CYCLINGFAN!!

自転車をこよなく愛し、自分の脚と熱いハートで幾つになっても、可能な限り、どこまでも走り続けます~♪

第107回ジロ・デ・イタリア第12ステージ

2024-05-17 09:50:05 | スポーツ
 まさにアルデンヌ・クラシックレースのような厳しいアップダウンが続いた、ジロ・デ・イタリアの第12ステージはベテランの知恵と意地を見せたジュリアン・アラフィリップ(スーダル・クイックステップ)が勝利をつかんだ。ツールやブエルタでも勝利していた元世界チャンピオンにとってもこのステージ優勝は特別なものがあったようだ。彼にとってこれがジロの初勝利となったのだから。

 スタート直後の激しいアタック合戦から始まったステージは、最初の1時間は平均速度が57km/hを越える超ハイペースで流れ、結構大きな逃げ集団を複数作ることになってしまった。その中に総合成績を左右する選手が含まれていたため、有力選手を抱えるチームにとってはとても難しいレースを強いられることになる。そんな状況でもポガチャルを擁するUAEは落ち着いて見えた。先頭から5分以上離されたものの有力選手を含む集団はかなり小さくなり、ポガチャルも13位でフィニッシュしているのだから。
 残り126kmからイタリアの若手ミルコ・マエストリ(ポルティ・コメタ)を引き連れて飛び出したアラフィリップ。時折マエストリに声を掛け、山岳ポイントを譲りながら快調に逃げて行った。ここまで若手の活躍が目立っていたが、この日はベテランの日となったようだ。

 27歳がピークと言われるワールドツアーで30歳を超えた選手が活躍するのは難しくなりつつある。特に近年はクラシックではファンデルプール、ポガチャル、ファンアールト。グランツールではポガチャル、ヴィンケゴーといった20代中盤から後半といった強力な選手たちが立ちはだかっているのだ。
 今年のジロでも第1ステージのナルバエスは27歳、第2、7、8ステージのポガチャルは25歳、第4ステージのペラヨ・サンチェスは24歳、第9ステージのオラフ・コーイは22歳、第10ステージのヴァランタン・パレパントルは23歳、スプリント2勝を挙げているジョナサン・ミランは2000年生まれの23歳なのだ。
 こうした若くて脚力のある選手たちの隙をつく数少ないチャンスを見逃さないのがベテラン選手なのだろう。特にこのステージのアラフィリップは若いマエストリを励ましながら、ポイントも彼に譲ることでモチベーションを高めることに成功している。そんなベテランに引っ張られるように懸命に走り切ったマエストリも9位でゴールしているのだ。
 2022年の落車による怪我以降、時折勝利を挙げながらも以前のような成績が残せないでいたアラフィリップ。また昨年の冬には所属チームのGMであるパトリック・ルフェーブル氏との軋轢も報じられるなか、改めてその強さをジロという舞台で証明することが出来たのだ。
 余談になるが、前日のミランもこの日のアラフィリップも発売されたばかりの新型SRAM RED AXSを使用しているので、MTBに続いてロードでもSRAMがSHIMANOを脅かす存在になりつつあるのかもしれない。

 明日の第13ステージは平坦コースなので、ミランの勝利をライバルチームがどう封じるのかに注目だ。ポガチャルはアシストのグロースシャルトナーの回復を待つに違いない。彼の勝負は第14ステージの個人TTと翌日の山岳頂上ゴールになるはずだ。
 

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第107回ジロ・デ・イタリア第6ステージ

2024-05-10 11:45:35 | スポーツ
 イタリア中部トスカーナ州が舞台となったジロの第6ステージは、ストラーデ・ビアンケでお馴染みのグラベル(未舗装路)がコース後半に3カ所設定されていました。第1セクターは残り49.5kmから始まる4.4km、第2セクター(4.8km)は最大勾配15%の4級山岳(距離3.4km/平均4.9%)を含み、最後の第3セクターは残り17.9km(2.4km)からで、加えてラスト5kmには最大勾配20%というセッレ・ディ・ラポラーノの丘が待ち構え、ほぼ後半勝負となりそうなステージでした。
 スタート直後、EFエデュケーション・イージーポストのミッケルフレーリク・ホノレのアタックに始まり、様々な選手が飛び出そうとするも、大きな逃げを警戒してかプロトンはハイスピードを維持し逃げを容認しませんでした。約70kmをひと塊のまま進んだ選手たちは最初の4級山岳に突入します。
 この登坂距離8.6km/平均勾配4.7%の登りでは、開幕から3日連続で逃げたフィリッポ・フィオレッリ(VFグループ・バルディアーニCSF)が飛び出し、オレリアン・パレパントル(デカトロンAG2R)やジュリアン・アラフィリップ(スーダル・クイックステップ)が追従する。そして4級山岳を越えてもなお先頭の選手は入れ替わり、残り84km地点、スタートから約100km地点でようやく7名の逃げグループが成立しました。

 直後に設定された中間スプリントはグローブスが先頭通過して、マリアチクラミーノ(ポイント賞)ランキングの2位に浮上。マリア・ローザを擁するUAEチーム・エミュレーツはゆったりとしたペースでプロトンをコントロールし、逃げ集団に対し3分以上の差を与えてしまいます。結果、バーチャルでのマイヨ・ジョーヌが逃げに乗っているルーク・プラップ(ジェイコ・アルウラー)に移るという状況も生まれていました。
 1つ目の未舗装路区間(距離4.4km)に突入するとイネオスの選手が前に出て強烈な走りをみせます。UAEはポガチャルだけがイネオス勢の後ろに位置し、無難にグラベルをこなして行っているように見えました。今年のストラーデ・ビアンケで80km超えの独走を見せたポガチャルですが、このステージは安全策を取っているように見えました。

 第2セクターに入ってポイント賞ジャージを着るジョナサン・ミラン(リドル・トレック)がチームメイトのために先導を始め、逃げとのタイム差を1分半まで縮めます。ここでもポガチャルは安全運転でした。逃げの集団ではオーストラリアのチャンピオンジャージを纏うプラップが飛び出し、4級山岳の登りでアラフィリップとサンチェスがジョイン。4級山岳に入っても総合争いは起こらず、逃げ集団ではジュリアン・アラフィリップ(スーダル・クイックステップ)が先頭で越え、逃げ集団は3人と4人のグループに分断。
 レースは残り30kmで先頭3名を逃げの4名が58秒差で追い、その後方を2分36秒差でプロトンが進む構図となりました。メイン集団はUAEがコントロールをせず、ポガチャルだけが前目のポジションを取るという流れで、最後のグラベル区間でも残り5kmの丘でも動かず、昨日同様の逃げが決まる展開になってしまいました。

 残り10kmを切り、逃げとプロトンの差は1分。残り5kmでも45秒差を保った逃げの3名は、最大勾配20%のセッレ・ディ・ラポラーノの丘でサンチェスが仕掛ける。しかしこれは元世界王者のアラフィリップを引き離すには至らず、その後方ではロマン・バルデ(DSMフィルメニッヒ・ポストNL)のアタックからプロトンのペースが一気に上がり、エステバン・チャベス(EFエデュケーション・イージーポスト)のリードアウトから今度はアンドレア・ピッコロ(イタリア)が飛び出しました。
 2日目のステージで160kmを逃げたピッコロですが、流石に仕掛けが遅く、先頭の3人には届かずのステージ4位。ただ、調子は良さそうなのでステージ勝利も夢ではないでしょう。残り150mの標識からアラフィリップが腰を上げ、それにスプリント力が未知数の若手サンチェスが追従。先手を取ったベテランのアラフィリップでしたが、フィニッシュ手前10mでペラヨ・サンチェス(モビスター)が抜き、ジロデビューの3名による争いを制しました。

 昨日のバンジャマン・トマに続いてのジロデビューでの初勝利になりました。2日目のポガチャルもツール・ド・フランスの覇者ですが、ジロは初参戦での勝利なので6つのステージで初参戦初勝利が3人と5割なので、グランツールも大きな世代交代の時期にさしかっているのかもしれません。
 明日は初の個人TTで距離は40kmを超え、最後は登りゴールとマリア・ローザの行方を左右する前半の大切なステージです。この日はおとなしかったポガチャルの調子と真価が問われるステージになるはずです。最初の3日間で自分の調子を確認し、残りの3日を安全運転で乗り切りマリア・ローザを着用したままTTの舞台を迎えるポガチャルの本当の調子が分かるステージになるでしょう。

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第107回ジロ・デ・イタリア第3ステージ

2024-05-07 09:40:13 | スポーツ
 ポガチャルの初マリア・ローザ獲得の熱狂から一夜が明けた第3ステージは、全ての選手が緊張から時はなられたような雰囲気で始まりました。最近ではめったに見かけない程のスローペースでレースは進行し、レースが動き出したのは最初のスプリントポイントの直前でした。

 最初のスプリントはリドル・トレックのジョナサン・ミランが1位通過し、スプリントポイントを狙いに行ったスプリンターとそのアシスト達23人が一時はマリア・ローザのいるメイン集団とは1分40秒程の差を付け、インテル・ジロをミランが征した頃には先頭集団がペースを上げ、ゴールまで残り44kmで吸収する事に成功します。途中、風の影響か集団が割れ、総合4位で新人賞のマリア・ビアンカを着ていたキアン・アイデブルックス(チーム ヴィスマ・リースアバイク)が遅れる場面もありましたが、チームメイトの助けを借りて無事集団に戻る事ができています。
 第2スプリントポイントは登りに設定されていて、タイム加算のみでポイント加算がないため、スプリンター勢は動かず、ポガチャル自ら動きボーナスタイムを取りに行きました。これには、総合2位ゲラント・トーマスのアシストであるベン・スイフトが反応しポガチャルのタイム加算の阻止に動きます。大会序盤のこんなところで動いていて大丈夫なのかと思ってしまいました。

 この日も初日同様にゴールまで残り3kmにカテゴリーのない坂があり、そこで集団からミゲル・ホノレ(EFエデュケーション・イージーポスト)がアタック。それにすぐ反応し付いて行ったのはマリア・ローザを着たポガチャルだったのです。ポガチャルが動けばゲラント・トーマスも動かざるを得ず、ゴール直前まではこの二人で先行するも、結局、スプリンター達を擁する集団に飲み込まれてしまいます。
 確かに登りと複雑なゴール前のコース状況を安全に走り切るには前のポジションイングを取るのは当然のことなのですが、2つ目のスプリントポイントといい。ゴール前といい、登りがあったとはいえ、明らかに狙いに行っているように見えました。私が過去に知っているチャンピオン達はこんな動きはしませんでしたし、する必要もないのです。長丁場のレースで特にスタミナが心配されるポガチャルなので尚更です。
 初日と言い、この日と言いポガチャルは何かを確かめようとしているような気がしています。この日は前半は超スローな展開で脚に余裕があり、アシスト達も休ませることが出来たこともあるのですが、大会序盤でエース自らが脚を削ってまで取りに行くステージではないのです。確かに積極的な走りで、観ている者にとっては嬉しい限りなのですが、3週間の長丁場の前半からこんな走りで体調をキープ出来るのかという不安が残るのもまた事実なのです。

 レースはゴールスプリントを僅差で征したティム・メルリール(スーダル・クイックステップ)、区間2位はジョナタン・ミラン(リドル・トレック)、3位はエリトリアのビニアム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ)という結果でした。マリア・ローザはポガチャルが維持し、ゲラント。トーマスとの差も1秒広げ46秒になりました。
 レース後のインタビューで「ホノレがアタックし、それに反応したらトーマスもついてきた。(スプリント前の)混沌としてプロトンにいるよりも、レース先頭を走った方が安全だという考えだった。勝利の可能性は低いと思いながら走っていたし、脚のいいストレッチになったよ(笑)」と答えていたポガチャル。これが本当に余裕の走りだったのかどうかは分かりません。
 第2ステージはチームカーとの意思疎通のミスで、パンクからのあわやの転倒。バイクがチームカーに惹かれる直前で止まるというアクシデントもありました。クルリと背中から1回転し怪我も身体へのダメージもなくやり過ごしたポガチャルは流石ですが、コーナーの先でバイク交換を指示したチームカーには大きな不安が残りました。
 今日の第4ステージは前半は登り、後半に海沿いを走る190kmを超えるステージになります。このレースも終盤はかなりキツイ展開になったので、今日のステージもそれほど速い流れにはならないはずです。ただ、後半は海沿いを走るため、風の影響が懸念されるので、アシストは気を抜けません。このステージもゴール前にまた登り区間があるので、ここでもポガチャルがまた動くのかに注目です。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スポーツと健康(4)

2008-03-14 02:00:17 | スポーツ

 人体に害を与えずに、選手の競技能力を高める方法があれば、しかも、その手段が公平に与えられるならなんら問題はないはずです。

 現在ドーピングの主流は血液の入れ替えや遺伝子操作へと進んでいると聞いています。

 もし仮に遺伝子操作で運動能力の高い子供の出産が可能になった場合、WADAやIOCはどうするのでしょう?

 現に優秀なスポーツ選手の婚姻による選手生成を国家プロジェクトとして行っている国もあったとも聞いています。

 これは優勢交配であって遺伝子操作ではありませんが、今後は遺伝子操作とまでは行かなくとも、人工授精で優秀なスポーツ遺伝子を交配させることは簡単にできるはずです。

 将来的には遺伝子操作でさらに優秀な運動能力を備えた選手が人工的に生成されることも充分に考えられます。Plimpic03

 そうした時代に私たちは生きていることを忘れてはならないと思っています。

 ドーピング問題を薬物使用云々の問題としていては、いつまでたっても解決できないのは当然のことだと私は考えています。

 薬物ドーピングは自然と消滅して行くはずです。少なくとも検査にかかる薬物は・・・

 そして優秀な遺伝子を人工的に注入されたり加工された選手が薬物反応のないクリーンな選手として脚光を浴びることになる時代が来るに違いありません。

 ドーピング問題はあくまでも倫理として考えていかなければならないのではないでしょうか?

 それは単にスポーツ精神やスポーツ倫理にとどまることなく、私たち人間全体の倫理の問題として、私たちスポーツ・ファン自らも真剣に考えていかなければならない問題ではないでしょうか?

 ドーピングをした選手を責めることは簡単です。

 しかし、それを自分の身に置き換えて考えることは意外と難しいものです。

 仮に記憶力を良くする薬があれば私は躊躇なく服用するでしょう。たとえ身体に害があったとしても・・・

 しかし、それを自分の子どもに勧めることは決してしないでしょう。副作用がある限りは・・・

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スポーツと健康(3)

2008-03-11 01:18:18 | スポーツ

 適度は運動は確かに「健康」のためには必要でしょう。

 しかし、過度の運動は害になることはあっても益になることはないといっていいと表います。

 スポーツ医学が発達した現代においてさえ、スポーツ選手の「健康」管理は容易ではないのです。

 選手の「健康」を考えてドーピング規定があるというのは判りますが、スポーツ競技そのものが「健康」を疎外するものであるなら、ドーピング規定の基本原理に挙げられている「健康」とは一体何を意味するものなのしょう?

 通常、私たちは適度な運動をし、栄養補助としてのサプリメントを服用し、疲労回復のために栄養ドリンクを飲む。

 そしてこれを「健康」のためと称している。そして実際に長生きしているのです。少なくともスポーツ選手よりは・・・

 一般人とは比べ物にならない運動量をこなし、命を削って競技をしている選手の真の「健康」を考えるなら、WADAやIOCは他にすることが沢山あるのではないでしょうか?

 「ドーピング=悪」と考えるのは簡単です。

 ところが一口にドーピングといっても一般の風邪薬に含まれている利尿剤から、高度な遺伝子ドーピングまで非常に幅が広いのが実状なのです。

Athletes01  それも競技団体によって禁止される薬物もまちまちなのです。

 特にオリンピック競技種目にないゴルフなどはドーピング規定さえないといいます。日本の相撲も同様です。

 オリンピックにプロ選手が参加できるようになったことで、競技の迫力や楽しみが増したことは確かです。

 しかし、その半面、アマチュアとプロのドーピングに関する取り組み方の違いも鮮明になっていることも確かなのです。

 WADAのドーピング基準を全てのプロスポーツに適用したらどうなるか?考えただけで恐ろしい!!

 確かに薬物や医学的な処理によって選手の運動能力を高めることには異論があるのは当然です。

 それはあくまでも選手の生命に関わる危険がある場合でのことです。

 あくまでも自然を重視するなら科学的トレーニング器機などの使用も禁じるべきではないのでしょうか?

 しかし、そんなことは誰も考えてはいないはずです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする