台風一過、今日は秋晴れの素晴らしい日を迎えました。10月に入り、茶の湯の世界では名残りの季節になります。まさしく、「秋はいとど寂しさまさる夕べの空」といった風情が漂います。一年を通じて最も茶の侘しさを感じさせる時期になります。床の間には消息文を掛けて人恋しい秋の夜長を演出し、花も、吾亦紅、野紺菊、すすき、など野山の残花を飾り、やがて枯れゆく紅葉を惜しみます。主菓子は秋の味覚を楽しませる栗きんとんなどが用意されます。これら秋の演出を充分に楽しむのが、茶道のおもてなしの心でしょうか。日本の四季のなかで、秋の夕暮れは私の好きな空間です。日本の秋を存分にたのしみましょう。