ピンツートの登りでシッティングのまま加速するデルトロにワウトが懸命に食らい付き、先頭は2名に絞られます。追走集団にエースのサイモン・イエーツがいるワウトは前に出ず、デルトロの一人牽きのままゴールを目指します。この段階で暫定マリアローザのデルトロ。ティレノ・アドレアティコではアユソのアシストに徹していたデルトロですが、ここまでのレースを観る限りアユソより調子が良いように見えていました。

カンポ広場のゴール前でワウトにスプリントで敗れたものの、21歳の若いメキシコ人がマリアローザを獲得するという偉業を成し遂げた歴史的な瞬間に感動を覚えました。ゴール後アダムと抱擁するシーンがありましたので、この二人の関係は良好なのでしょう。ただ、敗れたアユソの心境は複雑でしょう。このままエース交代とはならないと思いますが、明日の個人TTの結果次第ではデルトロで総合優勝を狙うという可能性もゼロでは無くなりました。

ツール・ド・ラヴニールの覇者で将来を嘱望されてUAEへ加入したデルトロ。昨年、初参加となったツアー・ダウンアンダーでいきなりステージ優勝を飾り、今年はワンデーレースのミラノ~トリノでも優勝をしています。イツリア・バスクカントリーでもアルメイダをアシストしながら新人賞を獲得しているです。

第7ステージでグランツール初勝利を挙げたアユソがチームのエースと見られているようですが、アダム・イエーツは複数エースだと口にしています。個人的にはデルトロを含めた3枚エース体制だと見ています。ヴォルタ・カタルーニャの最終ステージでログリッジに敗れているアユソにはちょっと不安なところがあるからです。実際にこのステージでログリッジとのタイム差は逆転したものの、最後の登りではチッコーネ、カラパス、サイモン・イエーツ、ティベーリに敗れ7位でゴールしているのです。

総合ではアユソとデルトロとのタイム差は1分13秒なので、明日の個人TTでアユソがどこまでタイムをつめて来るのかに注目です。ただ、TT能力は未知数ながら第2ステージの個人TTでは13.7㎞でアユソとタイム差はわずか1秒ほどなので、落車やメカトラでもない限り1分以上のリードは大きいはずです。