますが、昨日の個人TTを見る限りアユソにもエースとしての意地があり、自分の力でエースの証明をしようとしているようでした。雨の中の厳しいレースでしたが、デルトロとのタイム差を1分近く詰めてみせたのですから。

 ログリッジとのタイム差は縮まってしまいましたが、TOP7に4名の名を並べたUAEチーム・エミュレーツが圧倒的に有利なはずです。ジャイ・ヒンドレーを落車で欠き、第9ステージでもアシストが1枚で遅れてしまったログリッジが最終週の山岳でUAEの厚い壁を破れるとは考え辛いのです。

 個人TTではログリッジの力だけでタイム差を埋めましたが、厳しい山岳ではアシストの力はどうしても必要ですから、ログリッジにとっては厳しい状況には変わりがないでしょう。今日の第11ステージは逃げ切りも可能なコースですが、UAEがマリアローザを手にしている限り、きちんと集団コントロールするはずなので、ログリッジがタイムを稼ぐのは難しくなるはずです。

 2週目の山場は第16ステージになると思います。獲得標高5000mの山岳コースで、ゴールは1級山岳サンタ・バルバラ(距離12.7km/平均8.3%)の山頂。標高は1300mほどなのでアユソ向きかもしれませんが、ここでデルトロが大きく遅れることも想像できません。ただ、タイム差は僅か25秒なので、どこかで意図的にマリアローザをアユソにバトンタッチしてくる可能性もあります。

 昨年のブエルタでは6分以上の大差をひっくり返したログリッジですが、今回は相手が違います。ヴォルタ・カタルーニャでのアユソとはデットヒートで最終的なタイム差はわずか28秒でした。今回のジロはチームもTOP7に4人揃えるという世界最強のUAEチーム・エミュレーツですから、チーム力でもかなり厳しいと見ています。総合3位のアントニオ・ティベーリはティレノ・アドレアティコではアユソに敗れていますし、4位のサイモン・イエーツに至ってはティレノ・アドレアティコでもヴォルタ・カタルーニャでもアユソに完敗しているので総合争いに加わるのは厳しいはずです。

 個人TTの頑張りで5位まで順位を上げてきたログリッジですが、2022年のツールであのポガチャルを負かしたユンボ・ヴィスマのようなチームとしての攻撃を受ける可能性が考えられるのです。7位のアダム・イエーツとログリッジの差は1分も無いので、山岳でアダムが動いてもログリッジがマークしなければいけない状況なのです。

 6位と7位はチームメイトで、8位がジュリオ・チッコーネです。リエージュ・バストーニュ・リエージュこそポガチャルの2位と健闘を見せましたが、ティレノ・アドレアティコではアユソに完敗しています。6位のサイモン・イエーツに至ってはティレノ・アドレアティコでもヴォルタ・カタルーニャでもアユソに完敗しているので総合争いに加わるのは厳しいはずです。

 個人TTで9位まで順位を落としたEFのカラパスが最終週の山岳では一番怖い存在になるかもしれません。昨年ツールの山岳賞獲得者で2019年のジロの覇者でもあるのですから。この時の2位がニーバリ、3位がログリッジだったのです。2022年もジャイ・ヒンドレーに敗れ2位でしたが、そのヒンドレーは落車でリタイヤしているのです。ただ、全盛期は過ぎているのでマリアローザというより、総合表彰台狙いになる可能性が高いと見ています。
 復活の兆しのあるエガン・ベルナルもチーム力があるので注目の選手ですが、流石に総合争いは厳しいと見ています。結局、マリアローザはUAEのアユソとログリッジの争いになって行きそうです。
 



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マリアローザの行方(1)

2025-05-20 15:01:33 | ジロ・デ・イタリア
 昨年のジロ・デ・イタリアは第2ステージからポガチャルが着続けたマリアローザですが、今年は1周目を終えて既に4人が袖を通している混戦模様になっています。アルバニアをスタートし丘陵ステージでリドル・トレックのマッズ・ピーダスンがステージ3勝と大活躍を見せました。デンマーク人のマリアローザは初めてというのは驚きでした。デンマークといえばヨナス・ヴィンゲゴーという偉大な選手がいるのですが、彼がこれまで1度もジロに出場していなかった結果でしょう。

 9戦中3勝を挙げているピーダスンのマリアローザ着用日数は5日間で、第2ステージの個人TTで2位、第7ステージ4位に入ったログリッジが2度、逃げが決まった第8ステージではアスタナのディエゴ・ウリッシに渡り、第9ステージでは何と21歳のメキシカン・デルトロへと渡っているのです。

 35歳のベテラン・ウリッシのマリアローザは人生初、21歳のデルトロのマリアローザは今世紀最年少という記録付の偉業でした。昨日は2度目の休養日で今日は2度目の個人TTですが、デルトロと総合2位アユソとのタイム差は1分以上あるので28.6㎞のTTでは総合順位のシャッフルはあるものの、大きな落車でも無い限りマリアローザの移動は無いと思います。

 ただ、気になるのがUAEチーム・エミュレーツ内のエース問題です。TOP10内にデルトロ、アユソ、マクナルティにアダム・イエーツと4人もいるUAEならではの悩みでしょう。最大のライバル・ログリッジより上位に4人も選手がいるUAEが圧倒的に有利なことは間違いありません。ただ、チーム内がぎくしゃくするとマリアローザを獲得出来ても、後に禍根を残してしまうこともあるからです。

 代表的なの例は2023年のブエルタでのユンボ・ヴィスマでしょう。ログリッジ、ヴィンゲゴーのWエースで臨んだはずか、アシストのセップ・クスがマイヨロホを獲得してからチームの雰囲気が変わって行きました。チームは最初の内は選手任せにしていたのですが、チームメイト同士のバトルが起こると世間が騒ぎ始めます。それを気にしたチームがクスをエースと決めると、ログリッジが反発し、翌年の移籍へと繋がってしまうのです。

 2023年にはログリッジ、ヴィンゲゴー、クスの3名で3大グランツール完全制覇という偉業を成し遂げたヴィスマでしたが、メインスポンサーのユンボが撤退し、ログリッジがチームを去ると、昨年は無冠に終わります。移籍したログリッジがブエルタを総合優勝しているので、ログリッジの移籍の影響は大きかったと見ています。
 



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新たなヒーロー登場(1)

2025-05-19 13:23:33 | ジロ・デ・イタリア
 ジロ・デ・イタリア2025の第9ステージは、今年3月に行われたストラーデビアンケと同じコースを使った過酷なレース。最終週の山岳ステージのように決定的なものではないものの、落車などのトラブルで総合争いから脱落する選手が出ても不思議ではないコースでした。

 3月のストラーデビアンケでは落車しながらもポガチャルがピドコックを大きく突き放して勝利した姿も記憶に新しい。トスカーナ地方の美しい風景の中を駆け抜ける選手たちを待ち受けるのが、5つの厳しい未舗装路区間でした。ストラーデビアンケの半分の距離29.7kmとはいえ、視界が霞む真っ白な土煙の中を駆け抜ける熾烈なコースで、早々にマリアローザのウリッシが遅れて行きます。そんな中、小さくなったプロトンで落車が発生。総合を争うログリッジやアユソも巻き込まれる事態になってしまいました。UAEはマクナルティーも落車に巻き込まれ酷く出血をしていました。

 アユソの前を走っていて落車を免れたデルトロが加速し、それにワウト・ファンアールトが反応。さらにイネオスのエガン・ベルナル等が食らい付き7名の逃げが出来上がります。後方ではログリッジがパンクに見舞われさらに後方へと遅れてしまいます。

 追走集団にアユソがいるデルトロはアタック時以外ほとんど前に出ることなくレースを進めます。一方、総合を狙うエガン・ベルナルはチームメイトのブランドン・リベラと共に懸命に前を牽きます。アユソがいる追走集団も逃げにデルトロが入っているので、積極的に牽引することも出来ず。ただ、後ろのログリッジからはタイムを奪いたいという難しい状況になっていたようです。
 先に逃げていたアルペシン勢が遅れ、先頭は4名になりますが、追走集団との差は開いて行きます。これが未舗装路の怖いところで、強いトルクが掛け辛く、一度開いた差を詰めることが難しいのです。UAEとしては悩ましい状況で、逃げにデルトロ、追走集団にアユソ、アダムにマクナルティーという展開。デルトロも無線を使い指示を仰ぐシーンもありました。
 おそらく、チームからゴーが出て、ストラーデビアンケでポガチャルもピドコックを突き放したピンツート手前の登りでデルトロがアタック。ワウトとベルナルが懸命に食らい付く。それに、後から合流して来たリドル・トレックのマティアス・バチェクが合流。本来ならチッコーネのアシストのはずのバチェックにアユソのアシストと見られていたデルトロが、エースを置き去りにして前を行く展開は予想外でした。
 



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ジロ・デ・イタリア2025の展望(3)

2025-05-18 13:20:12 | ジロ・デ・イタリア
 ジロ・デ・イタリアの第8ステージは総合争いの駆け引きで、初めての逃げ切り勝利という結果になりました。序盤から逃げ切りのチャンスを求めたチームがアタック合戦を繰り返し、序盤1時間の平均速度が49.5㎞/hという超ハイペースで進みました。

 このハイペースで100人ほどになった集団から20人程の大きなグループが逃げ出す事に成功したのは83㎞通過時点でした。ステージの難易度は3つ星でしたが、獲得標高は前日のステージを上回り、選手たちの消耗は激しかったと思います。

 ただ、マリアローザのログリッジ擁するレッドブルはこの日でマリアローザを手放すことを決めていたようで、レッドブルが牽引するとタイム差が広がる傾向にありました。逃げにアリエタを送り込んだUAEも積極的に牽く必要が無く、タイム差はみるみる広がって行きました。

 ただ、レッドブルには昨年のブエルタの第6ステージでベン・オコーナーに大差で逃げ切られたという前科があるのです。最終的にはかろうじて総合優勝は出来たものの、敢えて犯す必要のないリスクを背負ってしまったのも事実です。まあ、今回のジロは総合上位にUAE勢がいるので、実質タイム差をコントロールしていたのはUAEチーム・エミュレーツでした。

 20名の逃げも最終的にはウィルコ・ケルデルマン(ヴィスマ)、ディエゴ・ウリッシ(アスタナ)、後から合流したルーク・プラッブ(ジェイコ)、イゴール・アリエタ(UAE)の4人に絞られます。アリエッタが逃げに乗っている後方ではUAEが先頭に出るシーンもありました。これは、逃げに乗っているアリエッタがツキイチでいるための後方支援です。

 ゴールスプリントでは勝てないとみたプラップがゴールまで残り45.6kmのモンテラーゴ峠の頂上が近づいた所でアタックを決め、後続との差を広げて行きます。TTスペシャリストのプラップですが、第2ステージの個人TTでは落車していたので、このステージは最初から狙っていたようです。
 最終的にアリエタも加わり追いかけるもタイム差は縮まらず、TTスペシャリストらいしい美しいフォームで軽快に逃げたプラップが逃げ切り勝利。これがワールドツアー初勝利というのが信じられない選手です。ルーク・プラップというとオーストラリア・チャンピオンジャージというイメージが強く、何かジェイコのジャージだと不思議な感じがしました。どうやら今年はチームメイトのダーブリッジの2位に敗れていたようです。

 2番手グループにいたディエゴ・ウリッシはスタート時点で4分1秒遅れの総合30位でしたが、マリアローザがいるプロトンとは4分半ほどのリードを築き暫定でマリアローザに。ウリッシは昨年までUAEに所属し、今季からXDSアスタナへ移籍した35歳のベテランです。総合タイム差で上位にいたマリア・アッズーラのロレンツォ・フォルトゥナートがマリアローザの可能性もありましたが、最後は力尽きてしまいました。ただ、ウリッシから12秒遅れの総合2位へジャンプアップ。今年のXDSアスタナはモチベーションが違うようです。今季スタート前はプロチームへの降格も考えられていたのですが、現在は世界ランク3位と躍進を見せているのですから。

 5分近く遅れたプロトンではゴール前でアユソがアタックし、ログリッジから1秒タイムを奪いました。前日はデルトロがゴール前でログリッジの前を取りボーナスタイム獲得を阻止。たかが1秒されど1秒というのがロードレースの世界で、このわずかなタイム差が後々プレッシャーとなって行くのです。

 一見余裕があるように見えるログリッジですが、微妙なUAEのジャブが入りつつあるようです。UAEはアユソ、デルトロ、アダム・イエーツという3枚のカードがあり、今後、誰がアタックしてもジャイ・ヒンドレーを欠くログリッジはマークに入らざるを得ないのが実情なのです。全ては今日の第9ステージと第10ステージの個人TTの結果次第になるはずです。ただ、この2つのステージでも大きなタイム差が付かない場合は、最終週の調子次第でいつでもエース交代があり得るのが今年のUAEのチーム力なのです。

 今日の第9ステージは今年のストラーデビアンケでも使われた未舗装路が登場します。ワンデーレースでも強さを見せるアユソですが未舗装路やパヴェ(石畳)の経験が少なく、本人も一番気にかけているステージのようです。ポガチャルというスペシャリストがいるので何らかのアドバイスはもらえていると思いますので、そこまで神経質になる必要は無いと思っているのですが。今季ストラーデビアンケ2位のピドコックやパリ~ルーベ4位のファンアールトといったスペシャリストもいますので、ここで再びマリアローザが移動する可能性もあります。最終的にはログリッジ対UAEという構図になりそうですが、今年は結構マリアローザは頻繁に移動することになりそうな気配です。
 
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