出版社の多い街には、打ち合わせに使われそうなお店がたくさんある。
九段下と神保町の間くらい、
前から気になっていた古いビルの一角にある、昔ながらの喫茶店。
ビルが壊される前に入ってみたくて、
タイミングを捉えて入ってみた。
「喫茶 カリーナ」
水色に白いラインのオーニングが海辺のカフェを思わせて
グっとくる。
11:00からのランチタイムをちょうど過ぎた頃で、
まだ中には一人しか客がいないようだ。
「…こんにちは」
「はい いらっしゃい」
ホールにはお店の人らしき奥さんがいて、
若い頃は潮風にふかれていただろうという雰囲気がした。
無口そうなマスターがカウンターの奥でキッチンをまかされ、
常連さんと近況を話して笑っている。
こういうお店の場合、
お水をもってきてくれたタイミングですぐ注文するのが流儀だろうと
壁に書かれたランチメニューから、すかざず
「カレーお願いします」
というと、奥さんは軽くうなずいて、奥に向かって
「カレー」とだけ言った。
年代もののオリーブ色のソファに正方形の一人用テーブル。
店の真ん中にある低い本棚には、たくさんのコミック。
小さなサラダを食べながら「落ち着くなあ~」と思う。
12時近くなるにつれ、1人、2人とスーツ姿の客が増えてきて
その半分以上は常連のようだった。
カレーは粉ミルクの味がする昔ながらのカレーで、具は豚肉のみ。
肉もルウもよく煮込まれていて胃にしっくりなじむ。
豆腐とワカメのみそ汁をスプーンで飲むのもこういう喫茶店ならでは。
いまの私たち世代がお店(カフェとか)を作ったとしたら、
ランチのカレーにみそ汁はつけないだろう。
ってことは、あと30年くらいしたらこういう昔ながらの喫茶店はほとんどなくなってしまうのかも。
客が増えて、タバコの煙がお店に充満してきたので
お会計をして外に出る。
古いビルの名前は「九段下ビル」というらしい。
外壁に、大きな文字で「中根武速記」というような文字が読める。
1階のテナントはまだ数件やっているものの、
上の階はどうなっているのだろう。事務所などの形跡。
横からみたところ。ネットで包まれているので
いつ壊されてもおかしくない雰囲気。
忘れかけてた昭和の記憶。
年末にふと思い出した。
(写真/九段下「カリーナ」ランチカレーライス/800円)
九段下と神保町の間くらい、
前から気になっていた古いビルの一角にある、昔ながらの喫茶店。
ビルが壊される前に入ってみたくて、
タイミングを捉えて入ってみた。
「喫茶 カリーナ」
水色に白いラインのオーニングが海辺のカフェを思わせて
グっとくる。
11:00からのランチタイムをちょうど過ぎた頃で、
まだ中には一人しか客がいないようだ。
「…こんにちは」
「はい いらっしゃい」
ホールにはお店の人らしき奥さんがいて、
若い頃は潮風にふかれていただろうという雰囲気がした。
無口そうなマスターがカウンターの奥でキッチンをまかされ、
常連さんと近況を話して笑っている。
こういうお店の場合、
お水をもってきてくれたタイミングですぐ注文するのが流儀だろうと
壁に書かれたランチメニューから、すかざず
「カレーお願いします」
というと、奥さんは軽くうなずいて、奥に向かって
「カレー」とだけ言った。
年代もののオリーブ色のソファに正方形の一人用テーブル。
店の真ん中にある低い本棚には、たくさんのコミック。
小さなサラダを食べながら「落ち着くなあ~」と思う。
12時近くなるにつれ、1人、2人とスーツ姿の客が増えてきて
その半分以上は常連のようだった。
カレーは粉ミルクの味がする昔ながらのカレーで、具は豚肉のみ。
肉もルウもよく煮込まれていて胃にしっくりなじむ。
豆腐とワカメのみそ汁をスプーンで飲むのもこういう喫茶店ならでは。
いまの私たち世代がお店(カフェとか)を作ったとしたら、
ランチのカレーにみそ汁はつけないだろう。
ってことは、あと30年くらいしたらこういう昔ながらの喫茶店はほとんどなくなってしまうのかも。
客が増えて、タバコの煙がお店に充満してきたので
お会計をして外に出る。
古いビルの名前は「九段下ビル」というらしい。
外壁に、大きな文字で「中根武速記」というような文字が読める。
1階のテナントはまだ数件やっているものの、
上の階はどうなっているのだろう。事務所などの形跡。
横からみたところ。ネットで包まれているので
いつ壊されてもおかしくない雰囲気。
忘れかけてた昭和の記憶。
年末にふと思い出した。
(写真/九段下「カリーナ」ランチカレーライス/800円)