へうげもの名品名席[07][待庵]
今、私達「古典の会」は岡倉天心の「茶の本」を勉強しています。「第四章茶室」の章に入りました。天心はまず茶室は茶道精神の結晶であると記し、質素でありながら洗練された日本の正統的建築物であると海外へ紹介しています。特に「躙口(にじりくち)」と言われる茶室の入口に大きな特徴があります。「躙口」というのは膝をついて頭を下げて身を低くしてくぐる入口で、今は茶室の代名詞のようにもなっています。その「躙口」を最初につけたのが利休の「待庵」です。豊臣秀吉が「俺に頭を下げさせるのか」と云って嫌がったという話もありますが、利休は茶室を世間から離れて精神性の高い別空間として、基本の方丈の間(二畳半)にして、あえて極小の空間で亭主と客の間に全く新しい親しさが生まれ、新しい交わりができるという利休の侘茶の姿があります。天心もその点を世界の人々に紹介しようと「茶の本」をだしました。素晴らしい日本文化紹介の本としてとても勉強になりました。